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ドン底鍛冶屋が転生して気づいたら、最強でした  作者: 高本 元史


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第九章 ダンジョン攻略・前編

初めての小説です。温かい目線で読んで頂けると嬉しいてす。

朝の光が柔らかく草原を照らす中、剛とセレナはのんびりとした足取りでダンジョン攻略の目的地へ向かっていた。

風が髪をなで、鳥のさえずりが耳に心地よく届く。剛はアイテムボックスの中身を軽く確認しながら、夜に炉で打つ武器の構想を頭の中で描いていた。


「この辺りも、まだ人の手が入っていない感じね」

セレナが微笑む。


「まあ……素材を集めるには最高の場所だな」

剛も微笑み、森や丘の景色を楽しみながら進む。

夜が明け、朝の光が丘を包む。

そんな中剛は、朝一番までに彼の店を完成させていた。

軽く指を動かすと、地面の上に小さな木製の箱が現れた。見た目はただの小型ワゴンだが、魔力の波動が箱の周囲を包む。

「……ただの箱に見えるけど?」セレナが眉をひそめる。

「見た目に惑わされるな。開けてみろ」

藤堂が箱の蓋を開くと、箱は魔法の光をまとい、天井がぐんと持ち上がる。壁が左右に広がり、まるで小さな屋台が立ち上がるように変形した。

「うわ……中、めちゃくちゃ広い……」

セレナは驚いていた。

剛はすぐににアイテムボックスから炉や作業台、素材ラックを取り出して配置する。セレナも手際よく道具を整え、設置が終わった剛は魔力で空間をさらに最適化した。

「完成形の設計図は簡単に書けるが、実際に組み上げるのは楽しいな」

剛は笑いながら結界の微調整を行う。

「これで移動中でも材料を保管しながら武器を作れる……最高だな」

剛は淡々と頷きながらチェストに鉱石を入れ、今後作る予定の武器の構想を練った。

「防御結界もついてるし、外敵に襲われても大丈夫だな」

セレナも微笑む。火の光に照らされる四人の顔は、安心感に満ちていた。

剛は小さく呟いた。

「……これで、どこでも鍛冶場になる。戦場でも、森でも、俺の夢の第一歩が踏み出せる」

♢ ♢ ♢


準備を終えた二人は、丘を後にして森を抜けていった。

木々の間を差し込む朝日が、霧を柔らかく照らしている。鳥のさえずりが響き、まるでこれから危険な冒険に挑むとは思えないほど穏やかな景色だった。


「……ダンジョンってのは、どんなもんだ?」

剛が歩きながら尋ねる。


セレナは口元に笑みを浮かべた。

「一言で言えば、“魔力が溜まって形を持った異界の巣窟”ね。魔獣や罠が湧くのはそのせいよ」

「ほう……つまり、鍛冶屋にとっては素材の宝庫ってわけか」

剛の目がわずかに光る。


セレナは呆れたようにため息をつく。

「普通は恐れるものですけれど、あなたにとっては商機にしか見えないのですね」

「当たり前だろ。武器は素材から生まれる。だったら、ダンジョンはでっけぇ鉱山と同じだ」


♢ ♢ ♢


昼頃、森を抜けた先にそれは現れた。

灰色の断崖に穿たれた巨大な穴――その口は黒々と開き、冷たい風を吐き出している。

周囲には古びた石柱や崩れた階段のような構造物が残されており、かつては神殿か砦であったことを思わせた。


「……ここが《古代迷宮》か」

剛が呟く。

空気はひんやりとしており、昼間だというのに暗闇の奥がまったく見通せない。


セレナが耳を澄ませる。

「風の音……違う。魔力が渦を巻いている……。かなり深いわね」

リリィはすぐに杖を取り出し、結界の簡易検知を行う。

「入口の魔力反応は安定しています。中は……相当複雑そうですが」


藤堂は顎に手を当てて頷く。

「入り口付近なら大丈夫だろう。今日は拠点作りを優先して、一気に奥へは行かない」


剛は腰の刀に触れ、ゆっくりと呼吸を整える。

「……素材を拾う前に、まずは生き残ることだな」


セレナが短刀を抜き、淡い銀光を放つ刃を見つめる。

「ええ、慎重に進みましょう」


四人は互いに頷き合い、ゆっくりと黒い穴へと歩を進めていった。

暗闇の中で、炉を叩くように剛の胸が高鳴る。

――新たな冒険と、新たな素材。

その全てが彼を待ち構えているのだった。


完結に向けて頑張って執筆していきますので、「面白い!」「続きを読みたい!」と思って頂けたら、ブックマークや評価をして頂けるとうれしいです!

モチベーションががあがると、寝る間も惜しんで執筆してしまいます。


これからも、よろしくお願いします!

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