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神魂の異常者  作者: サニア11世
2/2

姉と妹


保健室から出た彼はすぐにある人に電話をしていた。

(また、あの人に電話してるのですか?)

ヨミは気に入らなさそうに言った。

「ああ。今回の事は流石に確認を取らないとね。あの子ならきっと知ってるから。」


彼は、ミクとの戦いの後にも関わらず、能力使用の疲れは全くきていなかった。

電話は5コール目にしてそのあの人と言う人物が出た。

「ふふ。貴方から電話なんて珍しい事もあるのね。なんの用かしら?み――。」

彼はその者の言葉を遮り真剣な口調で言った。

「それ以上言わないでよ。僕は君のつけたその名前が嫌いなんだ。」

「そうね。ごめんなさい。貴方は今名前を隠してるんですものね。そのヨミの能力を使ってみんなの認識と疑問を狂わせ名前を変えてるんでしたっけ?今は、なんて呼ばれているの?」


その者は、少し悲しそうではあったが、落ち着いて問いてきた。

「今は和真かずまと呼ばれてるよ。君もそう呼んでくれていいよ。それより少し聞きたい事があるんだ。」


和真かずまは本題へと戻った。

「それより......ね......。私の事はもう母と呼んてくれないのね。当然の事だけれど、悲しいものだわ。私に聞きたい事とは何かしら?」


先ほどよりかなり悲しそうな声である。

「実は、そっちの堕天使だてんしがこっちの世界にきているようなんだ。心当たりはないかな?」

「ミクの事ね。色欲の堕天使だてんしアスモデウス。彼女は少し前に我々の元を離れて、そっちの世界に行ったわ。人間から生気を奪う為にね。まさか、貴方と会っていたなんてね。堕天使だてんしの中では、貴方を見つけ次第、殺して、アレを奪って来るようにと悪魔あくま達から言われているのよ。ごめんなさい。」


和真かずまはその者を慰める様な口ぶりで言う。

「いいんだ。君は悪くない。堕天使だてんし達は悪魔あくま達に昔の戦いで負けて今は悪魔あくまの配下に属しているんだ。命令には逆らえない。仕方ない事だよ。」

「ありがとう。貴方は本当に優しい子だわ。私は産みの親ではないけれど、育ててきてよかったと思えるのは貴方だけよ。とにかく、私が出て貴方と戦う事はないと思うのだけれど、他の堕天使だてんし達は貴方を狙うわ。気をつけて。」


その者は、和真かずまの育ての親であり、名付けの親でもあるが、和真かずまは本当の名前を嫌い隠しているようだった。

「うん。気をつけるよ。ありがとう。堕天使だてんしルシファー......。」


そして、和真かずまは電話を切った。

(はぁ。ルシファーも今、人間界で人間の生活を送っているのです。他の堕天使だてんし達も。これじゃあ、外に出るのも気が抜けないのです。)


ヨミは、和真かずまを心配している様だった。

「大丈夫だよ。僕にはヨミがいるからね。」

和真かずまは、一切の焦りもなく笑顔で答えた。

(それは、そうなのですが、正直私だけではどうにもならない時もあると思うのです。私は攻撃の技はほとんどないのです。)


和真かずまはヨミの心配に悩みながら答える。

「攻撃特化の能力か......。よし。彼女しかいないね。」


ヨミは、和真かずまのこの言葉に急に声を荒げ言う。

(まさか!ダメなのです!あいつとは気が合わないのです!)

「気が合わないなんて言ってる場合じゃないだろう?大丈夫。彼女とは結構仲がいいんだ。今彼女は人間界にいる。今しかない。」


そう言うと、和真かずまは、その彼女の元へと向かった。


学校近くのある場所。


和真かずまは、その彼女がいると思われるある場所へと来ていた。

「彼女がいるとしたらここだね。さぁ、探そう。」

ヨミは呆れた声で、(はぁ。ここなのですか。予想はしてたのですが。なんなのですかこのうるささは。)と言った。


クレーンゲーム、音楽ゲーム、コインゲーム、そう、和真かずま達が彼女がいると踏んだ場所は学校近くのゲームセンターであった。


すると、奥の方から歓声が聞こえる。

「おお~!すげーぞ!真っ直ぐストレートで550だぜ!ハイスコアだ!」

和真かずまはニヤりとしてそこの集団の中へ入って行った。

「やっぱり、ここにいたんだね。」

(はぁ。憂鬱なのです。)

ヨミは、かなり声が小さくなっていた。


その集団が集まるゲームは、パンチングマシーンだった。


そこで、歓声を受けていたのは、金髪、ボンタン、赤のTシャツ、見た目明らかな不良であった。


「やあ。僕だよ。覚えてる?君の力が必要なんだ。一緒に来てくれないかな?」

(さぁ。早く来るのです。せっかく、和真かずまが会いに来たのですよ。)


だが、その不良は和真かずまの事が全くわからない様子である。

「ああん?誰だテメぇ?今俺は良い点出して良い気分でいたのに、テメぇみたいな銀髪ナリヤンのせいでイライラして来ちまったじゃねぇか。失せろや。」


和真かずまの目は、よく見るとその不良の目を見ていない。

その、後ろを見ている。


「ああ。君じゃないから、僕が話しているのは君の中の彼女だよ。」

和真かずまは、不良を前に怯えもせず、冷静である。


「テメぇ。見えてんのか?そんな奴に会ったのは初めてだぜ。だが、これを渡すわけにもいかねぇ。他を当たりな。」

すると、ヨミの可愛らしい子供の様な声とは違う、強い口調の女の子の声がどこからともなく聞こえる。

これが和真かずまの言う彼女である。


(ほう。面白いではないか。タクよ。勝負してみよ。)

