転生初日に戦闘狂共と戦場を駆け巡るなんて聞いたことないわよぉぉぉ!
終わった…私の人生。頭を抱えながらベッドで蠢いていると、
「マスター…5、4、3、2…」
なんのカウントダウンか分からないが、このカウントダウンに間に合わなければ首が飛ぶと錯覚してしまうほど恐ろしい殺気を放ちながら、変わらずノヴァが立っている。
これじゃあノヴァが私の主人みたいじゃない!!
死に物狂いでどこから着るのかもわからないごちゃごちゃした服を力技で装着し、ベッドの隣に用意されたテーブルの前に着席した。
着席すると同時に、朝に合う心地よい音楽と、アロマの香りが漂い、目の前には美味しそうな朝食が用意された。
まずは、ノヴァ淹れたての紅茶を一口…
「では、今週の出征予定を報告いたします。まず、今日はグレーダスと、フィリア、2つの戦場を回ります。」
「ボブフォッ!」
思わず紅茶を吹いてしまった。ノヴァの真っ白のスーツにもかかってしまった…
「あぁ…!ノヴァ、ごめんね…」
「…大丈夫です。」
生活魔法だろうか、一瞬ノヴァの服が光ったと思うと、いつの間にか汚れがなくなっていた。
わぁすごい!…じゃなくて!転生初日に戦闘狂共と戦場を駆け巡るなんて聞いたことないわよ!
どうやって指揮をしろっていうのよぉ!
「…マスター?今日は、‘スコープ’は使わないのですか?」
何?!スコープって!
てかそもそも、ギルドの設定はノヴァのためだけにあるから、『マスター』の設定なんて何も考えてないって!5年前の古い記憶を必死に辿っても、『マスター』についての描写はほぼ無い。実質モブだ。
紅茶に添えられたジャムクッキーを食べて、心を落ち着かせる。
そして、今度こそノヴァの紅茶を飲む。
__カチャン
「ふぅ。」
落ち着いて
この小説は私が創作したものだから、設定は全て私の思考(高校生)が基盤になっているはず…!
だとすれば…
「スコープ!グレーダス!」
手で輪っかを作り、それを覗く。
輪っかの奥に洗浄の様子が浮かび上がってきた。ビンゴ!
たくさん人が戦っている。馬に乗って剣を振りかざす者、遠方から魔法射撃を行う者、回復魔法を使う者…。
なるほどなるほど。めっちゃ戦してるね。血まみれだね。
…で、これを見てどうしろと?
という顔を思わずノヴァに示すと、
「戦況はどうですか?赤色のスカーフを巻いた者達が今回我々が勝利させる軍です。」
なるほどね。戦況を視るのね。じゃあ、さっきと同じ容量で、
「サーチ!」




