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8.通話

 


『あ、えーっと、えっと......そ、そうだ、謝らなきゃ!』

「お、落ち着いてください......!」

『あ、すみません、ありがとうございます! 私、すっごい緊張しちゃって......あはは。 すみません』


 ......なんだか不思議だ。あれから暇を見てはいくつか生配信のアーカイブや動画なりを見た。どれも軽快で、明るくハイテンションな声色でトークをしていて、今の会話している彼女とは別人かのような印象をうける。声の魅力的な、可愛らしい普通の女の子。


 緊張とは無縁そうなこの人でも、しどろもどろになるんだな。ちょっとだけ安心した。

 とりあえずお礼を述べよう、言い忘れてしまわないうちに!


「あの、話をとめて申し訳ないんですが......俺の小説、動画にして下さってありがとうございました! とっても良かったです!」

『ほ、本当ですか!?』

「あなたのお陰で、ラストファンタジアのPVもブックマークもあがって、今ランキングの上位にまであがってます! 感謝してもしきれません!」

『良かったです......本当は不快に思われてたりしないかなと不安でした。 自分の作品を知らない間に使われたいたら嫌だとおもうので』

「大丈夫です! それに、イラストとか色んな所に愛情を感じました。 お恥ずかしい話、ちょっと泣いてしまいました」

『な、泣いた!? そこまで喜んでいただけるとは......イラストもBGMも頑張った甲斐がありました!』

「え、BGM? あれ、自作なんですか? フリーのモノでなく?」

『ええ! ラストファンタジアの世界観とキャラクターのイメージを大切にしたつもりです......勝手ながら。 すみません』


 ......マジですげえ。


「俺の作品......応援してくれてるってだけで嬉しいのに。 こんなに手間をかけてイラストもBGMもつけて、朗読まで......本当に嬉しいです」

『あー......えへへ。 だって、私好きですもん。 ラストファンタジア』


 不意の一言が心の奥へと突き刺さった。ぐぐいと涙腺を刺激する。


『主人公のノアくん。 転生して特別な能力があるかと思いきや、普通の少年でしたよね。 でも努力して努力して、果ては魔王へ迫る程の実力を手に入れた......苦しくても辛くても、彼は突き進む』


 そうだ。俺の産み出した主人公ノアは、現代から転生し異世界へと生まれ変わった。けれど、転生特典のチートスキルや最強武器も持っていない。あるのは努力と執念、そして大切な人。


『その姿がとても魅力的で、私も頑張らなきゃって思えて......そうやって支えてもらったことが何度もあるんです! 今こうしてVTuberとして頑張れているのは、ラストファンタジアと出会えたからと言っても過言じゃありません!』


「......嬉しいです」


『私って結構へたれで、だからありがとうございます。 いつも支えていただいて!』


 何この子、めっっっっちゃ良い子やんけ!でも支えて貰ってるのは俺もだ。この人の動画がなければこんな風に多くの人に小説をみては貰えなかった。そして......


「こちらこそです。 俺も白雪さんの動画をいくつか拝見させて頂きました」


『!! うぐっ......はずい』


「恥ずかしくなんて無いです! どの動画もあなたの努力がみてとれる。 歌ってみたは初投稿からくらべ新しいものはより上手くなってたし、雑談配信だって回を重ねてかなりの腕になってる! それに朗読......練習してくれたのわかります。 ありがとう」


『え、あ、えへへ......やば。 照れるなぁ......どうしよ、嬉しい』


「いやいや、本当に凄いです。 俺も頑張らないとって思いました」


『あはは。 では、お互い様ですねえ!』

「ですね! 白雪さんとお話できて良かったです」

『いえ、それは私のセリフですよ! ありがとうございます!』


 本当は断ろうと思っていたのに。メッセージ打ち間違えて良かった。


「では、本当にありがとうございました!」

『はい! こちらこそありがとうございましたーっ!』

「それでは、おやすみなさい!」

『はい、おやすみなさい~! ではまた!』




 プツ......ツーツー




 ん、また?





【大切なお知らせ】

少しでも面白い、先が気になる!続きはよ!と思って頂けたら、下にある☆☆☆☆☆を★★★★★にしていただけると励みになり、喜びむせび泣きます。

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