人類移住計画
この部分は、異世界に行ってしまったタケルを追いかけようとする真央に異世界の正体とその危険性を教えようとする美琴の話です。かなり先のシーンですが、ここにどのようにしてつなごうかと考えています。考古学で発見されたホモサピエンス以外の人類の化石は実は異世界人のものであったというのがオチです。ちなみに、洞窟に住んで火を使って、ホモサピエンスよりも背が低く、力が強かったとされるネアンデルタールはドワーフ族の末裔です。
美琴はゆっくりと諭すような口調で話し始めた。
真央ちゃん、タケちゃんが行ったのはね、私が生まれた世界なのよ。あなたから見たら異世界なんだけど、私にとってはこれだけ長い時間を過ごしてもこちらの世界が異世界なの。
その世界では人族と魔族が対立していたんだけど、魔力の扱いが優れていた人族のほうが優勢だったわ。人族が侵攻を進めようとすればするほど、魔族の反撃が激しくなって、形勢は不利になり続けたの。
人族は邪悪な魔族を滅ぼそうと試みたのに、結果的に人族のほうが滅ぶ勢いだったわ。
そんなある日、突然この世界との通路がつながったの。つながったと言ってもこの世界の存在が感じられる程度の繋がり方で、通路は不安定だったわ。
それでもなんとかエルフ族が調査隊を送ってみたら、私達の世界と全く同じ豊かな環境があることがわかったのよ。そして、知性のある生物や文明は存在しなかった。この世界にに移住したら一からやり直せるのではないかと思った。
それが第一次移住計画だったの。
真っ先に移住を開始したのは、体が小さくて不完全な通路を通りやすいホビット族だった。現在のアジア地域にたどり着いた。気候は温暖で食べ物もたくさんあったけど、そこでとんでもないことがわかったの。エルフ族は人族の中でも最も多く魔素を体内に持っているので短い調査期間中気づかなかったのだけど、だけど、ホビット族はあまり魔素を取り込めない。それなのに、この世界には魔素が全くないことが判明したのよ。
魔力が使えないとこちらの世界に来ることはできても戻るのは、どこに現れるかわからない通路を偶然見つけるしかないから交流も不可能な一方通行の移住になってしまうの。