ざまぁ3.槙村くん的美女ランキング1位決まる (22話の槙村視点)
あああああ!!!
コンビニ前でふらふらタバコすってんじゃねえええええ!!!お客様の迷惑になるだろおおおがああああ!!!!
「――まてコラァ!! 逃げ切れると思うなよお前えええー!!!」
後ろには、殺気をこれでもかと発しているサングラスの男が俺を捕まえようと追走してくる。捕まったらどうなる?そんな事想像もしたくない。
とにかくあいつをまいて、安全を確保し尾行に気を付けて家に帰る必要がある。
「――はあ、はっ......息が苦しい......!」
もう十分くらい走り回っている......って十分!?しつこ!?なんなんあのサングラス男!てか、なんでそれで走れるの?この暗い道サングラスかけててみえるの!?
やべえ、もう疲れた......そうだ!交番、交番に逃げ込めばなんとかなるか!!少なくとも暴力は免れる!!
交番、交番......えっと、あっち!もて俺の体力!!
「......って、あれ?」
交番へ向かい始め数分した頃、男の声が消えている事に気がついた。後ろをみるとサングラス男の姿は無い。
「え、え? あれ......どこ行った」
そしてかわりに聞こえてきたのは、サイレンの音。ん?火事か?
とにかく助かった......あの感じは殴られるだけじゃ済まなそうだった。マジでヤバかった。やっぱ俺には神がついてるな!イケメンには幸運の女神がつくんだよなイケメンだし!
か、帰るか......心臓がばくばくいっている。マジで怖かった。
震える足でよろよろと歩きだす。サングラス男をまくために家とは逆方向へ走っていたので、帰るにはコンビニの方へ戻る必要がある。
また出くわさないだろうな......てか、あのコンビニ怖くてしばらくいけねーじゃねえか!姫は俺が手を差しのべるのを待っていると言うのに!あの男店員ゆるさねえぞ。
イライラしながら、歩みを進める目の前を一人の女性が横切っていった。
「......すげえ」
感じたのは光。この闇夜を照らし、あらゆる辛く苦しい物事から導き解放してくれる、そんな光という概念を本能で感じた......なにいってるかわからんと思うけど、つまり今目の前を通りすぎたあの女の子が俺が今までにみてきた女性の中でもダントツで美女と言うことだ!
ここら辺の人か?あんな子いたんだな......ちなみにこのあいだ俺の事を雰囲気イケメン呼ばわりしたので、金見さんは負けです。僅差だったのに。俺に意地悪したから......可哀想な金見さん。
んなことより!あの美女に声かけねーと!!この運命を逃しては悔やんでも悔やみきれねえ!!
どこいった!?急ぎ追いかけると、あることに気がつく。なんかサイレンの音が大きくなってきてないか?
俺が逃げ出した姫のいるコンビニまできた。するとNo.1美女がそこにいた。が、しかし、それより衝撃的だったのはコンビニの壁、扉が焼け焦げていた。
鎮火していたが明らかに火事があった形跡。
な、なんだ、これ......こわっ。
野次馬の中、警官に事情聴取されているコンビニ店員の会話が辛うじて聞こえる。てか、あいつ俺が投げ飛ばした......。
「じゃあ、その男が外でタバコを吸っていた男を突き飛ばして、ゴミにタバコが引火したと言うことですか?」
「は、はい......」
「ふむふむ。 その時に暴行をはたらかれたと」
「店の子を守ろうとしたら投げ飛ばされました......そして走って逃げていったんです」
これ、俺の事?......やべえか、これ。い、いや、大丈夫だろ。店に火をつけたサングラス男のが罪は重い。うん、きっと大丈夫......って、あれ!?No.1美女が居なくなってる!どこに......捜さねば!あれほどの美女はこのイケメンの女になるにふさわしい!
しかし、どこに行った......!?
No.1美女を捜すこと幾数分ついに公園に居るのを見つけた。しかし問題があった。誰かと話てる......そしてこの声は男?夜の公園で男と、しかも楽しそうに。
え、もしかして彼氏?そういや彼女、急いで走り回ってたな......彼氏を捜していたからとか、そういう事?
