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ミツキとつきあいたい!  作者: 石戸谷紅陽
第1章 始まりのイースターエッグ。
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眉毛のお手入れ。

俺は今井良太だ。

俺は今とてつもない難題に直面している。

美容院に行って綺麗にしてもらってから、バイトを初めてからもうすぐ2週間になる。

ミツキに言われて毎朝鏡を見るようにした結果、俺を悩ませる問題が1つある。

この眉毛である。

2週間前に京極さんに整えてもらってから余計に生えてきた部分は剃るようにしていた。

これで今の維持をすればいいだけだと俺はたかをくくっていたのだ。

そしたらどうだろう。

眉毛という草原はその敷地のまま雑木林になろうとしているではないか。

俺は悩んだ。

ミツキが行っていた意味がわかった気がする。

確かに1ヶ月に一度美容院に行かないとまたもっさりした今井良太が顔をだす。

きっと毛量が増えたのがいけないんだ。

増えた毛は減らせばいい。

俺は毛抜きを取り出した。


どうしてこうなった。

雑木林は間引きされて林になった。

そうか、雑木林を草原に戻すには借りとるしかない。

まだ間に合うだろうか。

俺は100均で購入した小さいハサミを取り出した。


どうしてこうなった。

額下に広がる2本の焼け野原。

不毛の大地。

そろそろ登校しなければ遅刻してしまう。

冷や汗が止まらない。

対象的に目頭が熱くなってきた。

せめて形を整えなくては俺は覚悟を決めて剃刀を手に取った。


朝の教室。

俺は教室の後ろの方からひっそりと音を立てずに入室した。

もともと俺は目立たないキャラのお陰で誰にもバレてない。

松本にバレないようにしなくては、俺は教室で眉毛を隠しながら周りを見渡すと松本は女子たちと話をしていた。

女子と平然と話せる男子ってどんな訓練をしてきたのだろうか。

そんなことを考えていたら松本と目があってしまった。

慌てて目を反らしたが時すでに遅し。

手をあげて俺を呼んでいる。

俺は眉毛を手で覆ったまま松本のいるところへ進軍した。


「どうしたの。」

触れないでくれ松本。

「ちょっと頭いたくて。」

嘘ではない。

もういっぱいいっぱいさ。

ただでさえ教室に来るだけでも大変だったのに女子の前に連れ出されたんだからな。

ここにいるのは松本と吉川さんと高岡さんか。

高岡さんにこの眉毛を見られたくない。早く要件を済ましてくれ。

「で?なんかよう?」

「いや週末からゴールデンウィークじゃん?みんなで1泊でどっかいこうぜって話」

は?なんで俺誘われたん?

そんなリア充イベント俺場違いじゃん。

「で、松本は何日が空いてる?」

行くの決定かい。

でも行きたい。

旅行行きたい。

正直行きたいけども。

こういう時どういう反応していいのかわからん。

ノリノリで行くと行ってしまったら実は松本が女子の意図を汲まずに俺に声をかけてしまったパターンの時みんなの旅行をぶち壊してしまう。

でもダルそうな雰囲気を出してしまったら本当に好意で誘ってくれた時に相手をイラつかせてしまう。

まだ情報が足りない。

どういう風に俺が誘われる流れになったのかを把握しなくてはうかつにリアクションもできない。

しかし『なんで俺が?』などと聞こうものならそれは後者のダルそうな雰囲気にくくられてしまう。

よってここで俺が話せることは一つしかない。

「俺なんかが行っていいの?」

完璧だ!

卑屈になることによって相手は『そんな事ないよー』のOKパターンか『忙しいなら無理しなくていいよー』のNGパターンの二択が絞れる。

「そういうのめんどい。行っていいから誘ってんだろ?お前は強制だからはよ答えろ」

吉川さん怖い。

ホント怖い。

「今日バイトのシフト決めるからそれ次第かな。」

「てことはいつでもOKね。今日程決めるから空けといて」

やだ!吉川さんたら強引!

すると松本が感嘆の声を上げ手で顔を覆った。

「そっか。今おんなじバイトしてるから2人揃って休むのって無理じゃね?」

高岡さんが嘆く。

「えー。もう行くつもりになってたのにー。」

松本は少し考えこんで泉野さんを呼んだ。

「おーい。泉野ー。」

泉野さんは不機嫌そうに現れた。

「何。」

「この4人とハラッチの5人でゴールデンウィーク1泊旅行行きたいんだけど2人でバイト2日空けていい?」

泉野さんはリアクションせずに黙っている。

この沈黙は怖い。

でもこの解答に俺のゴールデンウィークの予定はかかっている。

高岡さんと旅行。

行きたいに決まっている。

高岡さんとラインを取り合って2週間。

アニメ、漫画の話ばかりで盛り上がるが教室では面と向かって話したことはない。

高岡さんは隠れオタクのようだ。

「いいわ。2人とも休んで。」

俺の楽しいゴールデンウィークが決まった瞬間であった。

3人がお互いにハイタッチし喜び合っている。

「ただし、条件が一つある」


「あたしも連れていきなさい。」

泉野さんは腕を組みふんぞり返った。



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