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第36話 ダンジョンへ向かう

 僕たちはダンジョンに向かうため、街の外に向かった。

 朝起きた時に、昨日使った魔法陣をアイテムボックスからバックの中に補充している。

 つまりもう準備は整っている。


「・・・あ、来た」


 街の入り口にミルタさんが立っていた。

僕たちのことを待っていたのかな?どうしたんだろう?用事?とりあえず挨拶しておこう。


「おはよう、ミルタ」


「ピィ!(おはよう!)」


「・・・」


 イリアは頭を下げた。多分挨拶だろう。


「・・・お、おはよう、あの」


 ミルタさんは何かを言い淀んでいる。どうかしたのかな?


「どうしたんだ?俺たちに用事か?」


「・・・貴方の、その、」


「ん?」


 ミルタさんは下を向き、その後、意を決したように僕を見つめた。


「・・・貴方の秘密を知りたい」


「何?」


 僕の秘密を知りたい?僕の秘密、本当はイーシスじゃなくてアルターだって言うことかな?なんで知りたいんだろう?

 というより、なんで僕に秘密があることを知っているんだろう?


「何故だ?」


「・・・私は、強くなりたい」


 でも、ミルタさんは答えてくれなかった。

 それどころかよくわからない返事が返って来た。


 強くなりたい?僕がイーシスじゃなくてアルターだって知ったら強くなれるのかな?なんで?


「何故だ?」


 どうやってそれで強くなるんだろう?僕は気になったから聞いてみた。


「・・・それは、」


 ミルタさんは勿体ぶっている、いや、言うのをためらっている?ちょっとよくわからない間が空いた。


「・・・復讐のため」


 ・・・ん?またミルタさんは答えてくれなかった。いや、もしかして答えてくれている?


 僕の正体を知ると強くなれて、どうやって強くなるかって言ったら復讐のため?


 うーん、お兄ちゃんなら理解できるのかな?うん、お兄ちゃんに理解できないことはないんだ、なら僕も理解したように振る舞わないと。


「そうか、なるほど、よく分かった、だか教えるわけにはいかない」


 僕の秘密は、僕がアルターだってことは誰にも教えるわけにはいかない。

 何故か、どうやってかは分からないけど知っている人もいる。

 でも、知っている人は少ない方がいいに決まっているから。


 だって知っている人は僕のことをイーシスになりきっているアルターと見る。

 それだとお兄ちゃんの名誉が凄くならないからね。


「・・・そう」


「ああ、俺の秘密を教えるわけにはいかない」


「・・・ならついていく」


 ん?付いていく?僕に付いてくるのかな?

 え?それってつまり。


「なるほど、そうか、ミルタは俺のハーレムに入りたいと言うことだな」


「・・・ううん、違う」


「何?」


 え?付いてくるって、それはパーティに入りたいってことじゃないのかな?

 え、僕たち今からダンジョンに向かうんだけど。


 まあピィナーもいるから元々範囲攻撃はしないようにしようとは思っていたけど、本来ならあんまり歓迎できることじゃないんだけどなぁ。


「・・・貴方の秘密を近くで見極める、いい?」


 どうしてそこまで僕の正体を探ろうとしてくるんだろう?ミルタさんは強くなるためって言ってた。


 ダメだ、僕には何故正体を知ったら強くなるのかが分からない。それに近くで見極められると、もしかしたらお兄ちゃんじゃないことがいつかバレてしまうかもしれない。出来ればパーティに入らないなら近くにいて欲しくはない。


 でも、お兄ちゃんの度量の深さなら受け入れるのかな?

 たとえ自分の正体を探ろうとしている人が来ても、きっと拒みはしないよね?


「分かった、だが、見破ることはできまい」


「・・・頑張る」


 ミルタさんは張り切っている。

正体を知られるかもしれないと言う危険はあるけど、逆に考えると、これはいい練習になるのかもしれない、僕がお兄ちゃんらしく振舞う練習に。


 近くに僕のことを探ろうとする人がいるって状況は、つまり一瞬たりとも油断できないと言うことだ。


 頑張るぞ!僕はお兄ちゃんなんだ、お兄ちゃんらしく、常にそれを意識して行動しよう。


「じゃあ、ミルタにも説明しておく、俺たちは今からダンジョンに向かう」


「・・・どこの?」


「まずは初心者のダンジョンと呼ばれるところだな」


「・・・なんで?」


「称号の獲得と資金稼ぎの為だな」


「・・・称号?」


「ああ、俺は最強を目指しているからな」


「・・・最強」


「ああ、じゃあいくぞ」


 僕たちはダンジョンに向かって歩き出した。






 ダンジョンに向かう道中、魔物が出てきた。


「・・・スライム、面倒くさい」


 ミルタさんが面倒くさがっている。

 とりあえず、魔物のステータスを確認しよう。


「[ディテクション]」


 名前


 種族 スライム


 LV 4


 HP 44/58


 MP 4200/4200


 あ、残念種族だ。

 お兄ちゃんはスライムのことを残念種族って言っていた。


 何故ならスライムは低レベルでしか出てこず、HPも攻撃力も魔法攻撃力もかなり低いからだ。


 このスライム、レベル1の時はHPが2とかだっだんじゃないかな。


 それくらいHPがない。


 でも、もしも高レベルのスライムが出ていたら、ある称号を持っていない人はかなり苦戦することになるんじゃないかな。

 まあ、僕には関係ないけど。


 僕はスライムを蹴っ飛ばした。


 スライムは死んだ。


「・・・え?」






 ダンジョンに行くまでの道中には、スライムやゴブリンくらいしか出てこなかった。

 一応全部倒してはいる。


 最初、魔物を倒して死体が消滅したのに魔石が見つからなくて、あれ?って思っていたけど、よーく見たら、小さな魔石が落ちていた。


 レベル4とかだと、こんなに魔石が小さいとは思ってなかった。


 なんの価値もなさそうだけど、一応拾っておこう。

 でもこんなに小さいと、魔石コレクターの人も買い取ってくれないんじゃないかな?大丈夫かな?






 僕たちは、そうやってしばらく森を進んで行くと、洞窟が見えてきた。多分これがダンジョンだろう。

 道中の戦闘は基本的に僕がこなしてきた。


 ピィナーはペットだから戦いなんてさせないし、女の人は守るものだってお兄ちゃんが言ってたからイリアにもミルタさんにも戦闘はさせてない。


 ミルタさんは僕におとなしく付いてきていた。そして僕のことをじーっと見つめている。

 ものすごい観察熱心だ。一瞬の気すら抜けない。


「よし、入るか」


「・・・」


「ピィピィ!(たんさくたくさん!)」


「・・・見極める」


 イリアはいつも通りの表情で僕について来ていて、ピィナーははしゃいでいる。

 ミルタさんは相変わらず僕をじっと見つめている。


 よし、ダンジョン攻略頑張ろう。

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