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「どうやら黒猫がお好きなようで」

猫探し対決を始めたパチュリーとフランドールだったが、パチュリーは猫に嫌われているらしく苦戦を強いられていた。一方フランはというと、たくさんいる中で一番気に入った黒猫を捕まえていた。

ところがその黒猫は…

お題:「墓場」「不安」「猫」 

「あ、そうだ、猫飼おーっと。」

紅魔館の薄暗い地下室、吸血鬼である少女は何を思ったのか、なんかよく分からないことを言い始めていた。

「ねぇパチェ〜、なんか猫飼いた」

「賛成ね、早く捕まえに行きましょうか」

「…あら?いつもみたいに否定しないのね」

「猫は特別よ。魔法使いたるもの、従属として1匹くらいは欲しいと思うわ。」

「へぇ〜…それってただ猫が欲しいだけなんじゃ?」

「……」

「小悪魔がこれ聞いたらなんというか〜」

「…まぁ、あの子はあの子で大丈夫でしょう」

「てかなんでパチェの従属になるみたいな感じなのよ、あくまでも私のペットとして飼いたいんだけど?」

「良いじゃない従属でも」

「むー、ペットが良いんです〜」

「じゃあ、2匹捕まえてきたら良いじゃない」

「あ、そっか、じゃあそうしよーっと。じゃあせーのーで…」

「待ってフラン!ちゃんと玄関から出」

「きゅっとしてドカーン!」

なんの躊躇もなく、ただ一握り。紅魔館は半壊し姉や美鈴は慌て、咲夜も動揺し、パチェの頭にはただひたすら「なんで?なんで?なんで?なんで?…」と繰り返される。口がポカーンと開いた姿は、かの大魔法使いがオーバーヒートした瞬間を表していた。

「…あ、つい癖が。」

「あんた何やらかしてんのよ!これ、誰が修復すると思ってんのよ。」

「…お姉さまじゃなくて、咲夜でしょ?」

「まぁ、そうだけど!そうなんだけど!もうちょっと常識を知りなさい!」

「ねぇパチェ、どっちが先に猫捕まえられるか勝負しない?」

「…あぁ、そうねぇ、良いわ、その勝負受けましょう。」

「えまってまって、どういうこと?」

「お姉さまは関係ない!」

「猫、え、猫?急に?まぁ、それにしてもなぜ今?」

「とにかく、パチェいくわよ!」

「たまには動かなきゃね。」

「よーい、ドン!」

半壊した建物を背景に、吸血鬼の妹と大魔法使いが猫を探しにいく。レミリアは考えるのをやめ、咲夜と美鈴は館の修復を急いだ。

「…私、捨てられちゃうのかな?」

小悪魔だけが不安を抱いていたとは知らずに。




―「ねーこ、ねこねこ、ねーこねこ〜。どーこだ。」

猫が居そうな場所を探してみる。でも、そんなところ考えても分からない。とりあえず、片っ端から探してみる。

「どーこに、いーまっすかー。」

ノリで外に出たものの、咲夜がいないから太陽の光が当たって痛い。でも、猫のためなら仕方ない。とは言っても、やっぱり太陽は苦手。ちょうど視界に入った博麗神社で涼もうとそっちに向かう。

「…はぁ!?猫!?」

「そう、猫探してるの。」

「何を思ってここに来たかと思えば、とんだ大迷惑じゃない。それで?私に手伝えって言うの?」

「いえ、今パチェと勝負してるの。先に猫を見つけた方の勝ちってね。ここに来たのは涼みに来ただけよ。」

「それならまだ良いわ、とっとと見つけて帰んなさい?」

「そうしたいけど、猫ってどんなところにいるのか分かんないもの、見つけようにも探せないわ。」

「猫なんてそこら辺にいるものじゃないの?人里とかけっこう居そうだけど?」

「えぇ〜人里?人里で探さなきゃいけないの?」

「別にそこで探せなんて言ってないわよ、でも、どこに居るかって言われたら、人里になるんじゃないかしら?」

口を拭い、手のひらを伸ばす。グーにしてパーにするのを繰り返しては、色々と考えてしまう。

「人里に行きたくない。」と躊躇う感情。あいつは別にこういうことに慣れてるから良いけど、私はそうとはいかない。だって、あんまり外に出ないし、何かと壊れるから怒られるのが目に見えて分かる。

