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魔王! 四天王に会う!

 部屋を出るとすぐに鳥仮面の召使いがやってきた。監視されているのだろうか? 案内されて食堂へと向かう。

 そこには例の四人がひざまずいて待機していた。ぼくの姿を認めると、ロン毛が先陣を切って話し出す。

「ところで、申し遅れましたが、我々は陛下を守護する四天王です。私は氷帝」

 氷帝、ロン毛にマントを羽織り、不自然に厚着だが、それでもなお屈強な体格が伺えるマッチョだ。彼は先ほどから何かとぼくに配慮もしてくれている。話せる相手だろう。

「オレは炎帝だ」

 炎帝、金剛力士像にソックリなハゲである。その肉体を見せつけるかのように誇示した半裸のマッチョだ。体育会系の雰囲気が感じられる。

「雷帝」

 雷帝、こいつは鬼のようだと表現すればいいのか、頭には角が生え口からは牙が飛び出している。そんな恐ろしい形相なのに、どこかユーモラスな印象を感じさせるマッチョだ。もしかすると、イイ奴なのかもしれない。

「ワタシは風帝」

 風帝、ムンクの叫びみたいな顔をしたマッチョだ。ほとんどホラーである。なぜか背中にコウモリのような羽根が生えている。たぶん、こいつのことは理解できそうにない。

「陛下は魔界よりこの世界へ来られて、ご不明なことも多いでしょう。まずは私達にお任せ下さい。陛下のお力はいずれ必要となる時が来ましょう」

 ロン毛改め氷帝が言った。

「おれ達に任せてもらえるか?」

 笑っているのか怒っているのかよく分からない顔で鬼――雷帝が言った。

 魔王と言うからには何か役割があるんだろう。たとえば世界征服とか。現実的には、その前に内政か?

「面倒そうだなあ、任せるよ」

 とりあえず、まだ何も分からないのに行動することはできない。まずは四天王を信頼しておこう。

「陛下に認められたぞ!」

 炎帝が分かりやすいガッツポーズをキメて叫ぶ。随分とテンションの高い金剛力士像だ。

「腕が鳴るぜ」

 雷帝もやる気こそが元気! と言わんばかりの様子でゴツい腕を振り回したりしている。

「それでは、まずはお食事を。陛下に我々の世界の料理がお口に合いますかどうか」

 四天王達はそれぞれ席へと移る。ぼくの席は、どうやら誕生日席だ。

「ウヒョー! 今日のディナーは! 大好物の――!」

 風帝が何かを言っていたが、このあたりは省略する。

 食事は意外にも洋食フルコースという感じで、魔界の住人であるところのぼくにも美味しいと思えるものだった。モリモリと食べ終わると、鳥仮面の召使いが次の皿を持ってくる。召使いは彼一人しかいないのだろうか。

「で、その魔界がどうしたって?」

「我らが王は魔界よりお越し頂く決まりになっているのです」

 ぼくが元々生活していた世界を、ここでは魔界と呼ぶらしい。つまり、ここは異世界ということになる。

 そんなはずがあるか! と疑ってみてもいいのだが、こうしてうまい飯も食えて、仕事は四天王がやってくれる、雑用は召使いがいる、何もしなくてもいい……。

 たとえ何かのドッキリだとしても、今は甘えられるだけ甘えておいた方が絶対お得だ。

 そう、ぼくはこの異世界で新しい生活を始めるんだ!

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