外伝5 ミルタ・ウィンター 7
ドラゴンは新人未満を攻撃し続けていた。
だけど、いくら攻撃しようと新人未満は死ななく、新人未満がずっとあの場所で横たわって動かないため、無駄に思ったのか新人未満に対する攻撃をやめた。
そして今度は光の壁に対して攻撃を始めた。
どうやら上手くいってないようだが。
そして、新人未満のいる場所にイリアという女性と青い兎が向かっている。
私はスキルの反動でほとんど体が動かせないため、動くことは、あ、今動きやすくなった。
スキルの反動が消えたようだ。
私も新人未満のところに向かった。
「ピィ?」
「・・・」
新人未満は地面に横たわり、ドラゴンを見つめていた。
「・・・なんで生きてる?」
私は聞いて見た。
「あれでは俺は死なないからな、しかし不覚を取った」
あれでは、死なない?
「ガァァアアア!!」
ドラゴンの叫び声が聞こえてきた。
ドラゴンを見てみると、ずっと光の壁にぶつかり続けているようだ。
「ピィ、ピィ、ピィ」
「ん、どうしたピィナー」
青い兎が鳴いている。青い兎はピィナーちゃんと言うらしい。
「ピィ、ピィ」
「もしかして、エンシェントドラゴンの言っていることがわかるのか?」
え?もしかしてピィナーちゃんのいっていることがわかるの?兎なのに?私にはピィピィ鳴いているようにしか聞こえない。
「ピィ、ピィ」
「なぜ分かるんだ?」
何故わかるんだろう?
「ピィ、ピィ、ピィ」
「ああ、そうか」
何が?
「ガァァアアア」
「ピィ」
「エンシェントドラゴンがか?」
え、ドラゴンがどうしたの?
「ピィピィ」
その後、新人未満はしばらく何かを考えている様子だった。
何でわかるんだろう?何を話していたんだろう?ドラゴンの話?もしかして、新人未満は兎だった?
もしくは兎の言葉がわかる人?
何だろう、そんな人がいるなんてあり得ないのに、新人未満ならもう何でもありな気がする。
もう新人未満が何をやっても驚かなさそうだ。
「繋がれ、無限の空間、万物の収納箱、[アイテムボックス]」
そう言うと、近くに黒い空間が浮かび上がってきた。
そして新人未満はその空間に手に持っていた紙を入れたあと、空間から紙が2枚出てきた。
「・・・え?」
無限の空間?万物の収納箱?そして物を出し入れしていた、まるで今の黒い空間の中に物がいくらでも入れられて、取り出せるみたいに聞こえた。
そんなスキル、知らない。
確か国宝級の魔道具に、見た目よりたくさんのものが入るバックの魔道具があったりしたはずだけど、それと同じようなもの?
「以心伝心、我が意を汝へ伝える、[テレパシー]、相殺する審判竜」
テレパシー?もしかして、さっきかなり距離があったのに新人未満の声が聞こえてきたのは、このスキル?
と言うより今なんて、相殺する審判竜って言っていた?それってドラゴンの名前じゃ?
もしかして、ドラゴンと会話するつもり?
確かにドラゴンには知性があると思う。でも、魔物と会話なんて可能なの?
ダメ、やっぱり驚かないなんて無理みたい。