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プロローグ
「で、出来たー!!」
とある明るい部屋の中で、老人が叫んだ。老人の前には複雑な図形が書かれた紙がある。
「つ、ついに出来たぞ・・・時間逆行の魔法が・・・!!」
老人の名はフェルゼン。かなりの力を持っていた魔術師である。
「これで人生を記憶を持ったままやり直せるぞ…。今度こそは失敗しない…絶対に!」
フェルゼンは、青年時代に大きな失敗をして自分の力をなくして以来、ずっと時間逆行の魔法を作成しようとしていた。しかし失敗ばかり。だがフェルゼンは諦めなかった。何度も何度も失敗を繰り返し、遂に作成に成功したのだ。
「さあ、行くか!」
フェルゼンは紙に魔力を流し込み、それを掴む。
パアンッ!
と、大きな音がし、フェルゼンの体が燃え始める。
しかし、フェルゼンは動じない。そういう魔法なのだから。
そして少し経つと、フェルゼンの体は燃え尽き、黒い灰となった。
その上に、燃えていなかった紙が落ち、灰が消えた。
部屋には、灰は少しも残っていない。