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自分の性癖を詰め込んだキャラのいる世界に転生してしまいました  作者: 焼きそばこっこ


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1/10

黒歴史小説を山奥に埋めようとして、死ぬだなんて…!

雨が降っている。体が、冷たくなっていく。私、死ぬのかぁ。こんなバカみたいなことで…


 こんな、高校生の時に書いた黒歴史小説を山奥に埋めようとして、死ぬだなんて…!




 *****

「真弓!あんたの部屋、掃除しといたほうがいいわよ!私、掃除するの忘れちゃってたから♡」


「はいはい…」


 私の名前は園田真弓。都内のしがないOLで、今は有給消化のために実家に帰省中だ。


「掃除を忘れたって…いつからされてないの…?」


 下手すると、私の上京した5年前から掃除されてないことになってしまうのだけど…


 意を決して入ってみると、…存外、というか私が上京した時のままのような。


 お母さんは、あぁ言っていたがやはり定期的に掃除をしてくれたんだろう。親への感謝と共に、懐かしさから私は部屋を漁り出した。


すると、 

 


  バサっ



「ん…?」

 ノートのようなものが本棚から落ちてきた。表紙には大きな㊙︎印と共に、こう書かれていた。



『THE NIGHT~ごく普通の高校生が、世界のラスボスを倒して、完璧王子とゴールインするまで~』



その瞬間、私に脳内で完全抹消していたはずの記憶が蘇る。


『うへへ…主人公は、黒髪黒目の私みたいなセミロングで~、最強で~、ヒーローは金髪碧眼イケメン王子!!』


「ヒョォォォォォォォ……!」


 声にならない声が出た。

 急に禍々しい雰囲気を醸し出してきたノート…思わず手が震える。ノートの中身を開く勇気さえもない。


 これは…これは…私が高校生の時に書いた主人公(私♡)最強の黒歴史小説だぁぁぁぁぁぁ!

 

 今すぐ…今すぐ処分しないと…!!


「お、お母さん!ちょっと山奥まで行ってくる!!」

「え?あんた、掃除終わったのかい?」

「帰ったらする!」

「昨日雨も降ったから、すぐ戻ってくるんだよ!」


__って言われてたのに、見事に山道のぬかるみに足を取られて脇にあった崖に落ちて、今これ。


 そろそろ視界もぼやけてきた…。右手には埋め損ねた黒歴史小説がある。


 せめて…私が死んだ時に、このノートが見つからないように…!


 私は動かない体の最後の力を振り絞って、小説を投げた。


 あぁ…どうか…どうか見つかりませんように…!



 

 そして、環境保護団体さんごめんなさい…!


 _____________________

 マユミの書いた小説は、マユミからそう遠くない所へ投げ出され、その衝撃で、ノートが開きました。

 その見開きにはひとつの人物紹介が書かれていました。

 


ノヴァ・ファタール ←顔面国宝!


 グレイア王国最強のギルド魔法兵

 所属ギルド:アルカナ

 得意魔法:氷魔法 異次元の魔法が使える!!

 戦場への度重なる出兵の影響で、表情を表に出さないように

 でも、心を開いた相手にはこれでもかというほど溺愛する

 貧困街で、アルカナに拾われ、以来忠誠を誓う。

______________________

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