「…あんたが人里行ったら、ろくでもないことになりそうね…」

霊夢がそう話すくらい、半ば諦めが募る。

「えぇ〜…人里かぁ…」

「そういやあんた、見た感じ一人だけで探してるのけど、他に探してるやつはいるのかしら?」

「パチェが探してるわ…って、そういえば先に猫見つけた方が勝ちって勝負してたじゃない。」

「勉強みたいな感じで、人里のところに行ってみれば?まぁ、人里って言っても街のはずれのところを探しなさい。あそこが一番良いんじゃないかしら。」

「分かったわ。ちゃっちゃと見つけよーっと。」



数時間後



「あー、暑い。暑い暑い。猫なんて探してらんないわ。」

人里から少し離れた大木の影に座る。近くには墓とお花畑。そこら辺を探してみれば、猫が居そうな雰囲気である。

「…ミャー」

「…」

「ミャー」

微かに猫の鳴き声が聞こえた、その声に釣られるように静かに移動すると、猫の溜まり場のようなものを見つけた。どうやら餌を食べているらしい。

「やっと居た〜!」

あまり見たことがない猫、白もいれば焦茶もいて、どいつもこいつも何かと可愛い。でも、一際可愛いやつが1匹いる。

「こいつにしよーっと!」

「にゃっ!、にゃー!」

尻尾が2つで、真っ黒な柄、こいつだけは他の猫とちょっと違う。「なんか、こいつ可愛い!」と直感で思ったから、すぐに持ち帰ることにした。




「それで、墓場で見つけた黒猫を持って帰ってきたと…それで?どうするの?」

黒猫を飼ったのは良いものの、考えてみれば色々足りな

いものが多い。

「トイレどこに置くの?」

「…私の部屋の前。」

「紅魔館に野放しにするつもり?」

「そうね、そんな感じよ。私が独占するつもりだけど。」

レミリアは黒猫を抱いたフランを見ながら、「これ、本当に大丈夫なのか?」と心配になっていた。ただでさえ紅魔館を平気でぶっ壊すような破壊神である。猫が破壊されれば、こっちとしても嫌になる。物は良い、でも生き物を破壊されるのは嫌。レミリアはずっと口を隠して考えているようだった。

掴んでいた黒猫はずっとジタバタしていた。でも、フランがちょっとだけグッとすると、たちまちおとなしくなった。

それもそのはずである。

「…(どうしよう、ここで人の姿に戻ったら殺されるかな。でも、黒猫で飼われる予定になってるし…さとり様助けて!!)」

地霊殿に住む古明地さとりのペット、火焔猫燐は墓でいつものように死体を掘り起こしていた。休憩がてら猫の姿になって他の猫たちと戯れていたところ、なぜか吸血鬼がやってきて人の姿に戻ろうにも戻れず、訳のわからないままここに連れてきた次第である。

「にゃ…(とりあえず頃合いを見て逃げたいけど…ずっとがっしり掴むのやめてほしいわぁ〜…)」

フランはがっしりと体を掴んでいた。彼女なりに力加減はしているが、自由に動けないくらいにはしっかりと掴まれていた。できるのは足と手をジタバタさせることだけである。

「まぁ、とりあえずあんたの好きなようにしなさい。」

「わーい!黒猫だーい!」

「…(さとり様、早く助けて…)」




―「どこにもいないわねぇ…」

「お燐〜!どこにいるんだー!」

午後5時ごろ、さとりとお空がお燐を探しに上空から捜索する。普通、お燐ならこの時間帯に帰ってくるはずなのに帰ってこないのはおかしい。きっと何かあったに違いないとお空と話しているうちに、さとりがいてもたってもいられず捜索を開始した。

「おかしいわね、いつもならすぐ帰ってくるのだけど」

「お燐ー!どこにいるんだー!」

「ほんと、杞憂だと良いのだけど。」

一方こいしは、紅魔館の前に来ていた。

「あの吸血鬼の妹さんがお燐を連れて行ったってことは…もしかしたらお姉ちゃんがここに居て、吸血鬼の妹さんに頼んで、ここにお燐を連れてきたんじゃないかって、私に内緒でここで秘密の何かをやってるんだ!えぇ〜、ずる〜い。」

