オフホワイトは狩りをする
前回までのあらすじ
レクが能力判明!
村を出たよ!
南の端の村を出てから数日後、レクは無心でただひたすらに隣の村を目指していました。
マモノウシやマモノダチョウなどの魔物たちは透明化したレクには気づきもせず、のほほんと暮らしていました。
腹が減ったので、夜中に寝てる間に狩ったマモノブタの肉を焼いて食べながら何の難もなく歩いていたレクでしたが、ふと前方からどたどたと大勢の足音が聞こえます。
見ると、遥か遠くに人影が見えます。
遥か遠くに見えていた人影はだんだんと大きくなり、やがて狩人の集団ということがわかりました。
その集団は時には炎や氷、岩などのスキルを使い、また時には無骨なバカでかい武器を使い、魔物たちを次々と仕留めていきました。
レクは透明になってたら気づかれず死んじゃう!と思ったので力をふんばりました。
すると透明化が解除されたのか魔物たちが襲ってきました。
マモノウシの突進が当たるかと思ったその時、斧を持ったヒゲの濃い赤い瞳の狩人が、横からマモノウシの背中に斧を突き刺し仕留めてくれました。
「大丈夫か、ボウズ。」
「あ、はい。ありがとうございます。」
「無事か、よかった!」
笑いながらそういった狩人にレクは尋ねました。
「みなさんは《狩人の村、フェリクゾーン》の者ですか?」
「おうそうだ。俺はその中でも屈指の名狩人、シレファだ!覚えとけ!」
村に行きたいと伝えたレクは、シレファについていきました。
村に着くと、フキョウの日記にあった通り、木で作られた造りが荒い家ばかりでした。
その中の家の一つにレクは案内されました。
家の中には剣や斧など様々な武器が置かれており、机もベッドもありませんでした。
2人は冷たい木の床の上に座りました。
「ボウズ、お前なんであんな弱いのに冒険者してんだ?この村までたどり着いてるし。」
シレファにあやましまれてしまいました。
「それは、、なんか運がよくてたまたまマモノたちに見つからなくて。」
レクは透明化のことは伏せることにしました。
「よし。ちょっと着いてこい。」
シレファはレクを誘いました。
シレファが連れてきたのは村の真ん中にある空き地でした。
藁で作られたかかしや木の的がたくさん置かれていて、レクより一回り小さい子供たちが修行しています。どうやら練習場のようです。
「よし、ボウズ。暇つぶ、、心配だから俺が鍛えてやる。」
少し本音が聞こえた気がしましたが、レクは鍛錬に勤しむことにしました。
その日からレクの修行が始まりました。
朝早くから剣の素振り。腕が疲れても休めません。
朝飯を食べて昼まで筋トレ。
昼飯を食べて午後は実戦練習。
晩飯の後は弓矢の稽古と瞑想。
一日中隙のないスケジュールでしたが、それ以上に過酷な労働を一年間続けてきたレクにはそこまで苦痛ではありませんでした。
シレファの話も面白く、飯も美味く不自由のない生活を送りました。
そんな生活が一週間ほど続いたある日のこと。
練習に使う木の的のストックが切れたので、レクは市場に買いに行きました。
人々が連日にぎわう市場は狩人の使う武器や、狩人が狩ってきた魔物の肉や素材などが売られていました。
シレファのメモ入りの地図によると、一番奥の店にあるらしいので人混みをかき分けて行ってみることにしました。
店に着くと、隣にもう一つ地図に載っていない大きな黒い箱があります。
黒い箱には扉がついており、中に入れそうでした。
レクは興味本位で入ってみることにしました。
するとそこには、死んだ顔をした真っ黒の髪で虚ろな真っ黒な目をした女の子が一人、やけに広い黒い箱の中に一つだけある椅子に腰掛けていました。
ブラハネス王国のルール
赤い瞳は火のスキル。
炎を操り火に強い。