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【完結】陰キャデブな社畜、知らぬ間に美少女VTuberを救う。   作者: カミトイチ《SSSランクダンジョン〜コミック⑥巻発売中!》


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24.香る時

 


「――あの時の、配達の方......ですよね? コンビニで、ご迷惑を掛けてしまった......私のこと、覚えてますか?」


 月が暗闇を晴らすと、そこにいたのはいつかの美しい女性だった。月明かりの淡い光で、幻想的にも思えるその美しさにただただ見とれてしまう。


 まるで――小説に登場する、美しい妖精にも似た美しさ。


「......あ、あの? どうしましたか......?」

「え、あ......すみません、少し驚いてしまって。 こんな所でまた会うなんて。 びっくりしてしまいました、ごめんなさい」


 彼女は柔らかく笑みを浮かべる。――あの時は勤務中だったし、時間もなく急いでいてちゃんと見ていなかったけど......こんなに綺麗な人だったのか。


「ふふ、ですね。 あのときは助かりました......本当に、ありがとうございます」

「あ、いえ、大したことはしてないで......す」


 え、何か重要な事忘れてない?何だろう......このもやもや。何か忘れてるような気がする。

 女性は指をちょいちょいと真城(仮)さんの方へさした。


「この人、私の兄なんです。 ......ケンカして家を飛び出して、こんな所でお酒飲んでたんですね。 しょうがない人です、ふふ」


 ケンカして家を飛び出してきた?何か聞いた話だな......いや、まあ、そりゃ聞き覚えあるわな、だってその兄捜しに俺はここまで来たんだから!

 え、てことはこの人を真城(兄)だと仮定したとすると、こちらの迎えにきた女性()真城(妹)って事になるんだよね。あってるよね、これ?兄妹二人暮らしって言ってたし。


 え、じゃ、じゃあ......この人、もし真城(妹)さんだとしたら、いつも通話してるあの




 この人がVTuber、白雪 ましろさんで、真城 雪さん?



 こ、こんなに綺麗な人だったのか......!!


 ......人違いではないと思う。この声質......話し方で少し雰囲気が違うけど、いつも話をしている真城さんと同じだ。


「んー......ぐ、っく......重たいっ」


 彼女はおもむろに真城(兄)さんを背負おうと腕をぐいぐいとひっぱりだす。しかし、男を女性が背負うというのは結構な難易度で、基本ひきこもりの真城(妹)さんは腕を肩に乗せた時点で、息があがっていた。


 無理そうだな......このまま置いとく訳にもいかないし。俺が背負うか。お礼って訳でもないけど、真城(妹)さんにはお世話になってるし。人生救われたレベルで。


「俺、背負いますよ」

「へ?」


 きょとんとした顔を此方に向ける。くっっっっっっっ







 ――っそ可愛いいいいいいい!!!!


「俺、いつも配達で重いもの持ってるんで力ありますから......お家まで背負えないでしょ? 俺が運びますよ......嫌でなければ」

「え、えと、えと......そんな迷惑かけられない、です。 この間のお礼だって出来てないのに......また助けられてしまうと、私、どうすれば良いのか」


「いや、助けられてるのは......」


 ――俺の方だよ。と、いいかけ言葉がつまる。


 言いたくない。俺がいつも通話で話をしているnoranukoだと気づかれたくない。

 だって、この身体......この脂肪にまみれた身体に、メガネにかかるまで伸びきった髪。



 嫌だ、幻滅されたくない。



「いや、まあこんなのお安いご用です......大丈夫ですよ!」

「......う、うう。 ありがとうございます......」


 真城(兄)さんを背負い、レンガ造りの道を歩く。真城(妹)さんの横隣に並ぶと、卑屈な気持ちがじわじわ涌き出る。


 ――恥ずかしい。とても。


「......ごめんなさい、重たいですよね。 もう少しなので、すみません」


「え? あ......大丈夫です」


 俺は、この人にどう見られたいのだろう。


 真城(妹)さんが俺に飽きるまで、ずっと通話やゲームをしてゆっくりと幸せな時間を過ごしたい。その幸せを抱えて眠りにつくように終えたい。


 本当にそうだろうか。



 さっき確かに感じた卑屈な、心に小さな穴のあいたような......あの気持ちは......。








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