14.肉体改造
「ぜー......はー......くる、苦しい......」
チチチと小鳥が挨拶を交わしている頃、俺と金見さんはランニングを終えた。と、いっても俺が体力的に持たないから少し速度の速いウォーキング程度で、初日は終了。
「こんなもんですかね......って、結構辛そう! 大丈夫ですか、葉月先生?」
「だ、大丈夫......です......って、先生は......やめ」
「あ、すみません。 つい」
~昨日~
「え、監禁......マジですか」
「大丈夫、私、実家暮らしなので!」
「余計だめでしょ!?」
「家の皆で監禁してあげますよ!」
「ヤバすぎでしょ!?」
なに家の皆で歓迎してあげますよ!ってニュアンスとノリでヤバいこと言ってるの?え俺が知らないだけで、監禁て普通なの?
「いえ、でもさっきも言ったでしょう? それは最終手段です」
「あ、ああ......監禁という言葉の重圧がヤバすぎて頭がそっちに持ってかれてました(最終手段でも良いのかそれ?)」
「あはは」
あ、笑顔可愛い。ん、あれ?俺......。
「所で......葉月さんの事、noranuko先生とお呼びしても良いでしょうか?」
「え、やだ。 ダメです」
「即答ー!!!」
「俺はそんな先生とか呼ばれる腕ではないし、あと普通に恥ずかしいです」
そうだ。あれだけ人気が出たのも、白雪さんが動画を出してくれたからで、全部が全部俺だけの力では無いはず。
もしかしたら、気が付かないところで助けてくれてる人もいたかもしれないし。だから先生なんて呼ばれるのは違う気がするし、嫌だ。
「......恥ずかしい、成る程。 ......でも、腕がないなんてそんなの嘘ですよ。 だって、あなたの作品を読んで感動したり、泣いたりする人達もいるんですよ......私もその一人ですしね! そうやって読者を否定する風な事、言わないでください」
「あ......た、確かに。 今のは読者さんに失礼でした、スミマセン」
「あ、いえ、こちらこそなんだか偉そうに、すみません」
「いえ、ありがとうございます。 ......少し自信が持てました」
また金見さんはにっこり微笑む。なんだろう、不思議な感じだ。あったかい。
「さて、そろそろ帰りましょう。 葉月さん執筆しないとだし」
「あ、はい、ですね」
「では、これ、連絡先です。 ランニングの話はメッセージでしましょう」
「え!?」
「えっ!?って、な、何ですか! 運動するのは決定事項ですよ! 必ず痩せてもらいますから!」
いや、違くて!俺になんか連絡先を教えるのか......マジか。
「いや、大丈夫、です。 了解しました」
「う、うん......では、また後程! お疲れ様でした!」
~そして現在~
「けど、すっぽかさないで来てくれて良かったですよ~! まあ、信じてましたが!」
「俺、どんな風に見えて......いや、やめよう」
いいかけてすぐやめた。どんな風に見えるとか、そんなの自分で痛いほどわかってるだろ。
あえて他人にそれを聞くとかドMの極み過ぎる。
金見さんは人差し指を唇にあて、ふむ。と考えてる。
か、考えなくて良い!しまったな......。
「......どんな風に? うーん、そーですね......真面目で努力家? あれほど文書かくのって相当根気いると思うんですよ。 なのでがんばり屋さんなのは間違いないなーと。 あとは~」
「......え」
「え?」
「あ、いや......」
「......?」
ぐあああ!!朝からやめてくれえええ!!目が、目があああ!!!
「それに、そんなあなたが暴飲暴食したりするのは、繊細だからですかね。 傷付きやすいタイプなのかなぁと」
「あ......そ、そうですか」
金見さんがこちらを悲しそうな目で見つめてくる。ど、どーした?
「......今まで、その、職場での事。 見てみぬふりしてすみませんでした」
おま、それ今それ、なんで今その話!?やべえ、また涙腺が!!
「ありがとう」
「......あ」
「だ、大丈夫ですか」
「はい」
金見さんは泣き止むまで一緒にいてくれた。危なく遅刻させそうになったが、笑って済ませてくれた。
◆◇◆◇◆◇
1日の勤務が終わり、執筆していると白雪さんからメッセージが届いた。
『執筆中ですか?』
お、これは通話しませんか?とくる前触れ。切りの良いところまで書きたいな。でも白雪さん待っててくれるかな?今が20時か......うーん。
『執筆中ですが、22時頃に終る予定ですよ』
そうメッセージを送ると、すぐに返事がくる。
『あ、じゃあ、22時頃通話しませんか? もっと書きたい~! ってなったらメッセージくれればオッケーなので!』
本当、ちゃんと人のこと考えられる子だな。
『オッケーです! ありがとうございます』
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