3人目 マーク
「ジョン先輩・・・」
魔族が前線を蹂躙している。ジョン先輩が居た場所で爆発が見えた。きっと先輩のストーンブラストだと思う。けど、爆発した場所はすでに敵が押し寄せた後だ。
「撤退だ! 後方の味方と合流するぞ!」
「は、はい!」
「りょ、了解です!」
俺は先輩から先に後方に逃がされ、リサ先輩と合流していた。リサ先輩は、敵の隕石がジョン先輩たちの所へ落ちたのを見て飛び出そうとしていたけど、リーダーが前線から走ってきてすぐに止めた。行っても無駄だと。
ここは前線の後衛だけど、それよりも後ろにアースウォールで構築された基地がある。ここ数年は前線で押しつ押されつだったため、安全だった基地は順調に強化されていて前線の基地として十分に機能していたけど、これから籠城戦が始まるのだろうか。
「リサ先輩、これからどうなるんでしょうか・・・」
「私にも分からないわ。とりあえず今はリーダーの指示に従って」
「了解です・・・」
いつもは優しいリサ先輩も、今は衝撃を受けているのかおざなりな対応だ。
数日前に前線に配備されたばかりの俺でも、今の状況がやばいっていうのは十分に分かる。ただ、どうすればいいのか分からない。リーダーは長い間前線で活躍し、英雄と呼ばれるまでになった人だ。今はリーダーを信じて行動するしかないか。
周りの味方も撤退し始める。敵の炎弾が近くまで届くようになってきた。味方も応戦するよりも逃げ出している。アースウォールは最低限しか無いためここも危険だ。
「リサ。新人を連れて先を走れ。俺はシールドで敵からの弾を防ぐ」
「分かりました」
リーダーは新たにリサ先輩に指示を出し、場所を交代した。リーダーのシールドはすごい。俺を含め、普通の人のシールドは敵の炎弾を防ぐことは出来ない。ベテランですら、一発防げば割れる。なのに、リーダーのシールドは何発もの炎弾を防いでも割れることは無い。
周りの味方の何人かがすでに炎に包まれ、黒焦げになって死んでいく。つまり、敵の進行が撤退する俺たちよりも早いということだ。おそらく、足の速い斥候を先行させているんだろう。
「チッ、イライラさせやがる。ちょっと行ってくらぁ。リサはそのまま撤退しろ。ヒール分の魔力は残しておけよ」
「はい」
「リ、リーダー?!」
リーダーはそういうと、体がオーラに包まれ走り出した。敵が来ている中に突っ込むなんて、この人は何を考えているんだ。
だけど、俺の心配は杞憂に終わる。聞こえてくるのは、敵の叫び声と嬉々として戦うリーダーの声だったからだ。
「あの・・・リーダーっていつもこんな感じなんですか?」
「ええ。心配しなくても、あの人は強いわ。けど、きっと無傷じゃ帰ってこれないから私が治すの」
「そ、そうなんですか・・・」
ちらりと後ろを見ると、炎弾が飛び交う中、リーダーは弾を回避し、シールドではじき、あまつさえ弾を剣で斬っていた。前線で剣を使う人はほとんどいない。基本的には杖でストーンバレットを撃つからだ。剣を使うということは、魔法を撃つ敵の中へ入らなければならないということだからだ。
「ハッハァ! 死にやがれ! オラァ!」
リーダーの、嬉々とした声が響き渡るなか、俺達は無事に基地へと撤退する事に成功した。




