ざまぁ7.槙村くんと絶対絶命 (27話の槙村視点)
――やべえ。
は、葉月の部屋と間違えて、ひとつ隣の人の部屋に突撃しちまった......。
チャイム連打はまだ良いとして(※良くない)、ドアを殴って蹴つけたのはちょっとヤバいかもしれない......割りとへこんでるし。
ま、まあ、全部葉月のせいってことで。もとはといえば全部あいつが悪いだろ、うん。まったく、葉月くんたら、勘違いさせんなっつーの!
そうさ、俺は悪くない......えっと。
周囲をキョロキョロ見渡す。
監視カメラの類いは......一見無さそうに見えるな。
――これは、今ならまだ......逃げられるな!よし、こんな所でまた更に揉め事なんておこしてられねえ!
「......あー、えーと、すみません、人違い(部屋違い)でした! ドアの件は隣の葉月って奴に言ってください! それじゃ俺はこれで」
逃げ帰ろうとしたその時
「あらあらあら~! 人様の家のドアに何してたの?」
「え!? なん......ッ」
あの時の警官がそこに立っていた。
つけられていたのか!?いつから!?
「い、いや、何もしてないけど......」
「そうなのかい? ずっと見てたけれど......本当に何もしてない?」
「してねーって!! いいからそこどけよ!!」
やべえ!今の見られてたのか!?
い、いや、落ち着け......だとしても証拠なんてない!大丈夫だ、しらばっくれれば俺はまだ助かる!!逃げられる!!
焦らせるんじゃねえよ、このクソヤローが!!!!
その時、警官がスッとスマホを取り出した。
それを操作すると、その画面をこちらへ見せてきた。
そこにはドアをガンガン殴り、蹴りつけている俺の姿が、動画でばっちりはっきりしっかりくっきりと映っていた。
「これは......君だろ?」
――あ、ああああ......
先ほどまでの警官のひょうひょうとした雰囲気が一変し、物凄い圧を感じる。
「私はストーカーを許さないぞ」
!!?
この警官、俺をストーカーと勘違いしてたのか!い、いや、誤解だ。実際に俺はあの女に何もしてはいないし、多分説明すればわか......はっ、そうか!その手があった!!
「な、なんか勘違いしてますけど、ここ、俺の部屋なんですよ。 ちょっと鍵を落としてしまって......それでイライラしてしまって。 すみません、反省してます」
「......」
いや、めっちゃ睨んでくるやんけ!!
すげー目力!!怖すぎんだけど、こいつ......!
すると警官は俺の横を通りすぎ、俺が葉月の部屋と間違えた部屋のドアの前に。
そしてインターホンを押し、たずねた。
「......」
「すみません、私、三有野派出所の者です。 このままドアを開けずで良いんですが、少しお聞きしても? ......今外にいる彼はこちらの住人の方ですか?」
ゴクリ......喉が鳴った。
最早寒さすら感じなくなる程の緊張感。
血液の流れが激しくなるのを感じた。
体感数分ともとれる、数秒後......ドアの向こうから返答がきた。
「......全然知らない人です。 なんの面識もありません」
「そうですか。 ......もし、私の事も不審に思われたなら、三有野派出所へ通報してください。 確認したほうが安心できると思うので」
「......わ、わかりました......」
さて、と奴は俺に向き直る。心なしか目がぎらついている......そんな気がする。
逃げよう......証拠も録られた。逃げるしかない。
だ、大丈夫だろ。逃げ切れば、大丈夫だ。こんなことで俺の勝ち組人生に汚点をつけるわけにはいかない。
よし、行くぞ――
「大人しく」
警官の声の迫力とただ者ではない雰囲気に、力を入れた脚も動きをピタリととめられてしまう。
「大人しく、派出所まできてくれれば嬉しい......どうする」
......。
これ、ついていって......どうなるの。ドア、ちょっとへこんでるんだけど、これ大丈夫なのか?
罪に問われる?俺、逮捕されるの?
しかしこの警官の圧は......逃げられない気がする。
どうしたらいい?どうしたらいい?どうしたらいい?どうすれば......助かる?
「そこに車を停めてある。 行こうか」
警官がゆっくりと近づいてくる。
「うおおおお!!!」
ドンッ!
「ぬッ!!?」
あまりの恐怖に俺は、反射的に警官の胸を両手で突き飛ばしてしまった。
後ろの壁へと背をうちつけられた警官。しかし、それに怯むことなく体勢をたてなおし、こちらへと素早く走りよってきた。
そして、俺はあっけなく取り抑えられた。
「はなせっ!!」
「無駄だ!」
こうして俺は派出所へと連れていかれ、無事寒い一夜を凌ぐことができた。
払った代償は大きく、親と会社の上司に鬼のようにキレられた。
なにもかも
そう、葉月。お前のせいだ。
全て、お前が発端となったものばかり......
葉月......
必ずこの借りは返すからな。
めちゃくちゃにしてやる、お前も俺のように......人生を狂わせてやるよ。(逆恨み)
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