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【完結】陰キャデブな社畜、知らぬ間に美少女VTuberを救う。   作者: カミトイチ《SSSランクダンジョン〜コミック⑥巻発売中!》


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50.綻び

 


 なんとなしに太一と始めたBLごっこを聞かれてしまい、謎の怒りをあらわにする雪さんに追い詰められた俺たち二人。


 ビシ――ッ!と壁やガラスにヒビが......気のせいか。しかしそれほどに、肌でビリビリと感じるくらいの圧が放たれている。


 いや、こんなに怒ることある?


 しかし許しを乞うても「怒ってない」の一点張り。こうなると厄介だ......隣の太一は頭を抱えてぶるぶる震えてるし、なんか小声で「神よ......神よ......」とか呟いてるし。


「......雪さん、今のは本当に冗談なんだよ。 ノリでじゃれあってただけで」

「ふーん、そっかぁ」

「......(すねてーら)」

「一樹さんってさ~」

「は、はい」

「......はぁ、もう良いよ」


 なにがッ!言うならちゃんと言ってくれ。出来ることがあるならやるから!

 ......こんなことでケンカとかしたくないよ。


 沈む気持ちと共に、俯く俺。今の雪さんには何を言っても無駄な気がする......。

 くそ、なんでこんなことに......もとはといえば太一が変なノリで来るから!


 そう思い視線を太一へ向けると、頭を抱えたまま太一の視線は此方へと向けられていた。いや、こわっ!ずっと見てたの!?

 てか、正気に戻ってくれたのか......良かった。廃人まっしぐらかと思ってたから。


 そして、その時、圧が無くなっている事に気がつく。


「あ、あれ? 雪さん?」


 さっきまで目の前にいた彼女が音もなく消えていた。




 ◇◆◇◆◇◆




 はあ、はあ......!


 冷たい空気を肺に取り込み、白い煙となる。


 これは焼けついてしまった心からあがる煙なのかな?なんて。


 部屋を飛び出て、二人から逃げるように走っていた。そして家の付近、近くの公園通りまで来たとき、息が苦しくて足を止めた。


「......やっちゃった」


 ぽろぽろとこぼれ落ちる涙。


「八つ当たりしちゃったよぉ」


 この約1ヶ月、一樹さんの小説のイラストを担当するために全力で頑張ってきた。

 そのイラスト練習も決して楽なモノではなくて、何度も心が折れそうになった。


 けど......一樹さんも頑張ってるから、一緒に小説をつくりたいから私も頑張らないとって。

 必死に頑張って......でも、一樹さん、何もほめてくれないんだもん。


 なのに、帰ってみればいつのまにか家にいて、お兄ちゃんといちゃいちゃしてさ。


 ......寂しい。


 冗談なのはわかっていた。けれど、どうしても小さなすれ違いと会えない時間が、寂しさを募らせていた。


 なぜこんなにも寂しさを覚えたのか?答えは決まっている。


 彼の心に私が居ない......そんな気がしたからだ。


 お兄ちゃんが家を出たとき、実家を離れ、北海道から出て見知らぬ土地に来たとき、お姉ちゃんの笑顔を思い出したとき、お母さん......お父さんの顔を思い浮かべたとき。


 そのどれと比べても、今のこの寂しい気持ちにはかなわない。



 一樹さんと初めて通話したとき。


 それが終わり、楽しかったなぁと思い返し......寂しくなったとき。

 それからの日々、たくさん重ねた通話。

 終わりがくるたび、感じる思い。



 あの日、初めてリアルで会ったとき。


 何故か自分が葉月だと明かしてくれなかったとき。


 ――全部


 全部が、寂しくて......


 だから、側に居たくて。


 頑張ったのに......



 ......伝わらなかった。



 でも、仕方ないよね。

 一樹さん、仕事や書籍化でそれどころじゃなかったしさ。


 だいたい面と向かって好きですなんて言ってないし......あ、そうだ。私、仲が良いからって、知らず知らずの内に彼女のような気でいた。


 何も伝えてないのに、伝わる訳がないよ。


 バカみたいじゃん、こんなの......てかバカじゃん。


 二人から見たら、ほんとに意味不明に見えてると思う。



 ......ああ、私、これからどうしよう。




「雪さん――!!!」


「え?」



 振り向けば、一樹さんの姿があった。





 白い結晶が、ひらりと舞い落ちる。







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