「…え?お前のお姉ちゃんって、あの地霊殿の主か?いやいや、ここにそんな奴いるわけ」

「隠してるんでしょ!分かるもーん。」

「いないいない、なんで紅魔館に来る必要があるんだ。そんな秘密の何かなんてしてないわ」

「あ!UFO!」

「え?どこどこ?」

「…あれ、あいつどこ行った?」

「…お姉ちゃーん!お燐ー!どこー!」

とりあえず、紅魔館の長い廊下を歩く。すると、何やら主らしき人影が見える。

「ねぇ貴方、お姉ちゃんとお燐を見てない?」

「見てないって、いつのまに…というより、なんで地霊殿の主の妹がここにいるの?」

「お燐があの妹さんに連れて行かれたんだもん。貴方ここの主でしょう?どこにいるかぐらい分かるんじゃない?」

「お燐?ここには来てないわよ。第一、こんなところに来る訳ないじゃない。」

「だから、連れて行かれたんだって!ここにいるはずだもん!」

「誰も連れて来てな……もしかして、あの黒猫?」

「そう!黒猫!その黒猫がお燐よ!どうせどこかにお姉ちゃんもいるんでしょ?」

「なんでそうなるのよ、でも、あの黒猫はフランと今遊んでるわ。あいつ、何故か急に黒猫欲しいって言って黒猫を連れてきたもの。貴方の姉は関係ないわ。」

「そっかー!じゃあよかった!お燐連れて帰ろーっと。」

「それならフランのところへ行きましょうか。」

「はーい!貴方、良い子ね!」

「…まぁね。」

吸血鬼と無意識の子、側から見れば何故一緒に歩いているのか分からないがこれも運命。レミリアはこの状況を楽しんでいた。

「ねぇ、フラーン!ちょっとお話があるのだけどー?」

「何ー!今忙しいの!」

「あんたが連れてきた黒猫のことよ!その子、地霊殿の子らしいわよ!!」

「そんなわけないじゃない!」

「ほんとよ!飼い主がそう言ってるんだから。」

「…えー?本当に!?そっち行くわ!」

勢いよく扉を開け黒猫を掴んだまま、レミリアに驚いた表情を見せる。こいしがそっとお燐を掴もうとしたが、フランはそれを拒む。

「ねぇ、なんで!なんでよりによってこの子がその地霊殿のペットなのよ!」

「ねぇ、お燐、そろそろ人の姿に戻ったらどう?」

「…にゃ…」

「この子妖怪なの!?」

「ねーお燐?」

「…あー、やっと戻れた…ほんと、一生地霊殿に帰られないかと思いましたよ…」

「よーしよしよし…」

「わっ。」

レミリアもフランも開いた口が塞がらない。レミリアはともかく、フランにとって苦労して掴まれた黒猫がよりによって妖怪、しかもすでにペットである事実がどーしても耐えられなかった。

「えー!私黒猫飼いたかったのに!」

「仕方ないわ、お燐は私のペットだもの。」

「ねぇお姉さま、私も黒猫飼いたいー!」

「…まだパチェがいるわ。パチェに賭けましょう。」

「はーい…」

「じゃあ私たちは帰るわね。」

「もう連れ去らないで下さい。」

「じゃあまた!」



帰り道にて

「ねぇ、お燐、あのお屋敷で何されてたの?」

「猫じゃらしで遊んだり、お座りとかお手とかしましたし、終いには一緒に寝てました。」

「…あの妹さんと!?」

「正直楽しかった…あぁ!でも、こいし様が一番ですよ!?」

「ジー…」

「…ごめんなさい…?」

「よーしよしよし…」

「あわわ…」

「あんたたちどこ行ってたの?やっと見つけたわ/」

「お姉ちゃんだー!」

「わっ、ちょっとこいし、なんでお燐と一緒なの?」

「紅魔館に遊びに行ってたの。」

「正確には私が連れ去られたんですけどね。」

「…どうりで遅いわけね。とにかく今お空が色々準備してくれてるから、早く地霊殿に帰るわよ。」

「はーい!」




「ねぇ、フラン。そんなに落ち込まなくても」

「…だって、苦労したんだもん。日に焼けながら行ったんだもん!」

「…大丈夫よ、まだパチェがいるわ。」

「…また探しにいくもん。」

「それにしても、パチェ遅いわね。もう夜ご飯前だけど。そういやあんた、咲夜にちゃんと感謝しときなさいよ、あの後すぐに美鈴と紅魔館治してくれたんだから。」

「はーい。」

「ほんと、貴方もまだまだね。」

「何よそれ。」

「いいのよ〜そのままで。」

「むー、だ。」

「とにかく今日はパチェが帰ってくるまで部屋で待ちなさい、帰ってきたらあんたの所まで行くから。」

「…分かったわ、ありがとう。」

その後、夜ご飯を済ませてもパチェは帰ってこず、レミリアはフランの相手をパチェが帰ってくるまでずっとしていた。パチェが帰ってきたのは次の日の昼、ちょうどお燐を紅魔館に連れてきた時間帯だった。

「やっと捕まえたわ!昨日から大変だったのよ!近づいたら威嚇されるしすぐ逃げられるし、魔法で捕まえようにもそんなことしたら猫ちゃんが嫌な思いするだろうからずっと追いかけっこしてたけど、それがやっと捕まえられたもの!それで、フランはどんな猫ちゃんを連れて帰ってきたの?」

「…………その子。」

「え?どこ?」

パチェが捕まえてる猫を指差す。

「その子。」

「え?」

「(……どうしてこんなことになるのだか。)」

連れて帰ってきたのはお燐だった…

私にとって、フランは子供っぽいんですけどね。何かと色々イメージが違うのかなーって。

特に最近はレミリアが子供っぽい感じになってて面白いなーと感じる一方、本来のレミリアはかっこいいお嬢様って感じだろ!って反発してます笑

まぁどんなフランもレミリアも可愛いからokです

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