59.お友達
人見知りを発動させている雪は、金見さんをまったく見ようとしない。
雪にとっては突然あらわれた知らない人だから、仕方ないと思う。
てか、誰かいると思わないよな......金見さんの優しさは嬉しいがまさか看病しに来てくれるほどとは。なにこの人天使なの?
「えっと、来てくれてありがとう、雪。 金見さんは心配して来てくれたらみたいなんだ」
「あ、そうなんです! ごめんなさい、私が勝手に押し掛けてしまって......びっくりさせちゃいましたね」
「あ、え、えっと......」
これは結構まずいか。俺がなんとかしないと......そう思い、金見さんへと話しかけようとした時、雪が金見さんへと話しかけた。
「ごめんなさい、私、ちょっと人見知りで......気分悪くさせたら、ごめんなさい」
動揺しながらも雪はしっかりと金見さんと会話をしようと試みる。
「あ、大丈夫ですよ! と、いうか、私お邪魔かな~って」
「わ、私は別に......!」
お、雪さん大丈夫そうか?だったら、わざわざ心配して来てくれた金見さんもすぐに帰ってもらうのも悪いし、ちょっとお茶でも......よっ
アッ――!!!
「うぐおっ!!?」
「ちょ、一樹!?」
「大丈夫ですか葉月さん!?」
お茶をいれようと体を起こそうとしたその時、腰に激痛が走る。
立ち上がること叶わず、倒れこみ、半ば這いずるおばけのようにフローリングに転がり手を伸ばした。
「......お、お茶を、出さねばと」
「あ、ああ、私がやるよ! だから一樹は寝てて」
雪が慌てて駆け寄ってきて仰向けにしてくれた。成り行きとはいえ、膝枕に寝かされる状態となり、不謹慎ながら......その、ね?ふふ、後頭部の柔らかさにどきどきしてしまいます。ええ。
「......なるほど」
金見さんが小さく呟いた。
? 何がなるほどなんだ?
「お茶は私がいれます! 真城さんは、葉月さんの側に居てください」
「......あ、え、あ......あ、はい」
めっちゃ気をつかわれてるな。お客さんなのに......多分、雪の人見知り具合を考えての事だろう。
マジで感謝しかねえ。頭があがらないな、金見さんには。
「じゃ、お布団もどるよ一樹」
「あ、すみませんお願いします......あでででっ!!」
「ご、ごめん、ゆっくり、ゆっくりね......」
ちらりと見えた金見さんの微笑み。どうやら嫌には思われてないようだ......良かった。
「あ、真城さん」
「は、はい......!?」
俺を布団へ転がしながら雪は金見さんへと返事した。
「買い物袋のもの、冷蔵庫いれときますか?」
「あ、ご、ごめんなさい......! 邪魔でしたよね、そんなところ置いといて」
「いえ、そうではなくて、傷んじゃうと思ったので......いれときますね?」
「あ、は、はい。 すみません......お願い、します」
「はい!」
雪、何か買ってきてくれたのか。
「雪、ありがとう......」
「あ、うん。 ごはんでも作ろうかなって思ってさ」
「まじで!?」
「まじだ!!」
雪の手料理か。なに作ってくれるんだろ?
あれ?てか、初めてじゃないか......やべえ、テンションあがってくるぜ!
「ちなみに何作ってくれるの?」
「んー?」
にんまりと口の端をあげた。そして人差し指を立て、彼女は悪戯に言う。
「ひ・み・つ」
ぐっっっふぅ......あっ、あああ......鼻血でてない、俺?
貧血でまた病院おくりになりそうなレベルなんだが!
今、家には二人の天使が降臨されている!天使を二人と言っていいのかわからないが、舞い降りた美しき彼女らは間違いなく天使と言っても過言ではない。
ありがとう、職場の皆様。ありがとう、お兄様。
俺は今、幸せです。
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