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【完結】陰キャデブな社畜、知らぬ間に美少女VTuberを救う。   作者: カミトイチ《SSSランクダンジョン〜コミック⑥巻発売中!》


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23.月夜のハーデンベルギア ④

 


「妹は昔から勉強も運動も何でも出来た。 真面目で優秀で、つり目がコンプレックスだったみたいだが、美しい顔立ちで綺麗な子だ。 むしろそのつり目はチャームポイントになり、可愛らしくさえあった。 あと愛嬌もあるし、なに着ても似合うし、笑うと失神するレベルの可愛さで、料理上手ときたもんだ。 え、待って? この妹......最強過ぎないか? 俺は最強だと思う。 俺が兄でなければ、血が繋がっていなければと何度思ったことか。 ごめん、今の発言はオフレコで。 聞かれたら絶対口きいてくれなくなるから。 そうなったらせっしゃの炉心は融解してしまうでごさる......あれ、なんの話だっけ? あ、そうそう。 ......それなのに俺は」


 ――いや長いッッッ!!!!


 今時点でひとつわかった事がある。この人シスコン(危険度S)だわ。

 そんな事を真剣な顔で聞きながら考えていると、街灯をあおぐように顔をあげ、真面目な声のトーンでこう言った。


「俺は......俺は、あいつをオタクにしてしまった」


 うーん、なんて?


「え、妹さんがオタクになったのが恨まれる理由なんですか?」

「そうです。 俺があいつにオタク趣味を覚えさせてしまったから......大きく人生がねじまがってしまったんだ」


 オタク趣味で人生が......いや、変わる事もあるだろうけど。そんな恨まれはしないでしょう。


「それで妹さんに恨まれるんですか? 考えすぎでは......」

「いやそうですよ、だって俺がオタクにしたせいで引きこもりになってしまったんだから......それから対人恐怖症になって、まともに生活すらできなくなったんです」


 真城さん、対人恐怖症なのか。人と話すのが苦手とは言っていたけれど、オタク趣味でいじめられて対人恐怖症になった......そんな感じか。


「まあ、今はだいぶ良くはなっているんですけどね。 前なら数ヶ月家から出ないなんてことも」

「......」


 俺は予想以上に深刻な話になにも言えなくなった。

 あの真城さんが?通話じゃ微塵もそんな雰囲気は無かった。信じられない。

 もしや、この人は真城(兄)じゃないのか?真城(妹)じゃない人の話きかされてる可能性が出てきたぞ。


 でも、けれどこの人を放っては置けない。


「あ、すみません、こんな重い話......」

「いえ。 苦労されてるんですね。 妹さんも、あなたも」

「俺が......?」

「妹さんの事でそれほど悩まれてるから。 でも、それ、愛情があるからこその悩みなんですよね......心配でどうにかしてあげたい」


 じゃなきゃこんな、一人公園で泣いたりしない。


「多分、ちゃんと妹さんに伝わってますよ。 それ」

「......私の気持ちわからないって言われたんですよ?」

「それはそうですよ。 人の気持ちはわからない、けど」


 だからこそぶつかり合い、探る。そこに絆がある事を確かめあう。それこそが愛情だ。この兄妹がケンカしている事こそがそれなんだ。


「――あなたが妹さんを想ってるって事は、しっかり伝わってると思いますよ。 きっと」


 失礼な例えかもしれないけど、その言葉を受けた真城(仮)さんは子犬が餌を求めるような顔をしていた。可愛いくらい悲しそうな顔に哀愁が漂っている。


「不思議な人ですね。 あなたの言葉には力がある。 ありがとうございます、少し落ち着いてきました」

「良かった! もう遅いんで帰りましょう。 妹さん、きっと待ってますよ」


 真城(仮)さんは、ええ。と言って頷く。良かった......だいぶ時間かかってしまったが。ってか、名前......今なら聞けるか。


「あの」


 と、名前を聞こうとして彼の方を見ると。



「......ぐ」




「あ、え」


「ぐぅ......ぐぅ」


 ね、寝てーらッ!!


「お、起きてください!! こんなとこで寝てたら風邪ひいちゃいますよ!!」


 肩を掴み軽く横に揺さぶる。メガネがぐいんぐいんずれまくる。

 しかし全く起きる気配がない。


「くっ! どうする......このまま真城(仮)さんをこの公園に放置する訳には......え?」


 その時、闇の中から視線が向けられている事に気がつく。しかも背後に。


 ――だ、誰?怖い。こんな夜中に公園くることある?これは誰かが来てるんじゃなくて、もしかして......出てる?出たのか?霊的なあれそれが?


「......あの、そろそろ起きてください。 俺も寝そう(失神)です......お願いします」


 ゆさゆさとさすり起こそうとしていると、暗闇からじーっと見ていた人が話しかけてきた。


「あの......」


 透き通るような美しい声。


「......その、その人に......何をしてるんですか!」


 振り向くと女性がいた。暗くてよく見えない。けれどその声と微かに見えるスカートで性別が判断できた。めちゃくちゃ怖いんだけど。俺、幽霊とかマジで無理なんだよね。

 だから、YouuuTubeで急に恐怖映像ながす広告はマジでやめてほしい。せめてスキップボタンでてから流してほしい。


「えっと、この人が酔っ払って座り込んでるから、大丈夫かなと心配になって......変な事はしてないですよ」


 おそらく、怪しいやつに見えてるのだろう。観察されてる気配。


「......」


 彼女は無言でこちらへ視線を向けている。あ、そうか、俺が側にいるから怖くて近寄れない......?

 俺は幸せそうに寝息をたてている真城(仮)さんから離れ、こちらの姿を確認できるよう、街灯へ立った。


 すると、彼女が驚いたように声をあげた。


「え......あれ、あなた......この間の?」


 この間?顔見知り......配達先のお客様とかか?何にせよ怪しい奴じゃないと理解してもらえたようで良かった。


 雲が静かに流れ、現れた月の明かりがゆっくりと彼女の顔を照らした。



 ――あ、この人。コンビニの......。









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少しでも面白い、先が気になる!続きはよ!と思って頂けたら、下にある☆☆☆☆☆を★★★★★にして応援していただけるととてつもなく励みになり執筆が進みます。★1でもとっても嬉しいので、応援よろしくお願いします!

そろそろ、ざまぁ入れます!m(_ _)m

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