タクとはこの不良の名前であろう。

それに対し、和真かずまは、クスクスと笑いながら言う。

「君も、人が悪いね。いいよ。受けて立つよ。」


周りの集団はこの2人が話している事が全く訳がわかっていない。

タクは、ケラケラと笑い、目からは笑い涙を出して、彼女へ言う。

「はははっ!嘘だろ!こんな奴と勝負?お前も腹黒だぜ!」

(ふふ。大馬鹿者め。今お前がやった機械とやらで勝負してみよ。)


和真かずまは、ニコニコしながら、タクへ言う。

「もちろん、能力の使用は無し。真っ直ぐストレートで打って数字の大きい方の勝ち、もちろん、打つのは利き手のみ、君が先行でいいよ。」


タクは、和真かずまの冷静さにイラッとしたのか、少しキレ気味でパンチングマシーンの前に立つ。

「わかってんだよ。真剣に勝負してやるぜ。」


タクは、渾身の一撃をパンチングマシーンへとぶつけた。

パンチングマシーンは音を大きくたてて、少しパンチングマシーンが動いた。


「600!俺は元々能力なんて使わずともこんなけ出るんだよ!ありえないとでも思ってんのか?これが、現実リアルだよ!お前の番だ!せいぜい笑かしてくれや!」

タクは、俺は勝ったぞとばかりに、右手を大きく上げ、周りの集団達から歓声を受けていた。


「そっか。600か。」


タクが、勝ち誇っていると後ろから先ほどのタクの渾身の一撃をはるかに勝る音が聞こえてきた。


タクは、恐る恐る後ろを向くと、パンチングマシーンは30センチ程移動し、点数表には999の数字が。カンストである。


タクは、ありえないといった顔をしながら、和真かずまの胸ぐらを掴み言う。

「おいこら!テメぇ!イカサマしやがったな!この野郎!」


すると、和真かずまは冷静にこう言った。

「僕は、元々能力なんて使わずともこれだけ出るんだよ。ありえないとでも思ってるの?これが、現実リアルだよ?」


彼女の笑い声が聞こえる。

(ははは!やはり貴様は面白い!良かろう!貴様の元へと戻るとしよう!)

タクは、焦りながら言う。

「おい!嘘だろ!俺を捨てるのか!俺の事を気に入って俺の中に入って来たんじゃねぇのか!」


彼女は見下し気味に言った。

(我がお前を気に入る?ありえん事だな。大体、お前は負けたのだ。まぁ、わかっていた事とは言え、見苦しい事だ。)

和真かずまは、笑い2人をなだめながら、タクの手を払う。

「まぁまぁ、2人とも。ケンカは良くないよ。タク君でいいのかな?君も落ち着いてよ。」


タクは一切落ち着かない。

「ざけんな!お前にタクと呼ばれる筋合いもなければ、諭される覚えもねぇ!元々冷静なんだよ!ちくしょう!」

タクはそう言うとその場を離れて行った。


彼女はもう、和真かずまの中へと入っていた。

「おかえり。僕の中に入るのは久々だね。会いたかったよ。」

和真かずまの言葉に彼女はまるで、別人の様にその屈強そうな声が少女の様な声へと変わった。

(わ、我は、別に会いたくなどなかったのだが、勝負の約束だった為に戻っただけだ!勘違いなどするでないぞっ!)


ヨミは、イライラした様な声で会話の間に入った。

(なんで、こいつなんかを戻したのですか!意味不明なのです!)

彼女は、それに対抗する。

(ほう。先客が居ると思えば、貴様か。姉だろうと関係ないわ!追い出してやろうか!)

(先に居たのは、私の方なのです!大体、姉にまさる妹など存在しないのです!それに、和真かずまが私を捨てるはずなんてないのです!)


和真かずまは、2人の会話をさえぎる。

「まぁまぁ、2人とも、姉妹久々に会えたんだから......。喧嘩しないでよ。」

2人は、まだイライラしている様だが、和真かずまの言葉に喧嘩をやめた。


その時、先程、和真かずまとの勝負に負けたタクが仲間を引き連れてやって来た。

「さっきはよくもやってくれたなぁ!あぁん?イカサマ野郎が!」

和真かずまは、頭を掻きながら、タクをなだめる。

「まぁまぁ、落ち着いてよ。こんな所で喧嘩なんかしたら、警察とか来ちゃうよ?それは、マズイんじゃない?」


和真かずまの言葉にタクはニヤニヤしながら答える。

「関係ねぇ!俺は、捕まってもすぐ帰って来れるんだよ!」

彼女が和真かずまに話しかける。

(あいつの言ってる事は、あながち間違いではない。あいつの親は警官なのだ。しかも、それなりに偉いらしい。)

呆れながら和真かずまは言う。

「あらら。親は秩序を保つ者なのに子供が乱す者とは......。呆れちゃうよ。」


タクが2人の会話に割って入る。

「何コソコソ話してんだよ!テメェ!俺に勝ったんだったら喧嘩強いんだろ?イカサマに決まってるけどなっ!」

そう言うと、タクを含めた十数人が手に武器を持ち、和真かずまへと向かって来た。


彼女とヨミは、和真かずまに尋ねる。

(私達の力使うのですか?)

(我らの力でねじ伏せようぞ。)

和真かずまは2人にクスッと笑いながら言う。

「大丈夫大丈夫。まぁ、見てて。」

次の瞬間、和真かずまは、ヨミら2人の力とは別の力を発動した。


和真かずまの右手には黒い「気」の様な物と左手に白い「気」の様な物を出し、タク達を睨みつけた。







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