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【完結】陰キャデブな社畜、知らぬ間に美少女VTuberを救う。   作者: カミトイチ《SSSランクダンジョン〜コミック⑥巻発売中!》


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54.好敵手 (神木秋乃視点)

 


 私は今まで大抵の勝負事には負けたことがない。


 いや、正しくは負けたことが無かった。


 そう、今までは。


 突如として現れたその作品は瞬く間に私を追い抜き、今まで不動であった一位の座を奪う。


 私は目を疑った。それまでに私の一位の座を脅かすものはいたが、それでも約千ポイントの差まで迫るが、それを埋めること叶わず皆落ちていった。

 だが、もし、私を落とす作家がいるとするならば、その誰かだと思っていたのだ。


 しかし、一位を奪われ、目にしたその作家はその誰でも無く、記憶のはしにもかからないような見たことのない作家だった......



 noranuko、作品名「ラストファンタジア」



 初投稿はかなり前。本来であれば、なろうでヒットする作品は最初にポイントを稼いで一気にランキングをかけ上がっていく。もしくは、少しずつ作品が多くの読書に読まれ、だんだんとランキングを上がっていくものだ。


 このラストファンタジアは後者。しかもスコッパー(※埋もれた面白い作品を見つけ出す読者)もいて、それが有名VTuberだった。



「ふん、どうせVTuberの力が大きかったのでしょう」


 そう思った。で無ければ私の作品が()()()()()()()()をつけられ負けるはずが無い。


 とはいえ、作品を読まずして結論をだし、決めつけるのは愚の骨頂。

 ネタにしろ技術にしろ、吸収できるモノを見つけよう。


 私はまだまだ上へ、高みへ登れる。負けず嫌い、負けん気の強い私だが、プライドと言うものは無い。

 あるのは負けたくないという想い、それだけだ。だから敵であろうと味方であろうと盗めるモノは盗み自分の糧とし、武器にする。


 私はそうやってこのなろうの世界に限らず、VTuber、イラストレーターの世界をここまでトップと呼ばれる程の地位にあがってきたのだから。


 さあ、noranuko。あなたの作品を私の糧にさせてもらいますわよ。






 そうして気がつけば時間がとんでいた。


「――はっ!?」


 明るかったハズの私の部屋が、いつのまにか月明かりのみを残し闇が広がっている。


「......なん、だと」


 信じられなかった。私が一番好きな小説を読んだときでさえ、これほどの集中はしなかった。

 本当に時間が消えたように感じる......。

 この小説の持つ、ひとを引き込み時間すら超越させる魅力的な物語。


 まさか私がここまで話に没頭するだなんて......ふふ。面白い、面白いわね、noranuko。


 ええ、認めましょう......あなたは今までで最大の敵、最強の好敵手ですわ。


 読んでみた所、文章力や構成、その殆んどが私のほうが上。けれど、世界観とセンスが卓越してnoranukoのほうが遥か上の位にありますわね。


 これに勝つには......どれくらいの時間を要するのでしょう。ふふふ......面白い。強大な好敵手。楽しくさえもありますわね。


 あと、ひとつ気になった事が。


 この感想欄に書かれている、朗読動画......これはあのVTuber白雪 ましろの物でしょう。これもみてみますか。


 ......白雪 ましろ。登録者数ではまだ私のほうが上。ですが、凄まじい勢いで、どんどんと迫りつつある。この方も私の好敵手。


 ふふふ、皆様本当に私を楽しませてくださるわね。


 ああ、楽しい......悔しいと言う気持ちと、今まで誰として討ち取ることの出来なかった私の作品の上へいった強者と戦える喜び、好敵手の存在。


 心の底からうち震えている......ふふっ、ふふ。



 そしてある日、知り合いの変態から連絡がきた。


『秋乃、もしかするとお前の力をかりるかもしれん』


 は?絶対嫌なんですが。


『フツーに嫌なんですが』


 そのままの気持ちを送る。


『交換条件。 お前が前に話してたnoranuko......彼と冬のコミケで戦わせてやる』


 え、noranuko!?


『知り合いなの?』

『ああ。 けれど、本名も教えられないし、会わせられもしないけどな』

『じゃあ、本物かわかりませんの。 どう証明するの』

『いや、わかるだろ。 その作品をみりゃ、お前なら』


 この変態の「眼」は本物。変態が信じる程の腕ならば......仮に、万が一偽物でも楽しめる、か。


『条件と言うのは?』


『こんど、おそらくだが、うちの妹が本気で絵師を目指すことになると思う。 その先生をしてほしい』

『無理。 時間ないわ』


『頼む。 そうだ! 今度また作曲してやるから! タダで!』


 はあ!?そこまでして!?タダでって......びた一文もまけないことで有名な、この変態が!?


 け、けれど、これは大分おいしいお話ではなくて?

 この変態の所属するバンドは日本でも五本の指に入るレベル。

 知名度もある彼らの曲を頂けるのなら、私の作品の売上が更に跳ね上がること間違いなし!......これはふつーにやらなきゃ損損ですわね。


『いいわよ。 それでいつ? 妹さんに教えるのは』

『お、サンキュー! 助かる。 けど、まだ決定では無いんだよな。 多分、この先そう言い出すだろうと言う俺の勘なんだ。 あ、勿論、その話が無くなってもコミケでnoranukoの作品は出すし、作曲もするからそこは心配しないでくれ』


 勘、か。この変態の勘はよく当たる。

 まだ名もない頃に、私の作品が大ヒットするというのも当てた。


『とにかく、その時が来たら改めて連絡する。 頼むぜ』


 ふん。


『りょーかい』


 ......変態の勘は、当たる。






















 ――スマホの着信音が鳴る。


 来たか......そう思いながら、私は受話器のマークを指で横へと引いた。



「――はい、神木です」


『あ、あの、急にすみません、私、真城の妹で雪と言います。 兄に神木さんを紹介されて、電話させていただいたのですが』


 この子が、変態の妹......そして、あの白雪 ましろ、か。




 ――私の好敵手。極上の獲物。


 



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