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【完結】陰キャデブな社畜、知らぬ間に美少女VTuberを救う。   作者: カミトイチ《SSSランクダンジョン〜コミック⑥巻発売中!》


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ざまぁ6.槙村くんと逃走中 (27話の槙村視点)

 


 ――はあ、はあっ!


 こけそうになりながらも、全速力で夜の町を駆ける。


 や、やべえ!また逃げちまった!!

 いやだって急に背後にいるんだぜ!?フツー逃げるだろ!?


 けど、あの警官......追いかけてこなかったな?なぜだ?あいつ、何故か俺を真顔で見送っていた。


 ブルッと背筋に悪寒が走る。この寒さのせいか、警官の不気味さのせいか。


 ......わからないけれど、このまま逃げれるなら逃げよう。


 しかし、その逃走途中に金見家を張っていた理由を思い出す。


 いやまて!俺は金見の家にいる葉月の鍵(会社の)が必要なんだよ!


 ズシャッ!と足でブレーキをかけ、体の向きをかえた。


 でもどうする?金見の家へと戻るわけにはいかないぞ......おそらくあの付近にはさっきのこええ警官がいるはず。


「......チッ!!」


 あの変態野郎が!警官のクセにストーカーみてえな真似しやがって!!

 俺がなにしたっつーんだよ?ただ人の家覗いてただけだぞ!?別に変なことしてねーだろ!

 つーか、むしろお前はちゃんと見回りなりなんなり仕事しろよ!こうしてる間にも怪しい奴がそこら辺で変態的な行為に及んでるかもしんねーだろ!?


 くそっ!もう夜もおせえ......いずれにせよ、早く決着つけねえと。明日も仕事だし。


 ぐぅ~っと腹が鳴る。


 腹減ったな......とりあえずコンビニで飯買うか?出禁の店でも顔隠せば買うくらいならいけるだろ、多分。まだ葉月のやろうは金見の家から出てこないだろうし。


 ――いや......まてよ?


 本当にそうでしょうか?いくらなんでも、ちょっと長すぎじゃねえ?

 もしかして......もしかしてだぞ?もしも、万一、金見と葉月があれでそれで、そうなら、お泊まりコースも有り得るのでは?


 そうなれば出てくるのを待っていても無意味......俺は家には入ること叶わず、この寒空のしたで夜を明かさなければならない。


 俺は......このまま葉月を待っていて、大丈夫なのか?


 くっそ、こんな事なら葉月に連絡先を聞いときゃ良かった。

 連絡すればすぐに会社の鍵をいただいて、難なく家の鍵を探せたのに......!

 金見も金見で俺には連絡先教えるのが嫌だとか断りやがるし。


 どいつもこいつも、本当に使えねえ奴らだよ!


 ......それか、一か八か葉月の家にでも行ってみるか?


 もしかしたらもう帰っているかもしれない......このまま待ち続けてるより一度行ってみたほうが良いよな......行くか。



 ◆◇◆◇◆◇



 ――あ、いるじゃん!!


 玄関のドアの向こうに明かりが見える。


 くそやろう!!いつの間に帰ってたんだよ!!?ふざけやがって!!!


 溜まった鬱憤をはらすように、おもいっきりインターホンを連打した。


 ピンポーン!ピンポーン!ピンポーン!ピンピンピンポーン!


 早く!早く出てこいや、葉月てめえくそやろう!こっちはお前のせいで人生最悪な気分なんだよ!一刻も早くドアあけやがれ!!!


 イライラがとまらねえ......こうなりゃ葉月、お前にも俺ン家の鍵探させてやるからな!

 見つかるまで帰してやらねえ!!あ、そうだ、こいつの家の鍵を人質にして探させればいいんじゃねーか?帰りたければ俺の家の鍵を探せゲーム!!名案過ぎるな?


 ――っていうか!!


 さっさと出てこいや!!!


 ガンガンとここまでの溜まりにたまった鬱憤をはらすように扉を叩く。


「オラー!! 葉月いいいい!! さっさと出てこいや!!」


 ドガンンッ!!とトドメとばかりに蹴りを撃ち込んだ。


「あ、あのっ......どなたですか!? え、だれ......です?」


 扉の向こうから聞こえた女性の声。


「......あ?」


 なんで葉月の部屋から女の声が聞こえるんだ?これは金見の声とも違う......。


 その時脳裏に浮かぶ一人の美女。


 こいつ......もしや、あの時のNo.1美女か!?


 あいつ、さっき金見と遊んでいたと思えば次はNo.1美女だと?ふざけてる!イケメンになった途端に調子に乗り過ぎじゃねえか!?


 許せねえ......!!


「あんた、少し良いか? 俺の言うことを、冷静に聞いてほしい」

「......え......え、え? え......」

「君は知らないだろうけど、あいつは君の他にも女がいるぞ? 君は騙されているんだよ!」


「......あ......え、え......」


 声が震えてやがる。そうだよな、そりゃショックだ。遊ばれていたなんて事実を突然聞かされて冷静でいられるわけ無いよな。


 でも大丈夫さ。これからは俺がいる......お前の心の傷を癒してやるから、安心しろよ。

 だから、そんなやつとは別れて俺と付き合お?


「そこに葉月がいるんだろ? とりあえずそいつ出してくれ。 俺が君を救ってやるよ」


 決まったな、これでNo.1美女ゲット。機転を利かせて成功へと道を切り開く。

 ふふ......ここから俺の逆転劇が始まる!こっから、こっからだよ!


「......あの、葉月さんて......誰ですか」


 ......え?


「も、もしかして......隣の部屋の人のことですか......?」




 部屋番を確認し、俺は固まった。



「......あ」



 どうやら一つ隣の部屋へと殴り込んでしまったらしい。



 ......これ、ヤバくね?







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