第八章 ダンジョンへの道のり
初めての小説です。温かい目線で読んで頂けると嬉しいてす。
朝。グランフィールの街門を抜け、街道を進む二人。
空は高く晴れ渡り、道端には小さな花が咲き乱れている。風は涼しく、旅の疲れを和らげてくれていた。
目的地は西方の山脈に穿たれた「リュミエール洞窟」――初級冒険者にとっては定番のダンジョンである。だが、二人にとってはただの通過点ではなかった。
道中は森と丘陵が続き、陽射しが差し込むたび、甲冑や武具が淡い光を反射する。
セレナの身に纏うミスリル衣は風に揺れ、まるで精霊の加護を帯びたように淡く煌めいていた。腰には剛が打った双短刀。彼女は歩きながら、その柄にそっと指をかけることを習慣にし始めていた。
一方の剛は、新たに完成させた刀を腰に差している。時折、無意識に柄へ手をやり、周囲の気配を探っていた。
「……街道沿いは思ったより静かだな」
「ええ。魔物は街から離れた林に潜むことが多いですから」
セレナは微笑みながらも視線を逸らさない。森の影に潜む危険を常に警戒しているのだ。
「……こうして歩いていると、冒険者というより、遠足みたいだな」
剛がぼそっと呟くと、セレナは小さく笑った。
「ふふ。確かに。戦いばかりだと息が詰まりますものね」
道の途中、小さな野ウサギの魔物が草むらから顔を出した。
ぴょん、と跳ねた瞬間――剛が何気なく石を投げると、頭に命中して気絶してしまう。
「……夕飯だな」
「ちょっと、普通に狩るんですね」
セレナは呆れたように笑いながらも、そのウサギを回収して《アイテムボックス》に入れる。
昼下がり。
森を抜ける小川を見つけ、二人は腰を下ろして休憩する。
冷たい水で顔を洗った剛は、気持ちよさそうに息を吐いた。
「やっぱり、こういう瞬間が一番いいな。街の中より落ち着く」
「私は逆に、森の中より街の方が安心しますけれど……」
そう言いながらも、セレナの表情は柔らかい。剛と過ごす時間に慣れつつある証拠だった。
森を抜けると小さな丘の広場が広がっていた。
剛とセレナは足を止め、夕焼けに染まる空を仰ぎ見た。
「そろそろ野営だな」
「そうですね。あの林のそばなら、風も防げます」
二人は木々の陰に焚き火の場所を作り、周囲を軽く確認した。
剛が小枝を拾い集め、セレナが石を組んで炉を作る。
魔力を指先に集めたセレナが、ボソッと呟いた。
「――《フレイム》」
次の瞬間、小さな炎がぱちりと灯り、枝先から柔らかく火が広がった。
「便利だな……マッチも要らん」
「でも、火加減は難しいんですよ?」
セレナがくすりと笑うと、剛は焚き火の前に腰を下ろした。
セレナがアイテムボックスから取り出したのは、昼間仕留めた野ウサギと街で買った芋や乾燥ハーブ。
剛はそれらを受け取り慣れた手つきで串を作り、肉を切り分けて刺していく。
「手際がいいですね」
「鍛冶師ってのは、刃物だけじゃなく飯の包丁も触るんだよ」
「ふふ……確かにそうかもしれませんね」
焚き火の上で肉がじゅうじゅうと音を立て、香ばしい匂いが漂い始めた。
やがて火の粉がぱちぱちと弾け、あたりの暗がりを照らす。
「……おお、いい色になったな」
剛は串を返し、ほんの少し塩を振る。
その仕草は実に自然で、セレナは無意識に見入っていた。
やがて差し出された串を受け取り、一口かじる。
「……おいしい」
セレナの瞳が驚きに揺れる。
「野営の食事で、こんなに美味しいなんて」
「まあ、肉と塩と火があれば何とかなる」
淡々と答える剛だったが、その頬はほんの少しだけ緩んでいた。
食事を終えると、二人は焚き火の前でそれぞれの装備を整えたり、明日の予定を話したりした。
やがて夜が深まり、星々が空いっぱいに広がっていく。
「……すごい。街の灯りがないと、こんなにも見えるのですね」
セレナが見上げた空には、無数の星が散りばめられていた。
その横顔をちらりと見て、剛は低く呟いた。
「……まあ、悪くないな」
虫の声、風に揺れる草の音、そして焚き火のはぜる音。
静寂の中に広がる自然の調べが、二人を包み込む。
「……こういう時間が、一番落ち着く」
剛がぼそっと言うと、セレナは少し驚いたように彼を見た。
「意外ですね。もっと戦いや鍛冶のことばかり考えているのかと」
「それはそれ。……でも、こういう休息があるから、また火を打てる」
その言葉に、セレナの口元に柔らかな笑みが浮かんだ。
やがて火が小さくなり、夜気が少し肌を冷やす。
セレナはマントを羽織り、剛は炉の残り火を枝で突きながら空を見上げる。
ふと、同じタイミングで二人の視線が交わった。
言葉はなかったが、互いに小さな頷きを交わすだけで十分だった。
――夜は、静かに更けていった。
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付属:魔物の危険度ランク & 武器のランク
特S: 上位の魔王種、竜王種
S: 他の魔王種、悪魔族の長達、上位魔人、魔王配下の幹部達
特A: 各魔王配下、名持ちの魔人、上位悪魔
A: 上位魔族、上位精霊、一部を除く悪魔族。ドラゴン(魔物)
B: オーガ、長鼻族、リザードマン他、ペガサスなど
C: オーク、牙狼族他
D: ゴブリン他
E: 戦闘能力がほぼない魔物
武器のランク
一般
特上級
業物
希少級
大業物
特質級
伝説級
最上大業物
神話級
至極物
創世級
こここうした方が良いとかあったコメントください。
ちなみに他に二つ書いているので投稿頻度は遅めです。
Happy halloween!!




