49.方言女子
「だから、幼なじみモノが良いんじゃないかなーと。 一樹はどう思う?」
「んー、まあ、確かに。 じゃあ幼なじみモノでいくかね?」
「せやねー」
「太一は他に何か好みある? 例えば、ヤンデレとかツンデレとか......」
コミケ会議が開かれ、俺は太一(真城兄)とネタを出しあっていた。
どうせならと、真城さん家へ招かれ今は話し合いながらクラッシュブラザーズをプレイしている。
なにこの人めったくそつええ。
ちなみにこの間の「スマホの向こう、兄かと思いきや妹でした~あれ、俺(私)たち入れかわってる!?~事件」からお互いに砕け、タメ口と下の名前呼び捨てになった。
ちなみに雪さんも、俺が名前呼びになったので俺の事を一樹と呼ぶように。
......嬉しい。
「ヤンデレにツンデレかぁ......まあ、好みが~とかではないけれど、多分、雪は方言つかわせたほうが上手くいきそうだぞい」
方言か......確かに雪さん時々言葉使いがなまっている時があるよな。
「......気になる?」
「え」
隣の太一が横目でこちらをみていた。心なしか目が笑っている気がする。
ちなみに今、雪さんは買い物にお出かけ中。
「ヒントは雪国」
「......北海道?」
「正解ッ!! 凄いな、さすが一樹!! 雪の事ならなんでもお見通しだねえー!!」
「いやいや、だって「なまら」とか「したっけ」とか言ってたから! つーか、すぐにからかおうとするなよ」
「はっはっは!」
隙あらばこの人は......自分の妹だよね?つーか、前から思ってたけど何で俺を警戒しないんだ?
太一との出合いもあんな感じだったし、わりと怪しい男に思えるんだが(自分で言っててあれだけど)
「あの......自分でいうのもあれだけどさ」
「ん、なんでござる?」
いやござるて。
「なんで俺、こんな信用されてるの? 普通、怪しんだり警戒しない? こんなぽっとでの知らない男......まあ、今更なんだけどさ」
「ふむん」
ふむんて。
「まあ、確かにな。 けれど、知らない男ではないよ」
「え、面識あった?」
「うんにゃあ。 ないよ」
マジか。実際信用されないのは辛いが、こうして無条件で信用されるのも複雑だな。
何て言うか、色々と心配になる。
「――けどさ、俺、人を見る目はあるつもりなんだよ。 その証拠っていったらあれだけど、俺が見つけた仲間と一緒にここまで音楽で食ってこれたんだからな」
「......成る程」
確かに。成功する人間はそのまわりに優秀な人が集まるというけれど、それを見極めるのはその本人。
「それに、俺は一樹の努力を知ってる。 全部みてきた......いや、読んできたからな。 まあ、それが全てではないけど、どういう人間かはわかってる」
「あ、ありがとう......」
「ふふ、なに? 照れてんの? お前、結構可愛いじゃん」
「ば、ばか......なに言ってるのよ///」
「いいよ、素直になれよ。 なあ、ほら......ぶちこむぜ?(クラッシュブラザーズ的な意味合いで)」
「や! まって、だめ! そんなの無理......だ、だめえーっ!!!///」
ノリ的に合ってるかなと、太一に合わせBLごっこをやりだした時、後ろから殺気を感じた。
瞬時に振り向く俺と太一。
「「――ッッ!!?」」
そこには満面の笑みの雪さんがいた。
あ、あれ?扉開く音がしなかったんだが......いつ帰ってきたの!?
「お兄ちゃん、一樹さん......今のは?」
しん......と静まる部屋にクラッシュブラザーズのBGMが流れ続けている。それはまるでこれから始まるであろう兄妹喧嘩(+陰キャ)を彷彿させ、俺は体の芯から震えあがっていた。
「えー、えと、雪。 わかった、謝る! ちょっとふざけただけなんだって」
「そ、そーだよ雪さん! ただのじゃれあいだから!!」
その時、小さくカチャカチャカチャカチャという音が鳴っている事に気がつく。その発生源は太一の手に持つパッドからだった。
あまりの恐怖に、震えでパッドのボタンが連打しささっている。
太一のメガネがずり落ち、視線があちらこちらへ泳ぎまくっていた。
呂律も若干まわってないようにも思う......ってか、前から思ってたけど、妹に対して弱すぎるだろこの兄!今にも失神しそう!!
「ご、ごめんなさい! 雪さん、どうか落ち着いて!!」
「......ん、落ち着いてるよ? 何をそんなに焦ってるの? もしかしてやっぱり何かやましいことが」
「な、ななな、ないよ!」
声が震えてめっちゃ怪しい奴に!!ただの言い訳奴!!!
「た、太一ももっと弁明を......」
太一に助けを求めたが、完全に真っ白になっていた。燃え尽きたのか......まだ全然闘ってないのに。
くそっ、この状況を打開するには......どーする!?
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