表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/82

外伝4 隊長 3

「そういえば隊長、あの望遠鏡のような魔道具はどこで手に入れて来たのですか?」


「あー、あれだ、レイルガルフに行く前にハースブルクにいただろう?その時の裏の依頼を受けたときの報酬みたいなものだな」


「何すか、その裏の依頼って!?明らかにヤバイ響なんすけど!?」


「安心しろ、それほどヤバイ依頼じゃない、ただの暗殺依頼だ」


「ああ、ただの暗殺依頼ね、なら全然・・・ヤベェよ!何受けてんすか!?隊長!?」


「あの時は活動資金が尽きかけていたから全員でバイトをしていただろう、その時だ」


「あの時ですか、隊長だけやけに大金を持って来ると思ったら、何をしているんですか、隊長」


「確か、あそこの当主のご息女の暗殺依頼だったな、ステータスを変えて街に潜んでいるだろうから見つけ出して殺せ、という依頼だ、それでこのステータスの隠蔽を破る魔道具を渡された」


「なんて依頼を受けているんですか」


「ヤッたんすか!?ヤッちまったんすか!隊長!?」


「やってない、あんな広い街でステータスを変えた者を探すなど、そんな面倒を俺がすると思うか?」


「え?でも報酬もらったんですよね?」


「依頼主を騙したに決まっているだろう?当主のご息女の容姿を調べ、そのご息女と同じ色の髪を依頼主に渡して殺したと言ったら、依頼主は普通に報酬を支払ったぞ」


「うわー、ひどいよー」


「確かに死んだ時のドロップアイテムが髪の毛の時はありますからね、それにしても、その依頼主はよくそのような魔道具を用意できましたね、何者なんでしょうか?」


「知らん、興味ない、この魔道具も、もう使わないだろうからと報酬と一緒に押し付けられたものだ、正直、俺も使う機会があるとは思ってなかったがな」


「依頼主可愛そうー」


「いや、こりゃ騙される方が悪りぃよ!」


「ご息女の暗殺依頼ですか」


「大方、継承魔法スキルを奪うために、あの吸血鬼一族を皆殺しにするとか、そんなものだろう、所詮他国のゴタゴタだ、俺たちには関係ない」


「そう、ですね」


「やっとー、国に帰ってきたよー!やったー!」


「そうだな、無駄話をしてないで、早く姫さまに報告しに行こう」






「やっと帰って来たのね!ずっと待っていたのよ?」


「は、姫さま、我々サライン隊4名、ただいま帰還いたしました」


「それで、ドラゴンの卵はどこにあるのかしら?」


「いえ、申し訳ありません、邪魔が入りドラゴンの卵の入手を失敗いたしました」


「ほう、なら貴様達は姫さまの願いを叶える事も出来ずに、おめおめと戻って来たわけか、そうかそうか」


「ふ、流石は元奴隷どもだな、半年も掛けておきながら今更出来ませんでした、などとは、片腹痛い」


「言ってやるな、所詮は卑しい元奴隷の出だ、今までは、たまたま、運良く、上手く行っていたようだが、その運も尽きたらしい、元奴隷に期待など無駄なのだよ」


「っ!なら、テメェらなら出来たってのかよ!ああ!?」


「やめろシンカ!申し訳ない、部下が無礼を働いた、あとでよく言い聞かせておきますので、ご容赦を」


「ふっ、構わん、所詮元奴隷の戯言だ、そんな品もなく言葉遣いも知らぬ卑しい獣の言葉など、高貴なる私の耳には届かんよ、嘆願があるならそれなりの成果を示して、言葉遣いを勉強してから出直して来たまえ」


「っ!!」


「ごめんなさーい!遅れましたー!」


「全く、ようやく来ましたか、カレン殿は何度遅刻すれば気がすむのですかな?時間を守る気がない、と?」


「ごめんなさい、塔の屋根で空を眺めてたら、うとうとしちゃって、つい、えへへ」


「カレン殿はまた屋根に登って、全く、屋根に登るなど、貴族の行動として間違っていると何度言えばわかるのですか、同じ貴族として恥ずかしい限りですよ」


「えへへ、でも高いところが好きなんです!」


「カレン殿、また怪我をしているではないですか!全く、カレン殿は怪我をする天才ですな、塔の上で眠るなどするから、よく落ちて怪我をするのですよ」


「これほど怪我をできる人など、たとえ貴族でなかろうとも誰もいないでしょうに、カレン殿、早くこちらに来なさい、怪我の治療をしますよ」


「はーい!ありがとうございます!」


「カレンは相変わらずね、それで、どうして失敗したのかしら?」


「大方、ドラゴンが怖くなってこの半年間何もせずに震えていたのでしょう、それを邪魔が入ったと言い訳して、自らの未熟さを誤魔化そうとしているのですよ」


「私はサチュラスに聞いているのよ、どうしてなの?私興味があるわ!今までサライン隊が私のお願いを叶えてくれなかったことなんてないもの!今更ドラゴンの卵なんてどうでもいいわ!」


