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第26話 4人組

 僕たちはツェーンの指し示す場所に向かっていると、街から少し離れた場所に4人の人たちの姿が見えてきた。

 その4人は街から離れていっている。


「あの者らじゃ!そうに違いない!」


「あの4人組か?」


 あれ?あの4人は宿ですれ違った人だ。

 朝宿に泊まりにきたのに、もう街を離れるのかな?


「妾の卵を取ったのはあの者どもに違いない!」


「だが、人違いだったらどうするんだ?」


「妾の勘は間違いないのじゃ!人違いなどあり得ぬ!」


 うーん、この様子だとツェーンを連れて行けばいきなり戦闘になりそうだ。


「俺が一応の確認を取ってくる、[カモフラージュ]」


 僕は背負っていたツェーンを下ろして、透明化のスキルを使って4人組のところに向かった。


 足音でバレることを防ぐため、[ジェット]で飛んで行く。


 4人組は何やら話し合っている様子だったから、近くで気づかれないようにその話を聞こうと思う。


「!?」


「ピィ?(あれ?)」


「・・・え?消えた?」


 ツェーンを連れて行くと問答無用で攻撃するだろうから置いてきた。


「消えた?いやおる、待つのふぎゃ!」


 僕の後ろでツェーンが転んだ音が聞こえてきた。

 幾ら何でも転びすぎじゃないかな?

[リメイク]で体の構造を変えてもなんとなく体の動かし方は分かるらしいから、単にツェーンがドジなだけなんじゃないかなと思った。


 でも、この様子ならしばらくツェーンはこれなさそうだな。






「ドラゴンー、いなくなったねー」


「あの口下手エルフやるぅー!さすが口下手エルフってか!」


「まさかあんな短時間でドラゴンを倒すとは、正直予想もしていませんでしたね」


 どうやらこの人達はドラゴンのことについて話しているようだ。

 本当に卵を取った人達かもしれない。


「あれー、タイチョー、さっきから黙ってどうしたのー?」


「・・・おかしい、みんな、油断するな」


「どうしたんですか?隊長」


「あのドラゴンの消え方、死んだ消え方じゃなかった、空を飛んだまま一瞬で消えただろう?」


「隊長の考え過ぎっしょ!危機は過ぎ去ったっしょ!もう安全で間違い無いっしょ!」


「楽観視はやめろ、俺たちは絶対に失敗できないんだ、違和感があるなら、警戒するに越したことはない」


「そうですね、確かにおかしかった気がします、それにさすがに倒すにしても早すぎますね、あのドラゴンはレベル40だったはずです、今の彼女のレベルがどれほどかはわかりませんが40を超えていることはないと思いますしね」


「ああ、だから急ぐぞ、すぐに我が国に帰り姫様に見せるのだ、ドラゴンの卵をな」


 ドラゴンの卵、ツェーンの食べるはずだった卵のことだろう。


「なるほど、決まりだな」


「!?誰だ!」


 僕は[カモフラージュ]を解除した。


「なにー、いきなり現れたー!浮いてるー!」


「ヤベェよヤベェよ!なんだよそれ!ちょーカッケー!」


「今いきなり現れたように見えました、それに飛んでいる?どうやって、警戒すべきです隊長」


 4人は僕に対して敵意を剥き出している。はしゃいでいるように見える人も、目は笑っていない。


「お前達だな、ツェーンの卵を奪った者達とは」


「ツェーン?誰だ、・・・レベル1だと?」


「返してもらうぞ、ツェーンが困っているんでな」


「返してもらうとは、恐らく卵のことでしょう、つまりツェーンとはドラゴンのことになりますね」


「追っ手だと?・・・もし、返さないといったら?」


「実力行使しかなくなるな」


「実力行使だと?」


「実力行使ぃ?お前レベル1なんだろ?無理無理、俺たちの方が圧倒的につえぇじゃん?隊長、こいつやっていい?」


「待て、・・・空を浮く、いきなり現れた、レベル1、見た目は20歳そこらの人間、ドラゴンの卵の追っ手、あの態度・・・違和感は、レベル1」


「どうしました、隊長?」


「貴様、ステータスを偽っているな」


 !?な、なんで!?

 僕は何かミスをした?アルターだって分かられている?僕はお兄ちゃんらしくなかった?もしかしてお兄ちゃんを知っている人?


「図星か」


「ステータスを偽る?何すかそれ?」


「なーにー?」


「確か、どこかの王家が持つと言われる魔道具の一つに、[ディテクション]で見られるステータスを変える物があるとか無いとか、そういった話があったような気もしますが」


 なんで僕がイーシスじゃ無いって、お兄ちゃんじゃ無いってバレたんだろう?

 対策を立てないと、色々な人に知られてしまう。

 それはまずい。


「・・・なぜ分かった?」


「明らかに1つおかしなところがあるだろ、なら簡単だ」


「おかしなところ?」


 なんだろう?、明らかにおかしなところ?


 ダメだ、分からない。


 その時、隊長と呼ばれる者が何かを取り出した。


「隊長、なんすかそれ?」


 レンズのような物がついた筒型の何かだ。


「・・・なに!?レベル1だと!?どういうことだ?ん?アルター?」


 ・・・まさか、[トゥルーミラー]と同じ効果がある魔道具?

 ・・・見られた、僕がアルターだって、イーシスじゃ無いって見られた!知られた!


「・・・見たな」


 殺さなきゃ、いや、生き物は殺しちゃダメなんだ、でも、僕がアルターだと知る人物を野放しにはできない。


 情報屋の人はお金を払えば言わなくなるらしいけど、この人達にはどうすればいいんだろう?

 お金を払えば言わなくなるのかな?でも見た目や装備が豪華な感じで、とてもお金に困っているようには見えない。


 どうしよう、・・・脅す?


 徹底的に分からせる?話したらどうなるかを。

 幸い、今は僕の正体を知るのはこの4人、周りには誰もいない。

 この4人になら僕はアルターとして接してもいいんだ。

 だってバレているから。


 なら殺してもいいかな?


 ・・・ううん、ダメだ、殺したらイリアやミルタさん、ツェーンに僕が4人を殺したことがバレてしまう。

 だから、みんなが来る前に、いや、みんなが来れないようにしてから、徹底的に脅して、話すことがなくなるようにしないと。


「・・・閉ざされよ、空間、ここに何人たりとも侵入は許さぬ、[アイソレーション]」


 この空間を闇の壁が覆った。


「な、なんだこりゃ!?」


「なーにー!?」


「何ですかこれは!?」


「なにをした!」


 闇の空間の中にいるけど、光がなくなったわけじゃ無い、だけどここはもう外から見ることもできないし、外から入って来ることもできない。


「なに、ただ見られないように、入ってこられないようにしただけだ、・・・ううん、もうこの話し方で話さなくていいんだよね、だって知られちゃったから」


「な、何だ?」


「僕のこと、誰にも話したらダメだよ、もし話したら、地の果てまで追いかけて殺すから」


 脅しってこれでいいんだよね?これであとは僕の実力を見せればいいのかな?

 よし、殺さないように戦おう。

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