表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミツキとつきあいたい!  作者: 石戸谷紅陽
第3章 安原の参観日。
42/189

安原家の朝食。

けたたましく金属音を鳴らす目ざまし時計を手探りで探す。

手に何かがぶつかり、アラームに若干の変化が見られた。

どうやら今、私の手に当たったのが目的の時計らしい。

私はその時計らしきものを左手でしっかりと掴むと、アラーム停止ボタンを押した。

時間は五時半。

ぜんぜん寝足りない。

あくびが出る。

でも起きなくてはならない。

今日からまた学校なのだ。

私の、安原智香の日常がまた始まるのだ。

布団から抜け出し大きく伸びをすると、隣で眠りこけている弟に視線を落とす。

あの騒音でも目を覚まさないのだから本当に大したものだ。

すでに畳まれている布団がひとつある。

母はすでに出勤している時間だ。

母の目ざましに気づかない私も大樹の姉といったところか。

もう一度目ざましがやかましく鳴りだす。

スヌーズとかいう起きるまで起こすお母さんみたいな機能だ。

ほんの3年前までお母さんにもスヌーズ機能があったわけだが、今は目ざましのアラームすら鳴ることはない。

「うるさい。」

私は目ざまし時計のアラームを止めた。


キッチンにてボールのなかに卵を割りいれる。

私と大樹の二人分で卵は3つだ。

二人ともお弁当箱がそこまで大きくない為、これで十分なのだ。

砂糖をたっぷり、ダシをちょっぴり入れる。

黄身を少しだけ割り、白身と軽く混ざる程度にかき混ぜる。

フライパンに油をしみこませたキッチンペーパーで全体に広げていく。

手早く、二つのお弁当箱にお米を詰める。

フライパンの上に手をかざし、温まったのを確認したら火を弱める。

十分に熱せられたフライパンに玉子を少し流し込む。

その途端、激しい雨が降っている時のような音がキッチンに響く。

フライパンを軽く回し、卵を広げたあと、冷凍庫から冷凍食品の春巻きとナポリタンを取り出す。

手早くを玉子を巻いていき、キッチンペーパーで油を塗ったところに再度玉子を少量流し込む。

さっき取り出した冷凍食品を弁当に詰めたら、もう一度玉子を巻き、溶き卵を全て流し込む。

次にケトルにお水を入れてスイッチを入れる。

そしたら玉子をもう一度巻けば、小さな玉子焼きの完成である。

私は正直甘い玉子焼きはあまり得意ではないのだが、大樹が甘い方が好きというのだから仕方がない。

玉子焼きをまな板の上にのせて包丁を入れていく。

このままだと熱すぎるのでお弁当にはまだ詰めない。

二つお椀に即席のお味噌汁の元を流しこんだら、油を塗ったフライパンに丸いハムと卵を割りいれる。

するとケトルがお湯を沸かし終えたことを私に伝えた。

人肌にぬるくなった玉子焼きをお弁当に詰める。

そのあと玉子をひっくり返す。

大樹は半熟が苦手らしい。

半熟のおいしさがわからないとは嘆かわしい。

お弁当に蓋をしたら、お箸とふりかけの袋をお弁当と一緒に包む。

ハムエッグをお皿に移す。

お椀にケトルからお湯を注ぐ。

お米をよそう。

そして私は大樹の目ざまし時計になるのだ。

「大樹。そろそろ起きて。」

一回じゃ起きない。

今日は初日なのだから無理もないか。

私はスヌーズモードを発動する。

大樹に身体をゆすりながら起こすのだ。

「大樹起きて。学校遅れるわ?」


一週間ぶりの学校。

教室に入ると、クラスの数人はすでに登校していた。

一週間じゃそれほど変化もなく、久しぶりに会ったという感じもない。

私は自分の席に座ると前の席のミツキが声をかけてきた。

「おはよーハラッチ」

おはよと私も返す。

ミツキと旅行でも一緒だったのでことさら、久しぶりという感じがしない。

「あの後どこか出かけた?」

「大樹とショッピングモールにヒーローショー見に行ったりしたくらい?」

本当は公園にいったり、宿題みてあげたり、一緒にゲームしたりしたけどそんなこと伝えたって仕方がない。

「大樹くん、ライダー好きなんだっけ」

「そっ、ああいうのって幼稚園と一緒に卒業するものなのにね」

ミツキは人差し指を振る。

「ちっちっち、わかってないなーハラッチは。ああいうのはいろいろ覚えていくほど面白さが増すものだから卒業などないのよ」

「へえー、意外とミツキ詳しいんだね」

ミツキは動揺を見せる。

「いや知らないよ?一般論の話というか、ほら、ネットでね?」

「ネットとか見るんだ、それはそれで意外」

「ツイッター!ツイッターで情報が流れてくる時代だからね。」

「おはよー」

ミツキの隣の席の早枝ちゃんが登校した。

「おはよー早枝ちゃん」

「おはよう?早枝ちゃん?」

私とミツキはニマリながらあいさつすると、早枝ちゃんは恥ずかしそうにもう一度挨拶する。

「お……おはよ、ハラッチにミツキ」

ミツキは満面に笑みで頷く。

「うんうん、いいねいいね。早枝ちゃんもう一回言って?」

「うっさいわね!挨拶は一日一回で十分でしょ?」

私も加勢しよう。

「名前だけでもいい」

「用もないのに呼ぶ必要ないでしょ?!」

そしてホームルームの始まりを告げる鐘が鳴る。

教室に先生が入る。

「は~い、おはよ~。みんな席につけ~」

クラス中が席につき始め教室中に椅子を引く音が充満する。

みんなが席につくと出欠を取り始める。

「じゃあ、出欠とるぞ~今井りょ……」

すると廊下を走る音が教室に近付いてくる。

足音は一人じゃない。

教室の扉が乱暴に開くと息を切らせる二人の男女が立っていた。

「はぁ……はぁ……!せ……セーフ?」

そこに立っていたのは松本とよっしーだった。

汗だくの二人に先生は笑顔で告げる。

「ああ。アウトだ。」

先生は出欠に二つチェックを入れた。

「出欠を続けるぞー!今井良太……は熱出して休みだったな」

今井くんの席をみるとそこに今井くんの姿はなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