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ミツキとつきあいたい!  作者: 石戸谷紅陽
第2章 混沌のゴールデンウィーク。
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なんて言ったと思う?

ウチとミツキは部屋に入る。

部屋の電気をつけるとやはりウチらの部屋も布団が敷いてあった。

「布団なんてはじめてかも、ミツキの部屋はベットだし」

ウチはアパート暮らしなので生まれてこの方17年、ずっと敷布団だ。

兄と二人ぐらしだが、かろうじて自分の部屋はある。

タイミングが無かったとはいえ、中学まで一緒に寝ていたのは黒歴史だ。

ウチは布団にどっかり座るとミツキも隣に腰かけた。

「さっきは冷や冷やしたよもぉ~。違う人の名前でたらどうするつもりだったの?」

「どうするつもりだったと思う?」

ミツキは少し考え込む。

「まさか……そのまま告白するつもりだった?な~んて」

ミツキが冗談半分で答えた。

ウチはじっと彼女の顔を見つめるとウチの気持ちが伝わった。

「えっ?マジ?」

「さ?どうだろ~ね?皇帝様に阻止されてしまったからもうわかんない」

無論、告白するつもりでいた。

たとえあの時、あたしの名前が出てこなくても。

松本の口から『泉野さん』の名前がでてきても。

「ウチさ。1年の頃から松本のこと好きだったんだ。」

ウチは膝を抱えてミツキに笑いかける。

「ミツキとハラッチはウチの一番の親友だけど、松本とはもっと付き合いが長いんだよ?」

「ヨッシーとハラッチと同じクラスになったのは2年からだもんね」

ミツキも膝を抱えてウチに問いかける。

「いつから好きだったの?松本のこと」

ウチは正面をぼーっと眺め、二年前の秋を思い出す。

「ウチらってさ。いつも二人して職員室常連だったからさ。なんつーか。共感つーの?自然な流れで」

「確かにいっつも一緒に怒られてたもんね。一人で怒られることってないんじゃない?」

「あったよ。」

ポツリと呟く。

「一人で怒られることもあった。あいつは。でもね、ウチはないの一人で怒られたこと」

「松本の方が問題起こすこと多かったもんね。マジシャンはプレッシャーが大事とかいってさ。わざわざ授業中にやらなくてもいいのに」

「違うの。松本はね。いつでも手品してるわけじゃないの。いつもふざけているわけじゃないの」

後ろに手をつき上を天井に視界を移す。

「ウチが怒られるときなの。いつも。ウチだけじゃない。だれかが怒られそうなとき上書きしてるの」

「うちの学校まじめな人多いから、そのせいでクラスから浮きがちだけどね」

まあ授業妨害には変わりはない。

「そう、ウチもそれに気づいたときむかついちゃってさ。松本にいったの。余計なことするなーって。うざいってさ。そしたらあいつなんて言ったと思う?」

ウチは布団から腰をあげて、テーブルの上のスマホと財布を手に持った。

「ウチも飲み物買ってくるね。」

「ちょっとー!なんていったのー?」

ミツキを部屋に残し、休憩所に向かった。


ウチはこの2年間で松本のいろんなことを知ったつもりでいた。

彼のやる手品は全て覚えた。種はさすがにわからないけれど。

彼の一番のファンは間違いなくウチだ。

目立ちたがり屋で、かっこつけな男子。

器用で、やさしくて、いつも誰かのことを思いやれる人。

ウチが初めて好きななった男の子。

でも今日一日、たった一日で思い知ったんだ。

ウチはたった一つだけ知らなかったんだ。松本が好きな人を。

やさしくない、気を使わない相手がいることを。

でも関係ない。ウチは今日告白する。

好きな人がいたって構わない。

告白しない理由になんかならない。

好きだって伝えたい。

ウチの知らない顔がみたいの。

もうすぐ休憩所につく。

ここに松本を呼び出す。

ウチの気持ち


「ここに割り箸があります。」

休憩所から松本がいる。

ちょうどよかった。呼び出す手間が省けた。

「あんたまだくじ持ってたの?」

泉野さんもいる!?

ウチはあわてて通路陰に隠れた。

「いいだろ?この方が仕掛けないってわかりやすいし。ヨッシーが準備した割り箸だし」

はいはいと面倒そうに相槌をする泉野さん。

「じゃあこの割り箸をよく見ててくれ?ちゃらりらりら~」

「その歌なに?」

「お願い割り箸見て?ほら伸びてるでしょ?」

「あんたにしては古典的というか。忘年会の上司がやる手品レベルね。」

「見とけよ見とけよ?この伸びた割り箸を正面から見てもらうと?」

「?!木の板になってる!?すごっ!?」

ウチの知らないマジックだ……。

「驚くのはまだ早いぞ。この板をくるっと回すと?」

「箱だ!!?木箱になってる!?」

松本は木箱を泉野さんに突き付けた。

「開けてみて?」

泉野さんは木箱を開けると中からハンカチが出てきた。

赤い生地に、白いことりが二羽寄り添っている。

「誕生日おめでとう。泉野」

「ありがと。この木箱は邪魔だから返すわ。」


『ねえ!?ウチのことかばってるならやめてくれる!?うざいんだけど!!』


「泉野。俺……」


『ん?かばってなんかないよ。』


「俺、1学期が終わったら」


『俺はいつでも一番目立っていたいだけだよ。』


「1学期が終わったら、アメリカに行く」


『吉川さんも授業が暇ならスマホじゃなくて俺を見てくれよ』


「これで本当に最後だ。」


『な?吉川さん?いや……』


「好きだ泉野。俺と付き合ってくれ。」


『ヨッシー』



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