41.金見家の人々 ①
錠の外れる音がし、金見家の扉がひらかれた。
「ただいま~」
「お邪魔します」
どーぞどーぞと金見さんに促され俺はその扉をくぐる。
最近では金見さんは俺の仕事を助けてくれていて、帰りが一緒になることはほとんどだ。
それだけでも大分助けてもらっているのに、またご飯まで......金見さんは迷惑なんて思っていないと言っていたけど、申し訳ない気持ちが沸いてしまう。
「葉月くんじゃないか! よくきたな~」
「あ、お父さん。 こんばんは、お邪魔します」
「邪魔であるものか! なんなら毎日来ても良いくらい! あっはっは」
「あ、え? ははは」
相変わらずテンション高いな金見パパ!すると騒ぎをききつけ金見ママが二階からとたとたと、おりてきた。
「あらあらあら、葉月さん。 遅くまでご苦労様ね......春音から連絡をもらいました。 夕食の用意はできてますよ」
「ありがとうございます。 前もお邪魔しておいてまだその時のお礼も出来てないのに」
「はっはっは、何をいっとるんですか、葉月くんが来てくれると春音も喜ぶんですから、いつでも......」
と、お父さんの言葉を遮るように、金見さんが横から口を挟んだ。
「あーあーあああ! お父さん、葉月さん疲れてるから! 話はもう良いでしょ~? はい、どいたどいた!」
「む、確かにな。 さあ、どうぞどうぞ!」
「ゆっくりしていってくださいね、葉月さん」
「ありがとうございます!」
「とりあえず私の部屋行きましょうか。 私、ちょっと着替えとか済ませるので、鞄おいてゆっくりしてください」
「あ、はい」
言われた通り、二階の金見さんの部屋へ向かう。
扉の前で襲われる緊張感、入るのに少し躊躇いがうまれた。
......いや、まあ入って良いって言ってたしな。
ガチャリとあけ、電気のスイッチをおす。
「おお......」
部屋があかるくなり、壁にかけられている絵が以前きたときよりも増えていることに気がついた。
「ほんとにすごいな。 金見さん、これで飯食えるのでは?」
そう思えてくる程のクオリティ。
こうして金見さんの絵をみると改めて思う。俺の作品を慕ってくれているファンの存在、それに心を救われている事に。
来て良かったな。何よりも大きな力を貰えた......まだ、まだ戦える!
鞄をベッドの横あたりに置かせて貰う。
......さてと、ちょっとトイレしたいかも。トイレ一階だったよな。
そう思い用を足しに一階へおりていく途中でお母さんに会った。
「あら、葉月さん」
「あ、ちょっとお手洗いに......」
「どーぞどーぞ。 そうだ、葉月さんお風呂! あいたので入ってくださいね」
「あ、わかりました。 なんだか毎回お風呂までいただいてしまってすみません」
ほんとに毎回......着替えもお父さんの貸してくれたり、至れり尽くせりとはこの事だ。金見さんには勿論、お父さんお母さんお二人にも頭があがらねえ。
「良いんですよ。 あ、でもちょっと鍵が変でかかりが悪くなっていて......ごめんなさいね」
「いえいえ、大丈夫ですよ」
「ふふ、ゆっくりしていってね。 さっきも言ったけど、夕食の準備してあるから、いつでもどうぞ」
「ありがとうございます、本当に......こんなに良くしてもらって」
「気にしないで。 春音がすごく喜んでいますから、WinWinですから」
「WinWinですか」
「ええ、なので気兼ね無く居てください」
「......ありがとうございます」
それからトイレを済ませ、浴室へ向かう。
――あ、電気ついてる。もしかしてお母さんが着替え置いといてくれたのかな?
俺は何の迷いも無く、扉をひらき、入り、しめた。
ガチャン。
「......あ......」
「え?」
そこには、肩にバスタオルをかけ濡れた髪を拭いている、一糸纏わぬ生まれたままの姿で金見さんがたっていた。つまり全裸(バスタオルの下は)。
温かい湯に浸かったせいか、裸をみられたせいかはわからないけど、金見さんの顔が一瞬にして真っ赤になり、目を見開く。いや、これは後者ですねわかります。
俺はゆっくりと後ろ手にドアノブを探し、撤退をはかる。
ガチャ、ガチャガチャ......
しかし、無情にもドアノブは回らずに逃げる事は許されなかった。
いや、あれ?鍵かからないんじゃ無かったの?扉の向こうで、パーンという手を叩く音と、聞き間違えでなければ「イェ~イ♪」と言う二人の声が聞こえた。
今更だが、作為的なモノを感じる!
じゃねえええええ!!!!!なに!イェ~イって!?あほなの!?
失礼極まりないけども言わせてほしい!あの二人あほなのぉおおおおお!!?ダメだろ!?娘ぞ!?自分の娘ぞ!?
ガチャガチャと扉を開けようと試みるが一向に開かない。
「......」
「......えっと」
赤面の彼女は、恥じらいながらバスタオルで体を隠しへたりこんだ。
「......」
「......」
いや、どーするの!?これ!?
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