「姫さまのお心遣いに感謝します、我々サライン隊は、一度エンシェントドラゴンの卵を入手いたしました、しかし、邪魔が入りドラゴンの卵を奪い返されてしまいました」


「すごいわ!貴方達から卵を取り返すなんて!誰なの?私の知っている人かしら?」


「口下手エルフ、奴隷の女性、青い兎、そしてイーシス・カイと名乗る青年です」


「青い兎?可愛かったかしら!?見たいわ!」


「いいえ、可愛らしさなど微塵も、むしろ恐怖です」


「すごいわ!兎なのに怖いの!?私興味あるわ!それに口下手エルフ!懐かしいわね!元気だったかしら?あの娘の口下手は治っていた?」


「いえ、あまり口下手エルフとは会話しておりませんので、なんとも」


「そう、久しぶりに会いたいわね!」


「なるほど、かの口下手エルフ殿なら貴様達から卵を取り返すことも可能でしょうな、上手い言い訳を考えたものですな」


「いいえ、口下手エルフはただその場に居ただけ、我々から卵を奪ったものはイーシス・カイという青年です」


「イーシス・カイ?私聞いたことないわ、ミュンミッヒは聞いたことあるかしら?」


「そのような人物の名前など聞いたこともありませんな」


「その者は訳のわからない、様々なことを行って来ました、黒い空間で周囲一帯を覆い、他者が入れなくなる空間を作ったり、我々サライン隊全員のHPを1撃で1にしたり、私の背負っていたバックに入っていた卵がいきなり消えたと思ったら、その者の手元に現れた、つまり一瞬で奪われたり、といったことをです」


「ほう?すごい言い訳を考えたものですな、夢でも見ていたのですかな?」


「言い訳にしてももっとまともなものを考えればよろしかったのに」


「それは不可能なことなのかしら?」


「当然でしょう?他者の入れなくなる黒い空間?全員のHPを1撃で1に?卵を一瞬で奪われる?そのようなことは不可能です、夢でも見て居たとしか思えませんな」


「それだけではありません、イーシス・カイの他にも、青い兎なのですが、その兎は突如として巨大なドラゴンに変わりました」


「ふっ、ははは、面白い冗談だ!このような言い訳など聞いたこともない、子供の戯言のようだな」


「ドラゴンに変わる青い兎!?気になるわ!私すごい興味があるわ!」


「姫さま、そのような兎などいるはずがないでしょう?この者達の単なる言い訳ですよ」


「今話した話は全て本当のことです、イーシス・カイという人物を野放しにしておくのは危険です、国として早々に対処するべきです、この報告のために、我々は姫さまの願いを果たせぬままでありながら、恥を忍んで戻って来たのです」


「ふん、貴様達が戻って来たのは姫さまに会いたくなったからであろう?無駄な言い訳は見苦しいぞ」


「信じてください」


「信じるわ、当然でしょう?」


「な!?姫さま!このような戯言信じるに値しないでしょう!?」


「でも、私はサチュラスを信じてるもの、サチュラスはこんな嘘を言う人じゃないわ」


「っ!ありがとうございます、それともう一つ、こちらをお読みください」


「どうしたの?」


「いえ、詳しくはそちらに」


「そう?分かったわ」


「黒い空間で入れない?うーん、[アイソレーション]?えへへ、違うよね」


「!?か、カレン殿!今なんと!」


「え?どうしたんですか?」


「そ、それです!イーシス・カイという人物もアイソレーションと言ってました!」


「え、またまたー!だってそれ太古に失われた魔法陣スキルですよ?今それを使える人なんていませんよー!」


「な、何ですかな?その魔法陣スキルというのは」


「えっと、」


 バタッ


「え?・・・ひ、姫さま!?大丈夫ですか!?」


「なっ!?姫さま!?どうされたのですか!?っ!すぐに医者を呼べ!早く姫さまを寝室へ!」


「サチュラス!何を渡した!何を読ませた!?」


「な!?俺は姫さまが倒れるような事は何も書いてない!」


「見せるんだ!・・・ん?姫さまはなぜこれでお倒れに?原因はこれじゃない?」


「私にも読ませなさい!・・・ふむ、確かにおかしな事は何も書いていないですな?」


「私にも見せてください!・・・え、嘘、だって姫さまはここに、っ!姫さま!」


「カレン殿!どうなされた!」


「カレン殿!」


「・・・な、なんだ俺のせいなのか?」


「いや、隊長は悪くないっしょ」


「姫さま心配だよー、どうしたんだろー?」


「私たちも姫さまの様子を見に行きましょう」


「・・・そうだな」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