70.開戦宣言
偶然の出合いが、必然的な争いを生む。
見ないふり、続けてきた対価を支払う時がきたんだ。
ずっと前からその予兆......気配はしていたのに、目をそらしここまで来てしまった。
俺は、俺ができる事はあるのか?
この雪と金見さんの戦いが平穏に終わる......そんな事が可能なのか。
わからない......でも、やれることはあるはずだ。
――そうして俺は執筆にはいった。
◆◇◆◇◆◇
そして、雪からのメッセージが届いた。
『金見さんから話きいたよ。 一応きくけど、一樹はどっちが好きなの?』
「雪が好きだよ。 でも、金見さんは恩人なんだ......」
ネタ帳を拾ってもらった事、ダイエットや執筆の為に仕事を手伝ってくれた事、彼女にささえられてきた事を全て雪に伝えた。
『そっか。 やっぱり、金見さんっていい人なんだね』
「だから俺は二人には争ってほしくない」
戦い傷つけあえば、敗者が生まれる......例え雪が負けても金見さんと付き合うなんて出来るはずもない。
そしてそれはきっと金見さんだって理解しているはずだ。
『一樹、私は戦うよ』
もしかしたら、雪は俺の話を聞いて平和的解決を図ってくれるかと思ったが、まさかの開戦を宣言されてしまった。
『金見さんの想いは受け止めてあげないとダメだよ。 だから、私は全力で戦う』
雪の言葉に、はっとした。
『大切なんでしょ、金見さんの事』
「うん」
『わかった。 全力でぶっ飛ばす!!』
俺の彼女は本当にカッコいいな。
◆◇◆◇◆◇
......どうしよう。
真城さんに勝負を持ちかけたけれど、何で勝負するのか全然考えてなかった。
何で......そもそも、真城さんはどういう人なんだろう。どうして葉月さんと知り合いになったの?
戦うにしても彼女の事を知らなすぎる。どういう勝負にするか。
感情に任せて勢いで挑んでみたけど、これじゃあその舞台を作ることも難しい。
ゲームで勝負......?怪物狩人?
それで仮に勝ったとして、意味はあるのか?......ない、と思う。
真城さんが葉月さんに必要とされている、その理由を知る必要がある。
真城さんにあって、私にないもの。
必要と......されたい、私は葉月さんに......。
彼にとって価値があると知ってもらえなければ、たとえ勝負に勝ったとしても私は選ばれない。
......でも、私は
そもそも選んでもらえるような人間なんだろうか?
彼を失いたくない一心で戦いを選んだけれど、私はそれ以前に......
葉月さんは、この会社でパワハラ、モラハラをうけていた。
私が来たときからそうで、これがこの会社の普通。そう思って過ごしていた。
下手に関わってそれが私にも飛び火し、果ては心を病んだりして職を失う、それが怖かった。
そんな私が、今さら......彼が好きだと戦えるのか?
あの時見捨てた彼に、私を見捨てないでと言えるのか?
奪わないでと、逃げないでと......行かないでと、言えるの?
私は――
――どうしたら良い?
その時、真城さんからメッセージが届いた。
それを開くと、予想外の言葉がかかれていた。
『じょーとー! ぶっ飛ばす!! なにで勝負しますか?』
ええええ、めっちゃ好戦的!!!ひ、人見知りとかじゃなかったっけ......?
でも、それはそうか......急に現れた女が恋人を奪おうとしてくるんだからそうもなるか。
けれど......なにで、勝負......。
頭を悩ませ、返信をせずに考え続ける事数十分、更に真城さんからメッセージがきた。
『勝負の内容、悩んでいるなら良いのがありますよ』
......エスパー?
「なんでしょう」っと、一応きいてみる。
『私、一樹とは創作仲間で知り合ったんです。 今度、コミケってやつで共同製作の小説作品を売るんで、それを見てください。 それで金見さんの想いを揺さぶる事が出来たら私の勝ち......想いが揺るがなければ金見さんの勝ち。 どうでしょう』
創作仲間......なるほど、確かにこれは。
自分が葉月さんにいかに必要とされているかを証明するって事か。
そして、その勝敗は私の気持ち次第。
私が有利になるように、配慮してくれてる、のか。
でも、これは理想の勝負かもしれない。見てみたい、二人がどういうモノを作り上げるのか......!
「それでお願いします。 絶対に負けない!」
『わかりました。 いや負けんし!』
ところで......コミケってなんだろう?
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