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【完結】陰キャデブな社畜、知らぬ間に美少女VTuberを救う。   作者: カミトイチ《SSSランクダンジョン〜コミック⑥巻発売中!》


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19.君の夢

 


 珈琲を淹れて椅子に座る。まずは新しい話、プロットを思い付く限り文字に起こしていく。アイデア帳をみながら、とにかく書き出して話の大筋をつくる。


「だから......ノアはこの時、こう動くはず。 でも、話の流れ的にはあいつがきて......」


 ぶつぶつと時折口から言葉が出てくる。耳に突っ込んでいるイヤホンからはお気に入りの曲が流れているが、集中力がどんどん増していっている今殆んど聴こえなくなっていた。


 そうなれば良い感じだ。深く、深く物語の世界へ入り込め。


 この物語、ラストファンタジアはもうすぐ一区切りを終える。俺はここを最終回にしようと思っていた。

 その後に第二部等をやるかどうかはまだ考えてはいないが、とにかく綺麗に物語をしめるにはここら辺のタイミングしかないと判断した。


 ブックマーク 18393

 感想 291

 レビュー 11

 総合評価 96418


 日間総合ランキング 一位。



 ......ついに一位まで登ってしまった。しかも現時点でブックマークが二万近く。しかし書籍化打診はまだ来ていない。

 でも......それがきたとして、俺はそのオファーを受けても良いのか?


 だってこれ、最初は舞い上がって喜んだけど、実際ここまであがってこれたのは「白雪ましろ」という大人気VTuberが味方してくれたからだろ。


 俺の実力ではないってなわーけ。だったら書籍化しても売れるわけなくない?面白いからランキングあがったんじゃなくて、真城さんの名前ありきの人気なんだから。


 仮にその書籍化打診がきたとして、出版してもらったとして、全く売れなかったら......どうなるか。


 きっとこんな底辺作家はもう誰も相手にしてくれない。


 俺は今、それが一番怖い。


 真城さんも金見さんも仲良くしてくれて、今が今まで生きてきて一番幸せな時だと思う。二人のおかげで、灰色だった毎日に鮮やかな色がついた。会社での事も前ほど苦しくない。


 だからこそ、今の俺はそれが崩れてしまう可能性のある未来に踏み出したくないと思っている。


 このまま、ずっと。二人が俺から去るまで、出来るだけ長くを。





 ◆◇◆◇◆◇



「雪」


 リビングで紅茶を淹れ部屋へ戻ろうとしたら、兄に呼び止められた。


「なに、お兄ちゃん。 ......また生配信の話?」

「ああ。 そろそろしないとヤバいんじゃないか」

「......わかってる」

「本当に? 配信はVTuberの基本だぞ。 出来るなら毎日、せめて週の半分以上」

「うん」


 お兄ちゃんは眼鏡をくいっと指であげた。


「この間デビューしたVTuberの愛実ミナ、配信開始一ヶ月で登録者40万人らしいな」

「あー......うん。 でも、そのこ事務所大きいし。 それもあってだよ、多分」

「そうか。 だが、最近あらわれた謎の美少女VTuber、桜咲ナナオってやつは二週間で38万......こいつは個人だ」

「......そ、そう、ですか。 すご」

「俺が言いたいこと、わかるよな?」


 ......。


「どんどん新しい、しかも力のあるVTuberが出てくるようになった。 それは事務所が大手だとか個人だとかは関係なく、人気があればあがっていき、落ちればそいつらに淘汰される......」


「私も落ちるってこと?」

「ああ」


 ずきりと胸が痛んだ。たった二文字が鋭く刺さる。


「確かにお前には他のVTuberにはない魅力的な声がある。 けれどこのままじゃファンは他へいってしまうぞ。 人は新しい物が好きだからな」

「......でも活動はしている。 動画はあげてるし」

「なろう小説の動画か? あれでどれだけ登録者は増えた?」


 ぐっ。


「あれはやるべきじゃ無かったな。 あちらの作家には宣伝になっていたかもしれないが、逆にお前にもたらされる利益率は極めて低かった。 しかもかなりの時間をかなりかけてのそれだ......だったら生配信をその時間でやっていた方がまだ登録者は増えたはず」

「でも、あれは趣味で!」


 じっと、お兄ちゃんは私の目を見つめた。


「お前がそうこうしている内にお前のファンは他のVTuberのところへ行く。 そいつがお前よりトークが上手かったら? 歌唱力があったら? もう戻ってこないぞ」


 確かに、乗り換える人はいる。好きになってしまう気持ちは止められない。

 だから奪われないように、VTuberはより身近に、生活の一部になれるように、ファンへと寄り添い続ける。


「お前はプロだ。 しっかりしろよ、雪」


 しっかりしなきゃいけない。頑張る為に、家から逃げてきたんだから。でも......。







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