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ミツキとつきあいたい!  作者: 石戸谷紅陽
第4章 吉川美帆はガラスの靴を脱ぐ。
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京極美智子は何者か。

俺の名前は今井良太。

ミツキと付き合うために奮闘の日々を送っている高校生だ。

ミツキの方が奮闘させられている気がしなくもないが、俺もミツキに釣り合う人間になる為に頑張っているのだ。

そこに努力量とか質の問題はほんの些細な問題でしかない。

俺たちの前に突然現れた少女。

『京極美智子』。

俺は次の日からすぐに彼女の捜索を始めた。

ミツキたちもあったらしく、学年は1年だという情報も得たのだが、一年生に『京極美智子』という生徒は存在しなかった。

人の名前が覚えるのが苦手な俺は彼女が『風紀』の腕章をつけた風紀委員であることを思い出した。

このクラスの風紀委員はよっしーである。

俺はよっしーにも一応聞いてみたのだが。

「知らない。」

案の定知らなかった。

ほとんど委員会に顔を出していないのだから当然であろう。

よっしーは鼻に大きなガーゼをつけていた。

俺は心配して大丈夫か尋ねただけなのだが。

「大丈夫だから。」

よっしーそういって俺をそっけなく突っぱねた。

後でミツキから聞いた話では鼻にニキビができたらしい。

ニキビ程度であんな大げさなガーゼをしなくてはならないのだから女子は大変である。

よっしーの証言は心元なかったため、俺は風紀委員に聞いてみた。

風紀委員の活動拠点である生徒指導室に出向いてみたのだが、そこにいた二年生の『練山くん』という小さな男の子に聞いてみた。

「京極……?美智子……?さあ……?僕は心当たりのない名前ですが、少なくとも風紀委員のメンバーにはそういった人はいらっしゃらないですね。お力になれず申し訳ございません。」

とのことで空振りだった。

風紀委員というのは松本に会う口実だったのだろうか。

そういえば、京極さんは松本とお話がしたくて教室まできたのだった。

あの日、俺の後に彼女と話たはずの松本にも聞いてみた。

「ああ美智子ちゃん?確かに会ったよ?なんでも俺のファンとかで少しだけ話したね。え?いや。その時が初対面だったよ?」

しかし松本も心当たりはないようだった。

俺は最終手段にして、究極の手段である教師の力を使った。

「全校生徒の名簿を見せろだぁ?今井お前……。全校生徒何人いると思ってんだよ。」

「そこをどうかお願いしまう。担任様。」

先生は面倒そうに俺を追い払う。

「わかった。わかった。帰りまでに印刷しといてやるからとりあえず教室もどれ。放課後また来い。」

俺は最後の希望を先生に託し教室を後にした。


放課後、教室を出ようとするとミツキが俺を呼びとめる。

「まだ続けてるの?『美智子ちゃん探し』」

警察のこともあるし、あまり広める必要もないだろうと思い俺は事の顛末をミツキには話していなかった。

「うん。もしかしたらここの生徒じゃないかもしれないんだ。」

「何それ怖い。」

ミツキの顔は青ざめる。

「今、先生に全校生徒の名簿を出してもらったからもうすぐはっきりすると思う。」

「全校生徒って!何人いると思ってんの?!2000人越えてんのよ?」

「うん。でもちょっと気になってって。」

「ふ~ん。なんで?」

ミツキは俺の顔を覗きこむ。

その顔は真剣そのものだった。

俺は目を背ける。

「なんとなく……。」

「なんとなくねぇ……。」

ミツキはジトーとした目で俺を見つめた。

視線が痛いでござる。

「いいわ。ミツキも手伝ってあげる。」

「うぇ?!」

「なによ。なんか問題でも?」

「いや、問題はないですけども。」

「じゃあ問答無用です。」

ミツキは俺の手を引き廊下を歩きだした。


「おお来たか?ん?高岡も一緒か。」

職員室につくと俺とミツキは先生の案内で隣の部屋、応接室に案内された。

「まあ座りなさい。」

先生は俺とミツキの前にプリントの束を複数に分けて広げていく。

「いいか?これを見せるにあたって約束がある、まずこの名簿は絶対持ち帰らないこと。ここで見ていく分だけだ。メモはだめ、もちろんスマホで撮るのももっての他だ。」

「は~い。」

「は~い。」

俺とミツキの返事を聞くと二人を残し応接室を出て行った。

「帰る前に声掛けろよ。」

そして、先生は出て行った。


「さて、やりますかぁ。」

ミツキは腕をまくる。

そして先生の用意してくれたプリントをめくるとそこには一クラスずつの名簿が印刷されていた。

「すごっ。顔写真付きだ。」

「多分生徒証の写真を流用してるみたいだね。」

よかった。

これで偽名の線も一緒に調べられる。

どうにも、あの子には言いようのない不審さがあった。

特に夕方の時の違和感はすさまじいものがあった。

というか。

この応接室、とても静かだ。

そしてとても狭い。

学校の中にあるのに他から隔離されたような空間だった。

「あっ。この子同じ電車だー。杏奈ちゃんかあ~。ふふっ、可愛い名前。」

ミツキと二人きりになってしまった。

ふかふかのソファー越しに彼女の振動が伝わる。

同じソファーに腰掛けている為、その距離感は少し肘を張ればミツキにあたる程だ。

やましい気持ちなど全くなかった。

ただ純粋に京極さんが心配なだけで。

犯人を捕まえたいという正義感が俺を突き動かしている。

でもこの状況で二人きり。

ましてや好きな子と二人きりなんて意識しない方がおかしいではないか。

集中だ、集中。

今は京極さんのことだけを考えるのだ。

煩悩と必死に戦っている俺をちらりとミツキが見つめる。

「なんで良太は美智子ちゃんが気になるの?」

ずいぶんと突っかかってくるな。

「だからなんとなくだって。」

ソファーが軋む音がする。

ソファーにミツキが手を置き、俺に詰めよる。

顔がすごく近い。


「ちゃんと答えて。」

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