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私の思うこと、感じること

自身がなろうでやりたいことを考えてみた。

作者: 黒井 陽斗

一年間、初めて文字を書きだした日から、私は毎日頭のどこかで物語の行く末を考え悩んで、余暇を惜しんでは文字を吐き出しました。


上手く描けないと苦しんだ。

心無いと感じる感想に憤りを覚えた。

駄作と言われ悔しさで歯を食いしばった。


誰かに面白いと言われた。

レビューを頂き続きが読みたいと言われた。

自分の想いは誰かに届いたと喜びに目頭を熱くした。


その想いに応えようと、ただひたすら書き連ねた一年間……。


私は何故、金にも成らない物語をこれ程までに書き続けたのだろう?


手紙すら苦手で今まで碌に書かず、仕事以外で文章など書くのも億劫だと思って生きていた。


その筈だ。


ならばどうして小説と言う、今までやった事のない創作を、文章を書く事を続けたのは何故だろう?


ふと、そんな事を病院のベッドの上で考えてみました。


最初は自らが素晴らしいと思うモノを、なろうが好きな人に馬鹿にされ、それならば否定する人が素晴らしいと言う場所で、私の素晴らしいと感じる物語を書いてやると奮起して始めました。


こんな一年前の己の姿に、今の自分なら「気持ちは分かるけど、テンプレ以外でやる気なら、最初は読まれない覚悟を決めてやるんだぞ」と言うでしょうね。


沢山の作品があるなろうで、文才も経験もない男が見切り発車で描く、なろうの流行りに反する物語。


こんな物語はそうそう受ける訳もなく、最初は誰にも見向きもされず、ただ一人孤独の中で「わたしの物語を、彼らを愛して欲しい」ひたすらそれだけを望み文字を書き、我武者羅に積み重ね、二十万文字を書き上げた時、私の心は疲弊して居ました。


「やれるだけの事はした、彼らが底辺以下で無駄で無価値と切り捨てた私の想い全てを書ききった。これだけ人がいるなろうなら、百万人の中で百人位は想いを理解してくれる筈だ」


私は自ら初めて書き上げた小説にその程度は理解者がいる、そう考えていたのです。


結果は惨敗、私の想いは、百万の人間がいる世界でわずがに三十人の人にしか届かなかった、そう思いました。


ですがその考えは違うと、ある人から頂いたレビューに気付かされます。


「もっと一緒に泣いたり笑ったりしたい」


伝わらないと諦めようとした私の描く世界や想い、物語の先を見たいと言われたのです。


なろうはダメな場所だと決めつけて、自ら筆を投げ捨てようとした自分の弱さ、自らに足らない物が沢山あると、その言葉を見てようやく気付かされました。


「足らない、私にはまだ足らないんだ、思いも経験も技量も足らない、だから多くの人には届かない。だけど三十人には届いて、先を読みたい、私の描く彼らの未来を閉ざしたくないと言って貰えたのだ」


筆を投げ捨てようとした手で、私は誰かの所為にして自らの物語をなけす弱い心を捨てました。


そこからは最初の奮起とは違う形、私の中にある誰かに届けたいと願う想いを形にして、小説だけではなく沢山の文字を書こう。


そして自分の書き形には拘り過ぎず、周りを見て自分が良いと思う部分は吸収しようと、考えて過ごしていくようになります。


時には攻撃的な人に出会い、時に熱心に読んでくれる方に出会い、新しい気付きを与えてくださる方に出会います。


自らの技量の無さで書いた文章を誤解されたり、それが悔しくて何度も何度も修正し、今もこうして文字を書き続け、沢山の感想と言う言葉に出会った一年間。


多くの想いと出会った今では、前の自分と明らかに考え方や捉え方が変化した私がいます。


その自分は今、何を表現しようと文字を書いているのかを考えてみたのです。


答は作品に寄せられた感想へ、自らが書いたお返事の言葉にありました。


「私はきっと、どこかにいる誰かに、物語と言う愛の形を書いているのだろう」


万人に受け入れられなくていい、たった一人でもいい、私が書いた物語の世界で一緒に旅をして、同じ物を見て笑って泣いて喜んで欲しい。


そして読んだ後は、一緒に歩んだ思い出を心のどこかにそっと、宝物としてしまって欲しい。


「そうか、私は顔も名前も解らないネットの海のどこかの読者という人に、届くかも解らないラブレターを書いているのか」


そう思った時に、凄く納得したのです。


私は作家先生になりたい訳じゃない、なろうでの人気が欲しい訳でもないと解っていましたから、この答は今の私の最適解だと思います。


これは作家に成りたいとか、人気者に成りたいと願うより傲慢かもしれません、だっては私は「金も名誉も要らないけれど、読んだ読者(あなた)の心が欲しいんです」


これが答、自分の物語を誰かに刻みつけたいなんて、難しい事を望む難儀な奴だと、なろうに投稿を一年続けて、それに妄執し囚われていたと理解したのです。


創作とはなんと恐ろしい毒なのか、そしてなんと贅沢な趣味なのかと感じました。


自らの望みは、誰かの心に宿り、誰かの心を癒し励ます事なのですから。


これを読む貴方は作者ですか?それとも読者ですか?


貴方がどちら側にいるか解らないですが、想いは言葉にしても伝え切れる保証は無い、だけど言葉にしないと伝わらないものです。


憎しみは言葉にしないでも無視と言う形でも伝わり、暴言は意識する必要も無いくらいに、口からスルリと溢れていきます。


だから届かない事を恐れず、すれ違う事を怖がらず、貴方の想いを込めた言葉を貴方が愛する全てのモノに与えてあげて下さい。


それが貴方の人生を豊かにする、一番簡単な事を方法じゃ無いかと今の私は思うのです。


私も諦めず書き続けますから、貴方も一緒に書いてみませんか?誰かに想いを伝えるラブレターを。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 幼女作家「生まれてもう半分くらいは書くことを続けてきているけれど、結局のところ、伝わったらいいなということを越える理論はなかったよ」 [一言] 共感するよ。 ただ、もっと伝わる方法があるの…
[一言] 心が折れそうな時に読むと元気を貰えるいいエッセイだと思います。
[良い点] 優しくて、温かで、目頭が熱くなりました
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