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第18話 ダンジョンの場所

 僕たちは宿を出た後ギルドに来ていた。

 朝食はギルドに向かう道中の出店で適当に済ませている。


「おい、あれハーレム野郎じゃねえか?」


「あれ、奴隷か?」


「おいおい、もしかして、誰を誘っても断られたから、今度は断られることのない奴隷を買ったってか?」


「あっはっは、今度はペットじゃなく、その奴隷に守ってもらうのかね?」


「奴隷を買うなんて最低だな」


 ギルドの中がざわついている。

 声が重なっていたり、遠いから小さかったりで、ほとんど内容は聞き取れなかったけど、どれいっていう言葉がちらほら聞こえてきた気がした。


 やっぱり僕はどれいを持っているんだ。


 でもどれなんだろう?服かと思っていたけど、服も違うみたいだし、やっぱり見た目かステータスに変化があったのかな?


 そんなことを考えながら、僕は受付の前まで来た。


「・・・冒険者ギルドへようこそ、本日はどのようなご用件でしょうか」


 あれ?昨日と同じ受付の女の人だけど、なんだろう、声や表情が硬い。


 まるで僕に対して嫌悪感を抱いているようだ。

 うーん、もしかしたら昨日ギルド内で騒いだことを怒っているのだろうか?

 まあいいか。


「この近くにダンジョンはあるか?」


「御座いますが、危険なため冒険者ではないあなたに教えるわけにはいきません」


「なら冒険者になれば教えてくれるんだな?」


「あなたが冒険者になることは昨日もお断りしたはずです、それとも、もうレベルを5に上げたのですか?」


「いや、俺じゃない、イリアに冒険者になってもらうということだ」


 そう言って俺はイリアを前に出した。


「・・・最っ低」


 ん?何か受付の女の人は小さな声で呟いていた。


「何か言ったか?」


「・・・では登録の前にステータスを確認させていただきます、[ディテクション]・・・え?MP0?」


 え?もしかしてMPが0だと冒険者になれないのだろうか?


「MPが0じゃ登録できないのか?」


「・・・いえ、ギルド登録の規定にはそう言ったものはありませんので登録は可能です」


 そう言って受付の女の人は、一枚のカードを取り出した。


「では登録を行うので、このカードに魔力を流してください」


「魔力を?」


「ええ、それによってギルドカードに登録者の情報が刻まれます」


「そうか」


「魔力は人によって千差万別なため、自身の魔力でカードに登録しておけば、他人が勝手に自身のギルドカードを扱うことは出来なくなります、だからギルドカードは身分証明証にもなります」


 そうなのか、魔力は一人一人違うのか。

 それとギルドカード、そんなものがあるんだ。

 多分ギルドカードは魔道具というものなんだろう。


 僕は魔道具というものに関してはほとんど何の知識も持たない。お兄ちゃんから聞いてもいないし、攻略本にも書かれていなかった。


 お兄ちゃんに知らないことがあるはずなんてないから、当然魔道具についても全て完璧に知っていたと思うけど、もしかしたら魔道具を嫌っていたりしたのだろうか?


「それにギルドカードには討伐した魔物の情報が記録されるので、討伐系の依頼の証明としても扱えます」


 そんな効果もあるんだ、でもどうやって魔物の情報を記録するんだろう?


「ただし、情報の記録はギルドカードに魔石をセットしておかなければなりませんのでご注意ください、魔石は小さなものでも1日は持つので、討伐系の依頼を行う際は予め魔石をはめておいてください、魔石は魔物を倒せば手に入る他、ギルドでも購入が可能です、もし魔石をはめ忘れた等でギルドカードに討伐情報が記載されていなければ、余程のことがない限り報酬は払えませんので予めご留意を」


 へー、そういうシステムなんだ。でもやっぱり不思議だな、魔石に使い道があるなんて。


 お兄ちゃんは言ってた。魔石は換金用のアイテムで、町や村に必ず一人はいる魔石コレクターに売るだけの物だって。


 でも魔石はギルドでも売っているようだし、それに魔石は魔道具に使えるようだ。

 そういえば、昨日あったクロス君も魔石を必要としていたな。


「討伐した魔物のドロップアイテムはあちらの買取カウンターにお持ち頂ければ、ギルドの方で鑑定したのち、買い取らせていただきます」


 うーん、なんでお兄ちゃんは魔石を換金用の売るだけの物なんて言ったんだろう?あ、そうか!これはお兄ちゃんルールなんだ!

 お兄ちゃんは特別な自分ルールを持っている。魔法の詠唱もそうだし、この魔石もそうなんだろう。


 お兄ちゃんは魔道具を嫌っていたんじゃない、魔道具なんかに頼っているようじゃ最強にはなれないってことを言いたかったんだ。


 自身の力で全てを行なってこその最強だと。

 だから魔石は売るだけのものって言ってたんだ。


「依頼はそちらの掲示板に貼られています、初めは受けられる依頼が限られていますので、地道に冒険者のランクを上げてください」


 だから僕に魔道具のことを何も教えてくれなかったし、攻略本にも書かれていなかったってことか。


 僕は魔石を魔道具には絶対に使わないようにしよう。魔石は魔石コレクターに売るだけにしよう。


 あ、それなら昨日クロス君に魔石をあげるのもダメだったかも。


 いや、それは人助けだから、きっとお兄ちゃんも同じことをしていたはず。

 多分大丈夫だと思う。


「そして我々ギルドからの信用を損なうような行為はやめてください、最悪の場合ギルドカードの剥奪と罰金、投獄もありえますので」


 ギルドカードも使うべきじゃないかな?でもそうなるとお兄ちゃんが言ってた冒険者になりたいっていうのと矛盾しちゃう。


 どういうことだろう?


