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43.金見家の人々 ③


「――どうしたどうした!?」

「お父さん、停電、家だけじゃないみたいよ!」

「おおお、本当だな!」

「懐中電灯とりにいかなきゃ~」

「すまない! 葉月くん、春音を頼む! すまない!」


扉の向こうでも金見両親がてんやわんやしている。頼んでんじゃないよ!誰のせいで金見さんがこんな怖い思いしてると......


「......へくちっ......」


金見さんが可愛らしいくしゃみを小さくした。


あー、そうだよな。そりゃ寒いよな、風呂あがりでしかもまともに体が拭けてないんだし。

せめてバスタオルを羽織らせてやりたい。けど、この状態じゃ......。


金見さん、震えてる。寒さのせいなのか、この暗闇が怖いからなのか。答えはどちらもだろう。


煩悩「なあ、葉月ちゃん」


あん?


理性と心配に羽交い締めにされている煩悩が俺に喋りかけてきた。


煩悩「これ、金見さ......いったんお風呂はいりなおしたほうがよくない? 震えてんじゃん」


いや、できねえだろ。暗いの怖いからこうやって俺にしがみついてるんだから。あほか!この色ボケがッ!


煩悩「て、てめえ、言わせとけば~! じゃあお前、このまま金見が風邪をひいてもいいっつーんかい?」


よくねえよ。けど、どうしようもないだろーが......いや、マジでお前と話してても拉致あかないな。


煩悩「いやね、解決できるんすよ! それが簡単に!」


......。


煩悩「あー! なによその目は! あーあ、信用されてねー」


いや、出来るわけないでしょう?ここまででお前信用できる所あった?


煩悩「ぐ、ぐぅ......。 いや、でも! 汚名返上のチャンスをくれ!」


ええー。


煩悩「おい、忘れてんなよ? こうしてバカみてえな言い合いしてる間に金見が風邪ひいちまうリスクはぐんぐんあがってるんだぞ。 それにお前に案がないのならとりあえず聞くくらいしたほうが良いんじゃねえの?」


た、たしかに!

悔しいがこいつの言うとおりだな。俺には何の解決ほうもない。それに、理性も心配も何も言ってくれないし......頼るしかないか。


えっと、で、その方法ってなに?


煩悩「いいか? 金見は暗いのが苦手なんだろ? しかしお前と一緒であればまだマシだ。 その証拠に少しだけ落ち着いて見える......つまり、お前がいればいいんだ」


この時点で俺はピーンときた。


あー、なるほどなるほど。もう良いよ、ハッキリわかりやすく言って?


煩悩「つまり、お前が金見と一緒に風呂へ入れば解決するんやぜ!!!」


どやあ!と煩悩がどや顔を披露した。


はい、却下で~す!お帰りくださーい。


煩悩「なんでや!!?」


期待した俺がバカだった。こいつはもう無視だな。


しかし、確かに金見さんの体温が下がっていってるのを感じる。

バスタオルかけるくらいじゃこれはもう......しかも今日の気温自体も低い。


俺は


金見さんにはたくさんのかりがあるし、してもらったことも数えきれない程ある。

だから、ここでこんな風になにもしないで風邪をひかせるなんて出来ない。


少しずつ目が闇に慣れ始めた。バスタオルは......あそこか。


「金見さん、ちょっと動くね......」


そう言って手を繋いだ。少しでも恐怖を和らげる為に。


片足を伸ばし、無理矢理にバスタオルを引き寄せる。


「......よし」

「はっ......は、っ......?」


手に取ったバスタオルで金見さんをくるむ。そして、俺は両手で金見さんの体を抱き締めた。


「――ふぇ......ッ!? ......はっ、は......え、はっ」

「......ごめん、嫌だと思うけど、他に方法が思い付かない。 これで少しは寒くない、よね?」


腰あたりをぎゅうと掴んでいた金見さんの手が離れまた背中へと腕を回した。

そして、彼女はいつかのように、小さく、甘く耳元で囁いた。




「......――うん......あったかい」







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