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おじさん、異世界転移する  作者: 転生したらハニワ
世界「イルネス」
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第7話 ーー新たな世界ーー

「いててて…」


 気がつくとそこは森だった。さっきまでの森とは違ってジャングルに近い。木の大きさも桁違いだ。どれだけ時間が経てばこんなに…


「死後の世界…じゃあないみたいだな。本当に異世界に来たのか?」


 見たことのない植物、見たことのない虫。全てが新しい。俺はこの状況で、


「やったーー!!!!」


 盛大に喜んだ。やっと夢である異世界転移が出来たんだ。ついに…そう思ったが、すぐに口を閉じた。あの人が言っていた。異世界は危険だと。警戒は怠ってはいけない。


「と、とりあえず町とか村とかに着いたらいいかな。歩くしかない」


 今の時間は昼間。あっちとは時間の流れが違うのだろうか? そこら辺もこの世界の人に聞いてみるか…。しばらく歩いていると、キノコがたくさん生えている場所に出る。


「へーキノコか。食べれるのかな。町まで遠そうだし、何個か取って…」


「動くな」


 突然後ろから声がした。女の人の声だ。驚きのあまり後ろを向こうとしたが顔が動かない。


「こっちも向くんじゃないよ。獣の仕業かと思ってたけど、あんただったのか」


「え、えと。初めまして。俺、ヒデヨシって言います!勝手に入ってしまいすいませんでした。まだこの世界のルールとかが分かってなくて…」


「あんた異世界人か。どこの世界から来たんだい?」


「『ベジア』です」


「ベジア?聞いたことないね。服装からしても危険物を持ってるわけじゃなさそうだ。変な力はあるだろうけどね」


 固まっていた顔が元通りに動く。パッと後ろを振り向くと、そこには美しい女性が立っていた。服装的に魔女みたいだ。若々しくて何がとは言わないが大きい魔女だ。


「ここはあたしのキノコ畑だよ。あんたが手を伸ばしてるそれ、触れるだけで毒が効くから気をつけるんだね」


「あ、あぁ…どうも…」


「異世界は初めてかい?随分と不注意だね」


 充分に警戒したつもりだったのに…異世界ってそこまで危険なのか。俺はこの人の安全性を確かめようとしたが、もし危険な人なら俺はもう死んでいる。せっかくだしこの人を頼ることにした。


「はい。危険な状況になって、気付いたらこの森に居たんです。何がなんだか分からなくって…もしよければ色々教えてくれませんか?」


「無駄に礼儀が良いね。あたしが危ない魔女かもしれないとは考えなかったのかい?」


「考えましたが…本当に危ない魔女なら、俺に声もかけずに殺していたと思います」


 せっかく出会えた優しい人。嘘は吐かず、素直に答えるのが正解だろう。


「ふふふ。基本はなってるようだね。着いてきな。あんたの世界についても聞かせてもらおうじゃないか」


 魔女さんはキノコをいくつか回収した後歩き出した。俺はその後を着いていく。不思議なことに、魔女さんの周りの草が避けているように見える。魔法の類だろうか?歩き続けて1時間ほど、やっと家に着いたみたいだ。ドアを開けて「入りな」と言われたから遠慮せず入る。


「あ、あの」


「なんだい」


「助けていただきありがとうごさいます。それで聞きたいことなんですが…」


「まずはあたしからだ。1つ、あんたに付いてるその力について。2つ、あんたが居たと言う世界について。3つ、異世界があることを誰から聞いたか」


 助けてもらった以上質問に答えるのは最低限の礼儀だ。それにしても、3つ目の質問はどうして聞くんだろう…。


「えっと、恐らくその力と言うのは『スキル』です。俺の世界だと生まれてきた時にスキルが付与されるんです。俺のスキルは『適応』、置かれている環境に適応出来る…と言った感じです」


「その割には、異世界に来て早々毒キノコに触れるんだね」


「正直、自分でもこのスキルがなんなのか分からないんです。何も知らない世界だからこそ、使えないのかもしれません」


「なるほどね」


 魔女さんはぐつぐつと鍋を煮ている。良い匂いだ。


「2つ目ですが、俺の世界は…なんと言うか、普通でした。農業があったり、工業があったり…」


「スキル以外は普通か。どこか尖っている部分や認められない部分とかはあったかい?」


「…?そう、ですね。身分の差が大きかった所…とかですかね?」


 すごい。俺の言いたいことや言えることを的確に選んで質問してきている。これなら話もスムーズだ。


「3つ目ですが、俺の世界に来た獣人?に話を聞いたんです。たまたま縁がありまして。あ、そういえば名前聞いてなかったな」


「はぁー。とりあえず何となく分かった。始めから言ってることに嘘はないようだね」


 初めての世界で初めての住人に色々聞かれ、何とか敵視されることは避けられた。出会った人がこんなに優しい人で良かった。

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