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30.私のヒーロー (22話の真城雪視点)

 


 お兄ちゃんが家出した。


 昼間、私がお兄ちゃんにひどいことを言ったせいだ......どうしよう。

 お風呂にもお手洗いにも居なかったし、きっとショックでどっか行っちゃったんだ。


 あんなに、ずっと応援して助けてくれたお兄ちゃんに......





 ~昼間~



「お前もプロだ。 しっかりしろよ、雪」


 人の感情というのは恐ろしい。頭で理解していても、それでも火がつき燃え上がり人を巻き込み焼きつける。


「――お兄ちゃんには私の気持ちわからないよ!!! 上京してすぐにヒット曲三つも出して......私は私が出来ないのを知ってる! 私にかまうな!!」


 はっ


 お兄ちゃんを見ると、メガネがずり落ち白目をむいてた。――やってしまった。


「......ご、ごめんなさい」


 私は居づらくなったその場を後に、部屋へ引きこもった。どーしよう、どーしよう......何をしてるんだ私は。

 私が出来ないのを知ってる?だからなんだ、出来なくてもやらないと消えるだけなんだ!お兄ちゃんはこんなヘタレな私だからああして叱ってくれたのに!


「......う、どうしよ」


 ふとなぜか葉月さんと話がしたくなった。なんでだろ、落ち込んだときとか寂しいとき......思い出しちゃう。

 でも、今は多分、小説書いてるよね。迷惑はかけられない。


 夜お話してもらおう。




 ~現在~



 葉月さんと通話する事に成功し、私は気持ちが軽くなった。葉月さんはすごい。私が悩んでる事に気がついて、相談に乗ってくれた。


 嬉しかった、異変を察知してくれた事も、気持ちを分かってくれたことも。


 しかし、その喜びもつかの間、落ち着きさっきの事を謝ろうと、お兄ちゃんの部屋へ行くとその姿はどこにもなく、家から居なくなっていた。


 今日の夕飯は私の当番でカレーつくった。なので、部屋の兄へ「よそって食べて」と書き置きをテーブルに置いて、私はひとりご飯を食べ、すぐに部屋へ逃げ込んだ。おそらくそれが拒絶に思えたんだ......多分決め手はそれだと思う。



 ――捜さなきゃ!



 ......はぁ、はぁ......。


 コンビニを次々に回っていくがどこにもお兄ちゃんの姿はない。


 ――のこるコンビニはあと一軒......って、ええ!?警察!?消防車!?

 扉が焼け焦げてる......何があったんだろう。怖い。


 その光景が、日常の非日常が不安な心を更にざわつかせる。


 お兄ちゃん......どこなの?とりあえず、葉月さんに連絡しとかないと。


『見つからない、どこ行ったんだろう』


 するとすぐにメッセージが返ってきた。


『一度家に戻ってみたら? お兄さん帰ってきてるかもしれないよ』


 確かに......もしかしたら、帰って来てるかも。一度戻ろう。


 でも、戻っていなかったら?もう、お兄ちゃんが帰って来なかったら......?



「......う、っ~......ッ」


 抑えていた思いが、形になって頬をつたい流れた。


 私が、あんなキツいこと言ったから、お兄ちゃん......私、ごめんなさい。






 ――家へ戻ろうときびすを返した時、側を淡い光が通った。



「......え」



 振り向いたそこに私の好きな小説のキャラクターがいた。


 いつかのように、彼はにこっと微笑むと側にある公園を指差す。


「......公園......?」


 不思議な感覚だった。まるで夢の中で、ゆっくりと時間が進んでいくような、不思議な感覚。

 月が雲に覆われ、あたりは黒に染められている。その中で公園の灯りだけが、ベンチに座る二人を照らし出していた。



 あ――


 後ろ姿でわかった。......お兄ちゃんだ。

 でも、側にいるあの人は......お兄ちゃんの音楽仲間では無い......だれ?

 もしかして、スリとか?お兄ちゃん泥酔してるからお金とるきなんじゃ......ど、どうしよう。

 葉月さんに相談......したところで困らせるだけか。もう少し側に寄って様子をみてみよう。


 秘技、《存在感消失(インビジブル)》。私の特技の一つでもある存在感を消す技。隣のノアくんが「!?」と驚きの表情を浮かべる。可愛い。

 このまま、足音を立てずに......背後に、あの木陰になってる所へ移動しよう。



 何か話......してる?



 よく聞き取れないけど、あの人の声......聞き覚えが?柔らかくて包み込むような、優しい声。


 ――あ、この声。





 葉月さんに似てる。








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