夜の公園で二人きりで会うなんて、もう彼氏しかいねえよな。(※角度の問題で兄が見えてません)
しかし、ここで諦めるのは素人(?)俺はイケメン......しかも超絶端整なフェイスを持つものだぞ!
そう、彼女の隣にならぶのは俺の方がふさわしい......タイミング見て声かけ......いや、つーか何か男の声と後ろ姿見覚えあるような。てかデブじゃね!?彼氏じゃねーよ、あれは!
彼氏でないのなら声かけても良いだろ。行くか!何て名前なんだろうなあの美女は。
ガシッ
――へ?
捕まれた肩の方へゆっくりと振り返ると
「会いたかったぜ」
そこにはサングラス男がいた。
「あ......」
「ちょっとこっちこい」
遠ざかる美女と、縮まる俺の寿命。ぐいぐい俺の服をひっぱる様はシマウマを引きずり連れ去ろうとするライオンの様。
彼らもこんな絶望を味わったのかな、と考えると涙が滲む。
そして悲劇は加速する。
......――あれ、葉月じゃね?
街灯の前にたったデブはどうみても葉月だった。え、葉月の知り合い?あの美女、葉月と知り合いなのか?
「おい、ちゃんと歩けや!」
ぼかっ!と頭を殴られた。その衝撃でホロリ涙がこぼれ落ちる。
あいつ、金見さんにも気に入られてるみたいなのに......更にはあんな美女とも知り合い、だと?
イケメンでもねーくせに......あ。金見さんの「葉月は痩せればイケメン」の言葉を思い出す。
い、いや、そんな訳ないだろ......あのデブは痩せてもキモい。でも、イケメンだとしたら......俺は
「――人にぶつかっておいてお前、謝らんで逃げてんじゃねえぞ。 ほら」
そう言うと手を出したサングラス男。え、なに......?
パンッ!と平手打ちを頬にくらう。
「!?」
「迷惑かけたろ、迷惑かけたら? どうするの?」
「......あ、あやまる?」
ゴスッ!と額にチョップがあたる。
「痛ッッッッ!!」
「んな言葉いらねえんだよ。 めんどくせえ。
バカと話てると疲れるわ......財布貸せよ」
い、いや、マジか。警察呼ばないと......人気の無いところまで連れてこられて叫んでも誰も来ない。ならスマホで......あれ、スマホ無い!?さっき逃げ回ってた時に落としたのか!?
「チッ」
怒気が場に張りつめている。これは大人しく渡した方が良い。
「......ど、どうぞ」
「最初からそうしろ」
そう言って彼はグーパンを俺の腹へといれた。
ぐぅ......はっ、う、うううう......何で俺がこんな目に。
サングラス男が札とその他もろもろ財布から抜き取ると、思い切り遠くへ空になった財布をぶん投げた。
そして腰に蹴りを入れ、痛みにうずくまる俺にこう言った。
「はは、じゃーなストーカーキモ男くん」
......。
奴が消えて少ししてから体を起こした。財布、探さなきゃ......よろよろと拾いに行くと、向こうの方に葉月と美女が並んで歩いているのが見えた。美女は微笑み、葉月もにこにことしていて、まるで恋人同士に見える。
ちっ、許さねえ......葉月の癖に!
よろよろと痛む体で歩きだそうと、一歩踏み出した時。
「――あの~、ちょっと良いかな? こんな人気の無いとこでなにしてんの? 少しお話きいていい?」
警官だった。
いやタイミング!おせーよ!!!
――コンビニの一件が頭に過る。
じゃねえ!逃げねえと!!!
――果たして槙村は逃げ切れるのか!?
【とても大切なお知らせ】
皆様に応援していただいて、現在、日間現実恋愛1位です、本当にありがとうございます!心から感謝していますm(__)m
そして、これからも頑張っていきたいので、よろしければ引き続き評価、応援していただけると凄く嬉しいです!評価欄は広告の下にあります。
☆☆☆☆☆を★★★★★にして応援していただけると執筆へのやる気に繋がります。
読者の皆様いつも読んでいただきありがとうございます。後書き長々と申し訳ありません。




