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84.実家に帰る

 



 1/3



 ――葉月家、実家。



 玄関内。



 目の前には腕を組み、ふんぞり返っている妹が。


「......フン。 おかえり」


「た、ただいま」


 久しぶりに見た妹、葉月 燈夏は数年前とは変わり、ずいぶんと垢抜けた様相だった。

 ただ、髪型は相変わらずツインテールで幼く見える。


 俺は今、三年ぶりの里帰り中だ。


「一樹、よく帰ってこられたね。 お帰り」

「母さん、ただいま」


 久しぶり過ぎてぎこちない挨拶。電話も全然してなかったから、変な気分だな。


 そんなことを思っていると、妹が俺の後ろの人を指差し、不機嫌そうにいった。


「......で、誰よその人」


「......あ、は、初めまして。 私、真城 雪と言います」

「あ、えーと......俺の、彼女」


「「はあああああああああ!!!???」」


 驚愕の二人。その叫びが葉月家を駆け巡った。


「お、おに、おにおに......あ、あああ」

「あらあらあらまあまあまあ! こんなに可愛らしい子、よくゲットしたわね、一樹! でかしたわ!」


 バンバンと俺の背を叩く母さん。いや本人目の前にして何いってるの?ゲットて......。

 一方、妹は頭を抱え、膝をつきぶつぶつと何かを呟いていた。


 ちょ、変な家族だと思われるやんけ。いや、もう遅いなこれ。


「あ、ごめんなさいね! 私、一樹の母、葉月 栞です。 息子がお世話になってます......こっちのは一樹の妹の燈夏です。 よろしくお願いしますね」

「あ、いえ! 私の方がすごくお世話になってて......こちらこそよろしくお願いいたします。 あ、これ、お菓子......よければどうぞ」

「あらあら、気を遣わせてごめんなさいね。 ありがとう。 さあ、あがってくださいな」

「はい! お邪魔します」



 どうして雪が家へ来ているのか。


 それは、あの日......雪の兄が家を出てしまったことと繋がる。



「お兄ちゃん......本気なの」

「本気も本気だ。 借りてる部屋は自由につかえ......俺はもうしばらく戻らない」


 太一はいった。


「家賃はいれてやるから、お前は――」

「いらないよ。 私が払う」


 遮るように雪が言葉をかえす。


「......そうか。 じゃあな」



 コミケ成功の喜びから一変し、二人の決別でどんよりと空気が重くなる。

 太一の本心が見えない。一体......あの言葉が真実なのか?


 戦うしかないのか?理由もよく分からないのに?


 ......いや、今はそれより


 金見さんが耳打ちをする。


「雪ちゃん......大丈夫ですか?」

「......わかりません」


 雪の背中が寂しそうにまるまっていた。


「......雪ちゃん、一人なんですよね。 今日から」


 一人。あの広い部屋に、一人か。しかもこんな急に。仲の良かった兄に突き放され、突然に。


 これは辛いよな......。


「葉月さん、雪ちゃんと一緒にいてあげた方がいいんじゃないですか?」

「......俺ですか」


「葉月さん以外に誰が必要なんですか」

「......」


「葉月さん明日もお休みだし、少しのあいだ連休ですよね? 二人でゆっくりとしたらいいじゃないですか?」


 確かに一緒にはいられる。けれど、俺が、それを埋められるのか?


 雪は太一の事をすごく信頼していた。兄としても、ビジネスパートナーとしても......それが急にこんな風に裏切りにも近い事をされて、心の負荷は計り知れないだろう。


 俺がいても......



 バシンッ!!!


「痛った!!?」


 見れば金見さんが背中を平手で叩いていた。


「しっかりしろ! 雪ちゃん選んだんだろ、葉月 一樹!!」


「――!!」


 金見さんは俺を睨み付けていた。そうだ、そうだ......俺は選んだんだろ。

 金見さんではなく雪を。


 なら、こんなところで眺めてる場合じゃない。


 俺は......何のためにいるんだ?支えろよ!


「雪!」

「......ん?」


 振り返った雪の目もとには涙がたまっている。


「雪、しばらく俺と一緒に暮らさない?」


「......へ?」


「最近さ、なんか皆でわいわいしてたせいか、寂しくなっちゃって......だ、だめかな」


 きょとんとした表情の雪。すぐにそれが崩れ、笑顔になる。


「......ぷっ、ふふ。 いいよ」

「ありがとう! 帰りに雪の家で着替えとかもってこよう」



 そしてそこで思い出した。


 あ、俺実家かえるって親に言ってたわ。どーしよう、と。

 そしてその話をして実家に一緒に来てもらえるかと相談したところ......



「え、お邪魔していいの!?」

「あー。 まあ、雪が来てくれるなら......雪なら、親も喜ぶと思うし」


「じゃ、じゃあ......うん、行く。 行きたい」



 ――そして、今現在。葉月家。





「お兄ちゃんにかのかのかの彼女......うそうそうそうそ、まじで」


 ずっとぶつぶつ言っている妹へ俺はおそるおそる話しかけた。


「えっと、燈夏さん......? みんな中はいったよ?」


「え、あ......はっ!」


 バシンッ!!


「痛ったいいいい!!!??」

「お兄ちゃんの、あほーーーーっ!!!」


 妹は俺のケツをけりあげ、部屋へと入っていった。


 いや理不尽!!




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