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第46話 メニュー

 情報屋を出た後、僕たちは食事を取ることにした。


 ピィナーがもう我慢できそうにない様子だったからね。


 いつもは出店で適当に食べていたけど、今日はお店に入ることにした。

 ミルタさんが美味しいお店を知っているようだったから。


「・・・ここ」


「楽しみですね」


「そうだな」


「ピィ!(おいしいのたべたい!)」


 僕たちはお店に入った。






「いらっしゃいませ、あら?ミルタちゃん?」


「・・・うん」


 店に入るとミルタさんが店員さん?に親しげに話しかけられていた。


「あらあら、まあまあ、ミルタちゃんが他の人を連れてくるなんて驚きだわ、明日は槍でも降るのかしら?」


「・・・そんなに?」


「そうよ、昔だっていつも一人で来てたじゃないの、私、ミルタちゃんには友達がいないのかなって心配だったんだからね?」


「・・・」


 親しい間柄なのかな?


「初めまして、私はハール、この店の支配人をやってるの、貴方はミルタさんのお友達?恋人?婚約者?」


「・・・やめて」


 ミルタさんが顔を赤くしている。怒っているのかな?


「あらあら、恥ずかしがっちゃってまぁ、可愛いんだから」


 どうやら恥ずかしがっていたようだ。

 どうして怒っても恥ずかしくても顔が赤くなるんだろうね?

 見分けがつきにくいから、色を変えてくれればいいのに。

 悲しかったら青くなって、楽しかったら緑くなって、嬉しかったら黄色くなって、みたいに。

 そうすれば分かりやすいのに。


「・・・嫌い」


「あらあら、ごめんなさい、もうからかったりしないから許して、私ミルタちゃんに嫌われたくないわ」


「・・・」


「許してミルタちゃん、美味しいデザート一つ奢ってあげるから、ね?」


「・・・うん」


「まぁ!ありがとうね、ミルタちゃん」


「・・・うん」


「皆さんお待たせしました、ご案内しますね」


 僕たちは個室に案内された。

 それなりに広い。10人、15人くらいは入ると思う。


 こんな大きく無くていいような気がするけど、ここしか空いてなかったとかなのかな?それとも個室は全部これくらいの大きさなのかな?


「メニューはそちらにありますから、注文が決まったらベルを鳴らしてくださいね、ではごゆっくりどうぞ」


 そう言って、ハールさんは離れて言った。


 メニュー?これはメニューなの?そうなんだ。


 お兄ちゃんはメニューを開けなくなったと言っていた。

 どうしてメニューが開けなくなったのかは分からないけど、お兄ちゃんがメニューを開けなくなったということは、僕はメニューを開いたらダメってことだ。


 メニューを開けば、ステータス画面が見れる。

 ステータス画面では自分の全ステータスが確認できるんだけど、なんでこんなところにメニューが置いてあるんだろう?


 そしてミルタさんとイリアは2人でメニューを開き、中を見ている。

 なんで今ステータスを確認しているんだろう?


 まあいいか、注文が決まったらベルを鳴らしてって言ってたよね?


「ピィナーは決まったか」


「ピィ!(たべものぜんぶ!)」


 ピィナーはこの店の食べ物すべてを食べたいらしい。


「ダメだ、せめて全種類1つずつにしろ」


「ピィ!(はーい!)」


 お店の食べ物全部なんて、これから食べに来る他のお客さん達が食べる分がなくなってしまうからね。

 そうなると店も客も困っちゃうから。

 でも、全種類1つずつなら大丈夫だと思う。どのくらいの種類があるかは知らないけど。


 僕は何を食べよう?いや、お兄ちゃんは何を食べるだろうか?

 うーん、きっと一番いいものだよね?よし、ならこの店のオススメを食べよう。


「こっちは決まったぞ、2人はどうだ?」


「はい、私は決まりました」


「・・・決まってる」


「分かった」


 チリンチリン

 僕はベルを鳴らした。

 ベルを鳴らして少ししたらハールさんが個室に入って来た。


「では、ご注文を伺うわね」


「この店のオススメを1つ頼む」


「オススメですか?かしこまりました」


「ピィ!(ぜんしゅるい1つずつ!)」


「あら、可愛らしい兎ちゃんね!ペットか何かかしら?」


「ああ、俺のペットだ、あと全種類1つずつ頼む」


「「「え?」」」


「えっと全種類って、料理全種類ってことかしら?」


「ああ」


「主はそんなに食べられるのですか?」


「いや、俺じゃ無くてピィナーが食べるんだ」


「えっと、全種類をこの小さな兎ちゃんが食べるのかしら?」


「あ、あの、確かにピィナーちゃ、様はそのお体に見合わないほどの量を食べますが、流石にこの量は無理なのではないですか?」


「・・・無理」


「ええ、私も料理を残されて捨てることになったら悲しいわ」


「安心しろ、捨てることはあり得ない」


 もし仮に料理が余っても、容器や、容器の代わりになるものが[アイテムボックス]の中に多少あるから、その容器に料理を移して[アイテムボックス]に保存しておけばいいからね。


「そう?ならいいのだけれど、2人はどうなさいますか?」


「・・・私はいつもの」


「私は」


 ミルタさんとイリアも料理を頼んだ。






 料理は美味しかった。また来ようと思った。


 ピィナーが注文した料理はかなりの数があった。

 あんなに料理の種類があるとは思わなかった。


 個室が大きな個室でよかった。狭かったら間違いなく料理が部屋に入りきらなかっただろうからね。

 かなりの大きさがあった机に所狭しと並ぶ料理は見ているだけで壮観だった。


 ピィナーは料理の半分は食べたけど、それ以上は食べられそうになさそうだったから、残りは[アイテムボックス]に入れた。


 もちろん容器は移してだ。

 お店の容器を貰うわけにはいかないからね。


 あの量を半分も食べたピィナーの体は坂道をコロコロ転がっていきそうなほどに丸々太っていた。

 でも、しばらくしたら元に戻るけどね。


 で、お店を出たらミルタさんとはまた明日の朝、街の門のところで会う約束をして別れた。


 今はもう宿屋に帰ってきている。


 今日はせっかくイリアと話が出来るようになったんだから、魔法陣を描くんじゃ無くて、イリアと色々お話をしようと思う。


 僕はイリアのことをほとんど知らないからね。


 同じパーティのことは色々知っておきたいから。

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