31.私のヒーロー (22話の真城雪視点)
葉月さん、きっと心配してるよね。――早くお兄ちゃん連れ帰らなきゃ......あのお兄ちゃんの隣にいる人に私の存在を気づいてもらおう。存在感消失解除!
これで私に気がつくはず。......あ。
で、でも......気がついてもらって、それでどうしよう?私、ちゃ、ちゃんと喋れるの?知らない人と話すの苦手なの忘れてた、どうしよう。
どんどん緊張感が高まっていく......ど、どうしよう。
って、えええええ!?
何も言えずに見ていると、その隣に座っていた人が急にお兄ちゃんを揺すり始めた。ガクンガクンと首が横に振れる。
お、お兄ちゃーーーーん!!!
やばい、お兄ちゃんを助けないと!!そう思い、私は声を必死に絞りだした。
「あの......」
あ、こ、こっちに気がついた。
「......その、その人に......何をしてるんですか!」
彼は頭をかきながら話し始めた。
「えっと、この人が酔っ払って座り込んでるから、大丈夫かなと心配になって......変な事はしてないですよ」
......本当に、葉月さんみたいな声と話し方だ。それに私の意図を理解して答えてくれている。
不思議だ......そんな所も似ていて、まるで葉月さんと話てるような感じがする。
すると私が無言で警戒していると思ったのか、街灯の明かりで姿が見えるように移動してくれた。
「え......あれ、あなた......この間の?」
そこに現れたのは、前にコンビニで助けてくれた配達員の男性だった。
それから私は配達員さんと話をした。コンビニで助けて貰ったこと、兄を捜していたこと。しかし、話しやすい......本当に葉月さんなんじゃないかって思えてくる。
て、お兄ちゃん......風邪引いちゃう。でも全然起きそうにないしなぁ。私、背負えるだろうか。
腕を肩にかけて......ふっ!む、ぎぎぎぎ!
「はぁ、はぁ......」
あかん、びくともせん。うう~、困った......。
「俺、背負いますよ」
「へ?」
背負う?えっと、それって運んでくれるという意味?
嬉しいけど......てか私じゃ運べないからお願いするしかないけど、うーん。コンビニの件といい助けてもらってばかりだ......申し訳ないな。
レンガ造りの道を二人あるく。この道は春には脇に植えてある桜が花をつけ、綺麗な花道になる。デートコースによく使われているらしい。
だから、何って話だけど......なんだか浮わついてる。気持ちが。
だって、この配達員さん
noranukoさん......葉月さん、だよね?
ここまで会話していて、話し方の雰囲気や声質、気の回しかた......その可能性はあると思っていた。
そして更には度々外れる敬語と、癖のある笑いかた......
決め手は、側にいたノアくんが彼にも見えていたこと。
まただ......また、助けられてしまった。
――鼓動が高鳴る
優しく笑う横顔
――熱くなる想い
歩幅をあわせてくれて......
――締め付けられる、
私、こうやって、ずっと......あ、そっか
――心
私、葉月さんの事が好きだったんだ。
――心に灯る光と、彼の笑顔。
頭の中で「ハーデンベルギア」が流れていた。
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