39.どゆこと (真城雪視点)
......こ、こわい。
初めて話す人に、こちらから通話をしてお願いをする。しかも気の強い人だとお兄ちゃんには聞いている......こわすぎる。
けれど、教えてもらうのは私なんだ、私からお願いしないと。
でも、今思えば本当に不思議だったな......これだけ人見知りなのに葉月さんとはびっくりするくらい、すんなり話せた。
通話する前はドキドキして手が震えたりもしたけど、怖くはなかった。
なろうへ投稿された小説とか活動報告とかで人柄がわかっていたからかな。
......。
って、今はそんな事思い出している場合じゃない。通話しなきゃ。
ぐぐ、く......。指が震え、定まらない。勇気を!時間は1ヶ月、もう時間がない。できるだけ早く練習しなきゃいけないのに!!
その時、師匠(予定)の連絡先が、表示されているスマホの画面に葉月さんの名前が現れた。
急なコールに焦りと喜びが入り交じる。
おおお、早くでないと!どうしたんたろう!?
受話器のアイコンへ触れようとしたそのとき、まさかの展開がおきた。
葉月の呼び出しが急に消えたのだ。「あ――」受話器のアイコンから師匠(予定)の名前へと変わり、勢い止まらずタップしてしまう。
ああああああ!?なんで急に切れるの!?なんてタイミングで切れたん!!
『――はい、神木です』
――ッ!?出るの早ッ!!心の準備が――なんて言ってる場合じゃない!
「あ、あの、急にすみません、私、真城の妹で雪と言います。 兄に神木さんを紹介されて、電話させていただいたのですが」
『ああ、あなたがあの変態の......』
変態!?いや、間違ってはないけども......てかどういう関係だ?そういや詳しい話きいてない。気が強い女の人としか。
「変態......」
『そうよ、あなたのお兄さんはコミケでよだれをたらしながらコスプレの写真をとりまくるような人よ? あれはどうみても変態だったわ』
「あ、そうなんですね、それは変態ですね」
変態を隠せよ、変態ッ!!
『それで、あなたは雪さんと言ったかしら』
「あ、はい」
『いつから来られるの? 変態から事情はきいてるわ。 ラノベ絵で通用する技術が欲しいんですってね』
もう既に......お兄ちゃんありがとう!
「えっと、はい、私は今日からでも大丈夫です」
『そう......今、あの変態はいるのかしら。 いれば私の家を教えてもらってほしいのだけど』
「います! わかりました、お邪魔します!」
『あ、それと外寒いから暖かくしてきてね。 今時期は風邪が最大の敵よ』
や、優しい!
「わかりました、ありがとうございます!」
『ええ。 ではまた後でね』
「はい!」
そうして、歩くこと十五分。とても立派なマンションへといきついた。
ここだよね......。
あのあとお兄ちゃんに聞いた。神木さんがどういった女性なのか。
~家を出る前~
「お兄ちゃん、神木さんてどんな人なの? 気が強いっていうのは話してる雰囲気でなんとなくわかったけど」
「そうだな。 一言で示すのなら......ガチ勢かな。 あいつは何にたいしても超真剣で、必ず結果を出す」
「超真剣、結果を出す......」
「そしてあいつがやってる活動は絵師だけじゃない。 他にもいろいろな仕事をしているから、そういった意味でもお前の勉強になるかもしれないぞ」
「いろいろって?」
「それは本人から聞いてみてくれ。 あと冬コミよろしくって伝えといて。 さ、早く行ったほうが良いぞ......あいつ仕事柄時間に厳しいところあるから」
げげっ。それはヤバい!やはくいこーっと!
「い、行ってきまーす!!」
「うむ。 気を付けてな」
神木 秋乃さんか......絵師、イラストレーター。他にも何かお仕事をしているらしい。
よし、せっかくのチャンスだ。全力で技術を吸収する。がんばるぞ~、おー!
――リミットまで約1ヶ月。真城 雪の地獄の特訓が始まった。
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