一人目 新人
俺は昨日配属されたばかりの新人だ。友人数人も同時にこの戦争に参加させられたが、配属先は別々だった。
初日に魔法の適性を調べられ、友人の一人はヒーラーの適性があったが、俺には特になんの適性も無かった。
この戦争は数十年前から続いているらしい。開戦理由は、人口が増え国土が狭くなってきた人族が、人口の割に国土の広い魔族へちょっかいを出したのが始まりと言われている。
奇襲の様な形で開戦したため、簡単に魔族の領地を奪うことができたらしい。それに味を占め、どんどん領地を奪おうと攻め込んだらしいが、さすがに魔族の抵抗に合い、広い川を挟んだところで戦線が膠着した。そこから数十年も領地の変動は無いらしい。
最初は人口の多い人族が数で押していたが、最近は魔法の得意な魔族に押され気味だ。
開戦当時の指導者たちは寿命で亡くなっているが、終戦する様子も停戦する様子もない。魔族は領地を取り戻すため、人族は手に入れた領地を維持するために今日も戦争は続いている。
「お前達はこの場所を死守しろ!」
リーダーの指示に従って俺は配置につく。ここは魔族軍と人族軍が戦っている最前線だ。
人口の減った人族は、俺みたいな新人であっても訓練する余裕もなく、すぐに実践投入された。
予定では、前日に工作員が作ってくれたストーンウォールの後ろに隠れ、敵が来ればストーンバレットで攻撃する事になっている。
「敵が来たぞ! 距離はおよそ150メートル!」
「よし! 魔法を準備しろ!」
リーダーの指示に従い、魔法の準備をする。と言っても、俺が使えるのはストーンバレットだけ。これは人族であれば誰でも使える魔法で、魔力使用量も少ない。敵を殺す事ができる威力があるのは130メートルほどだ。魔法を扱う力量によっては変わるらしいが、新人を含めて運用するには一律でこのくらいの距離まで敵を引き付ける必要がある。
「魔法の準備ができました!」
「合図をしたら迎撃しろ!」
ストーンバレットは、詠唱は要らないが杖に魔力を込める必要がある。なれればすぐに込められるらしいが、魔法が使えるようになったばかりの俺はまだ時間がかかる。それを含めて慣れたリーダーは指示を出しているのだろう。
「よし、迎撃開始!」
リーダーの合図に従い、魔族を迎撃するために壁から飛び出して杖を構え、ストーンバレットを放つ。
「馬鹿野郎! 全身をさらす奴があるか!」
リーダーの怒鳴り声が聞こえるのと、俺の視界が火の弾で埋まるのは同時だった。どちらの言葉も話せる




