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自分の性癖を詰め込んだキャラのいる世界に転生してしまいました  作者: 焼きそばこっこ


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5/10

せいぜい敵の首を1人10は持ち帰ってこい!準備はいいかぁ?!ノロマ共!(※ヒロインです)

 「いつもはスコープの際は、目を瞑っているでしょう。今日はなぜ、奇妙なポーズまでしてスコープなどとおっしゃったのですか?」


 えー。衝撃の事実。


スコープと言わずとも目を瞑ればできてしまったらしい。まぁ、それくらいのことなら、言い訳は簡単だ。(というか、自信満々でスコープとか言っちゃった私を滅して…!)


 「き、気分転換よ」

 ドキドキしながらノヴァの方を見るが、彼の表情は全く読めないので意味がない。


 「…そうですか。」

 意外とあっさり納得してくれたノヴァに感謝した。

 次に、もう一つの戦場、フィリアもスコープする。(もちろん目を瞑って!)


 …あらら。


 「…勝率は1%。」

「…了解しました。でしたら、そちらはだいぶ時間を要します。早めに出立するといたしましょう。」


机に並ぶお菓子を口の中に詰め込む私の腰を、ノヴァがガッチリと掴んだ。

 一瞬視界が揺れると、目の前に彼の美しい胸筋があった。

 

「行きます。」

「え?行きますって…まさかこの状態(お姫様抱っこ)で、戦場へ??嘘よねぇぇぇぇ!」


 ノヴァの足元が光り、気づけば先ほどいスコープした戦場、グレーダスに来ていた。


数十メートル行けば、その戦いに巻き込まれるほどの距離。


後ろを向けば、アルカナの紋章・雪結晶の描かれたスカーフを巻いた者達が100人ほど並び立っている。


 誰もが鼻息を荒くたて、戦場へ行くことを心待ちにしていた。


 その様子を見て、何かがカチッと動いた気がした。ノヴァの腕から降りて、私の口は勝手に開く。


「総員!これより我らアルカナは、このグレータスの地において、弱者を蹂躙する悪人共を制圧する!勝率は1()0()%!1時間で終わらせる!第1部隊、および第3部隊先発!第2部隊自陣の防衛!前回の戦でまるで役に立たなかった4、5、6部隊のノロマ共は先発に続いて、せいぜい敵の首を1人10は持ち帰ってこい!準備はいいかぁ?!ノロマ共!」


 「「「「「「了解!!!!!」」」」」」


 元・しがないOLだった私の口から出るとは思えない文句に、地面が割れるほど大きな返答が返ってくると同時に、目の前にいた兵達は一瞬で姿を消した。 


残ったのは私と、ノヴァだけ。


「マスター、調子が戻ってきたようですね。」

「ノヴァ。あなたは戦場に行かないの?」


 私の小説の設定では、このギルドで1番強いのは、ノヴァのはず。流石に戦場に1人でいるのは嫌だけど、ノヴァが戦場に参加すれば、1時間と言わず、30分で終わってしまうんじゃないか。


 けれど、ノヴァは、こちらに視線だけ向けて即答した。


「私は、マスターを守るための存在ですから。」


 どうせお世辞だろうと思ったけれど、作り笑顔さえ作らない、その表情が逆に真剣さを出しているようで、気恥ずかしかった。

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