ジョン6
くそっ、やらかした。油断していたわけじゃないが、まさかここまで近くに落ちるとは思わなかった。
伏せから仰向けになり、自分の足を見る。壁とシールドを使って熱風を防いだが、防げていない足先は焼けただれていた。ヒールしてもらえばすぐにでも走れるだろうが、あいにくリサは近くに居ない。本来なら、工兵である俺は一般兵よりも優先してヒールを受ける権利があるのだが・・・。
「やべぇ、俺、ここで死ぬのか・・・」
別に恋人や家族が居るわけじゃないから、俺が死んでも悲しむやつはいない。リーダーは絶対に悲しまないだろう。リサは・・・どうだろうか。できれば悲しんで欲しくないが、死んだ後じゃ結果は分からない。
「せめて、敵を少しでも殺すか」
すでに逃げることが出来ない俺は、壁の後ろへと隠れる。すぐにでも敵の歩兵が攻めてくるだろう。それなら、少しでも敵に被害を与えるべきだと判断した。
しばらくすると、敵が炎弾を撃ち始めた。俺はジッと壁の後ろで待機する。足音がして、敵が近くまで来ているのが分かる。周りを見ても、焼け死んだか衝撃で体が欠損した味方の死体しかなく、生きているのは俺だけの様だ。
敵も死体ばかりだと油断しているのか、ジッとして倒れている俺を無視して後方へと急いでいるようだ。
「馬鹿が、この成果に油断してやがるな」
俺は小声でつぶやく。歩兵のすぐ後ろを敵の工兵らしき兵士が通り過ぎたのを確認できた。敵にとっても工兵はきっと貴重な戦力だろう。そいつを少しでも削れれば、それだけで後方の味方の援護になる。
「ストーンブラスト・・・」
俺の右手に拳大の玉が作られる。俺の手を離れれば、何かに接触しただけで破裂する爆弾になる。こいつを作れるのは、適性のある奴だけだ。貴重な分だけ、威力は保証されているようなものだ。
俺は静かに体を起こすと、敵の工兵らしき魔族に向かって投げつける。敵もまさか、後ろから攻撃されるとは思っていないようで、シールドを張る様子もない。これなら、直撃するはずだ。
数秒後、俺の投げたストーンブラストは敵の工兵らしき敵兵の近くに落ち、破裂する。目標の奴はバラバラに吹き飛んだから即死だろう。近くに居た歩兵の何人かも破裂時に飛んだ石礫でダメージを受けたようだ。
「―――――!!!」
「ざまぁみやがれ」
敵が何かを叫んで、俺を指さす。言葉は通じないが、どうせ罵倒か何かだろう。すぐにでも炎弾で攻撃されるか、捕虜として捕まえにくるだろうが、少しでも抵抗して死んでやる。
「ストーンブラスト」
俺はあとから駆けつけてきた敵の兵士を巻き込むように、自分の近くにストーンブラストを投げつける。敵の捕虜になんてならねぇ。一人でも多く、敵を道ずれにするのが俺の最後の仕事だ。