 あ、別に魔石を使うのは討伐依頼だけなのか。


 討伐した魔物の情報を記録するのに魔石を使うだけだから、魔石が無くともカードに登録はできる。


 だから討伐依頼はできないけど、冒険者になるのは問題ないのか。


「以上で説明を終わります、その他に何か質問や疑問等があればいつでも受け付けますので此方においで下さい」


 あ、途中から考え事に夢中で、また聞いてなかった。

 またやってしまった。


 どうしよう、これは僕の悪い癖だ、早めに直さないといつか取り返しのつかないことをやらかしてしまいそうだ。


 でも、きっとギルドの説明は聞いてなくても大丈夫だと思う。最悪ピィナーから聞けばいいかな?


「ピィ(zzz)」


 あれ?ピィナーが床で寝てる。

 長い話が退屈だったのかな?というかピィナーには僕の言葉しか通じないから起きていてもダメだったか。


 イリアから聞こうにもイリアは話せないし。


 受付の女の人に聞こうにも、何を話したか聞いてませんでした、じゃあお兄ちゃんが失礼な人になっちゃう。

 あれ?思ったよりマズイのかな?


 いや、きっと大丈夫、なんとかできるはず。

 それに何もわからないことがなければ問題はないんだし。


「では、登録をお願いします・・・あの、登録をお願いしたいのですが?・・・えっとカードに魔力を流してもらえれば、あの、大丈夫ですか?」


 あ、もしかしてイリアは[魔力抜き]が出来ないのと同様にギルドカードにも魔力を流せないのかな?


 どうしよう。イリアも冒険者になれないんだ。


 もうギルドでの情報収集は諦めたほうがいいのかな?

 別にギルド以外でも情報を集めようと思えば集められるか。

 そういえば昨日、街を探索している時に情報屋って書いてある建物があったかな。そこならダンジョンの場所を教えてもらえるかもしれない。

 そこに行こう。


 もうイリアがいるから、自分以外が女の人のみのパーティというハーレムの条件は達成しているし、しばらくはギルドに来なくていいかな。

 冒険者には全ダンジョン攻略後にレベルを上げた後になろう。


「イリア、冒険者は諦めよう」


「・・・」


「ピィナー、行くぞ」


「ピ、ピィ?(う、うーん?)」


 僕たちはギルドを後にした。






 僕たちは情報屋についた。


「おや、いやっしゃいっすー、本日はどのような要件っすか」


 そこにはなんか軽い感じの女の人がいた。


「情報が欲しいっすか?それとも何か調べて欲しいっすか?もしくは何か情報を売ってくれるっすか?何でもいいっすよ!」


「ダンジョンのある場所を教えて欲しい」


「ふーん、ダンジョンの場所っすか?そんなものはギルドで聞けば簡単に教えてくれるっすよ?って、ああ、冒険者になることを拒まれた人っすか」


「よく知っているな」


「私はなんでも知ってるっすからね」


 っ!?何でも!?

 不味い、何でもってことは僕がイーシスではなく、アルターということを知っているんだろう。


 殺すか?もしここから情報が漏れたら、僕はイーシスじゃないとバレてしまう。


 でも生物はむやみに殺したらダメなんだ。


 でもこれはむやみなのだろうか?

 これは自分の情報を、正体を守るため、仕方ない殺しだから大丈夫なんじゃ?


 いや、ダメだ、これはアルターとしての行動だ。お兄ちゃんの行動じゃない。


 もしここにイリアやピィナーがいなければ殺して証拠隠滅をし、全て無かったことにすれば問題なかったかもしれないけど、いや、うーん、それはいいのかな?


 バレなければ何をしてもいいなんて、お兄ちゃんはしないか。


 やめておこう。

 それでも確認はするべきだし、口止めもしないと。


「俺の情報は、もう誰かに売ったり話したりしたか?」


「へ?いや、話しても売ってもないっすよ?」


「分かった、ならどうすれば俺の情報を一切話さなくなる?」


「えっと、どういうことっすかね?」


「俺のことを話されたら困るんだ、お金を払えば俺の情報を売らなくなるのか?」


「え、ええ、どうしても話して欲しくないなら、ある程度のお金をもらえれば絶対に話さないっすよ」


「そうか、分かった、だか少し待っていて欲しい、今手持ちがあまり無いのでな、そのお金を稼ぐためにも、ダンジョンの情報を教えてくれ」


「もちろんいいっすよ、お代はこれで」


「ああ」


 僕はお金を払った。


「毎度ありっす!この街の近くにはダンジョンは1つしかないっす、それはこの街から東の森の中にあるっす、これはダンジョンまでの地図っす」


「いいのか?」


「いいっすよ、大まかなものでしかないっすけど、ないよりはマシっすよね?これもお代のうちっす」


「そうか、感謝する」


「いえいえ、他のダンジョンの情報もいるっすか?」


「ああ、できれば全てのダンジョンの位置を知りたい」


「全てっすか?」


「ああ、全てだ」


「分かったっす、できるだけ調べておくっすよ、ただし高いっすよ?」


「問題ない」


「了解っす!承ったっすよ!またどうぞいらしてくださいっすー!」


 ダンジョンの場所がわかった。

 そしてあの情報屋にお金を払えば僕がアルターだということは漏れないだろう。


 良かった、今日ここに来ていて。

 まさか僕の正体を知る者がいるなんて。

 危なかった。もし情報屋の存在を知らずに放置していたら、僕がアルターだっていう情報が広まっていたかも知れない。


 他の街にも情報屋あったらまず僕の正体を知っているかを確認しよう。

 情報屋、警戒しなきゃ。


 今日は後は適当に食料を買って、宿屋に帰って魔法陣を書き続けようかな?

 そして明日ダンジョンを攻略しに行こうかな。


 そうしよう。

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