98.最果ての夢
槙村が捕まって一週間。
会社はその件でバタバタしていた。それをきに判明した彼の行っていたストーカー行為は恐ろしい程の数にのぼり、なんと会社にあるお客様の個人情報を利用していたのだ。
槙村は助かりたい一心で全てを暴露。会社が労働基準法を違反していて、ブラックな職場でストレスが溜まっていただとか、上司同僚に苛められていただとか、あることないことを。
いや、お前はブラックな部分味わってないだろうと、ツッコミを心の中でいれておいた。
とにかく、それを受け、今度会社へと調査が入る。それでのバタバタ騒動である......多分、営業停止だろうけど。
「......槙村さん、凄かったですね。 まさかあれほどとは......」
金見さんがいつの間にか隣にいた。
「ですね......個人情報を独自に収集して、リスト化していたなんて」
「女性の順位付けや独身、彼氏がいるかどうかだとか......本当にストーカーでしたね」
槙村の家からは、しるしをつけられた地図と美女収集記なるノートが出てきた。
その内容は、金見さんの言った通り順位付けランク付け、一人暮らしかどうか......細かく記載されたモノだった。
「けど、こんなこと言うのは不謹慎かもですけど......金見さん、SSランクでしたね」
「ま、まあ......槙村さんに評価されても嬉しくないですけどね」
「でもまあ、俺は見る目はあるかなと思いますけどね、その......金見さん綺麗だし」
「へっ!?」
金見さんはバッ!と、目を真ん丸にしてこちらに顔を向けた。
顔が赤い......風邪か?とか言って。
「あ、あ、ありがとう......ございます」
「いえ......なんか、失礼しました」
「ま、まーでも? 雪ちゃんはSSSランクって書かれてましたけどね。 唯一の......」
「あ、ああ、ですね」
確かにSSSランクとされていたのは雪だけだった。ちなみにSSランクは三人。
「ていうか、そーだ! あの日槙村が俺の家を監視してること教えてくれてありがとうございました。 おかげで槙村に引導をわたせた......ありがとう」
「いえいえ、槙村さんに迷惑していたのは私もですし......っていうか、多分会社の皆も嫌がってましたよ。 むしろありがとうございます! 葉月さんはヒーローですねッ!」
「えぇえっ!?」
ヒーロー......照れるな、そんな事言われたら。けれど、笑う彼女の顔をみれば、やったことが間違いでは無かったことと思えた。
◇◆◇◆◇◆
「――あ、一樹! お帰り~」
鍵を開け、扉を開けた先には雪がいる。俺の家ではあるけれど、もうこんな暮らしがあれからずっと続いていた。
VTuberの配信は機材が無いため、自分の部屋に戻ってしているみたいだ。
「お、ただいま~。 今日の配信終わったのか?」
「うん! 大好評だぜい! えへへっ」
「そっか、良かったね」
「うい!」
雪の手元を見て気がつく。彼女はせっせせっせとイラストの練習をしていた。
暇をみてはずっと練習を重ねている。
「めちゃくちゃ上手いな」
「ありがと。 でもまだまだ、師匠をこえるって決めたから......もっともっと頑張るよ、私」
太一と秋乃、二人が組んで作る作品は未だ未知だ。けれど、俺と雪を潰すと言ったのを考えると、同じようなジャンルである可能性は高い。
「あ、そーいえばさ、一樹って、あんまりSNSみないタイプだから知らないかもだけど......お兄ちゃんが秋乃さんとの作品を発表してたよ」
「マジで!?」
「あ、やっぱり知らなかったんだ。 うん、発売はラストファンタジアの数日前だって」
え、数日前?同時発売じゃないの?
「被せてくるかと思ったんだけど......なんで?」
「わからないねえ。 お兄ちゃんの考えることは」
「ちなみにタイトルは......?」
見せてきた告知に書かれていたタイトル、それは。
「最果ての夢」
読んでくださってありがとうございます!そろそろ最終回が近づいてきました。
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次回作にハイファンタジーを予定しております。主人公はヒーラーで、最強チート、ダンジョン、ざまぁ、を含むモノになりますので、もし読んでみたい!と思われたら、作者ページからお気に入り登録をしてください。
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