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ドン底鍛冶屋が転生して気づいたら、最強でした  作者: 高本 元史


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第十九章 《古龍の骨槍》と《古龍の鱗鎧》

初めての小説です。温かい目線で読んで頂けると嬉しいてす。

アイディアがうかんでは、新しい小説を書いているので投稿頻度が遅い事をお詫びします。

学生ながら頑張ってます。読んでいただけると幸いです。

王直属の使者が運び込んできた木箱は、ひときわ重厚な封印で覆われていた。

開かれた瞬間、剛は思わず息を呑む。


そこに収められていたのは、ただの素材ではなかった。


一つは、白銀の光を帯びた巨大な骨――「古龍の骨」。

もう一つは、漆黒から深緑へと色を変えながら、表面に龍脈の魔力が脈打つ「古龍の鱗」。


炉に近づけただけで、空気がざわめき、まるで生きた龍が眠っているかのような圧が漂う。

セレナもリュシアも、思わず背筋を伸ばしていた。


「……これが、王が用意した“最上級素材”か」

剛は低く呟き、両の手で骨と鱗を確かめる。


通常の鍛冶では扱えない。だが――《鍛冶神の加護》ならば。


「よし、骨槍と鱗鎧……二つ同時に打つ。どちらも王家の近衛兵に渡るものだ。失敗は許されない」

その声に、セレナもリュシアも黙って頷いた。


まずは《古龍の骨槍》。

骨だ。

炉に入れても赤熱しないほどの硬度を誇る。


「普通の火じゃ無理か……なら――《鍛冶神の加護》」


剛が槌を握り、魔力を注ぎ込む。次の瞬間、骨の表面が青白く揺らぎ、まるで心臓の鼓動のように震えだした。

一打一打に呼応するように、炉の炎が白く燃え上がり、鍛冶場に龍の咆哮が木霊する。


「……音が……聞こえる……!」

セレナが驚きの声を上げる。


やがて骨は槍の形へと整えられ、穂先には龍眼を模した魔石が嵌め込まれた。

完成した瞬間、槍全体が低く唸りを上げ、空気を震わせる。


剛が軽く突きを放つと――轟音と共に衝撃波が走り、炉の奥に置かれた鉄材が真っ二つに裂けた。


「……化け物じみてるな」

汗を拭いながら剛は呟いた。



次は《古龍の鱗鎧》

鱗を使う。

漆黒の光を放つ一枚一枚は硬質すぎて、打ち延ばすことすらできない。


「柔軟さと硬さ、両方必要だ……」


剛はミスリル糸を取り出し、鱗を編み込むように繋いでいく。

その合間に《鍛冶神の加護》で魔力を流し込み、鱗同士の反発を和らげ、互いに噛み合うよう調整していった。


火花が散り、鎧の形が次第に浮かび上がっていく。

漆黒の鱗が光を帯び、羽衣のようにしなやかに揺れる。


「……こんなの、見たことない」

リュシアが呟く。


完成した《古龍の鱗鎧》は、重厚でありながら羽のように軽い。

着用者の魔力に反応して、表面に龍鱗の結界が展開される仕組みだった。


セレナが手を伸ばし、そっと触れる。

「鎧というより……生きている龍の加護そのものね」


二つの大作


鍛冶場に並べられた《古龍の骨槍》と《古龍の鱗鎧》。

その姿は王家の秘宝と呼んでも差し支えないほどの威容を放っていた。


剛は槌を《古竜の骨槍》だけで五日五晩、下ろし続けた。

《古竜の鱗鎧》は休息を挟みつつ十五日かけて全員分無事に完成させた。

深く息を吐いた。

「……これが、今の俺の全力だ」


セレナは静かに頷き、言葉を添える。

「いいえ、これは始まりです。あなたが鍛える限り、きっとまだ先がある」


リュシアは感嘆の眼差しを向け、拳を握る。

「この装備を着る近衛兵……羨ましいな。きっと、どんな敵にも負けない」


「さて、残りで短剣でも作るか」

剛は三人の言葉を受け止め、炉の残り火を見つめながら静かに呟いた。

「――これを託す者たちが、この力に飲まれないことを祈るだけだ」


そして夜は更け、流星工房に新たな伝説が刻まれた。

完結に向けて頑張って執筆していきますので、「面白い!」「続きを読みたい!」と思って頂けたら、ブックマークや評価をして頂けるとうれしいです!

モチベーションががあがると、寝る間も惜しんで執筆してしまいます。

これからも、よろしくお願いします!

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