95.ブラックあうと ② (槙村 視点)
勘違い......俺の勘違い?
そ、そんなわけないだろう。いや、待てよ......
思い返される今までの記憶。
女性達との会話を思い出すと、金見やNo.1だけではなかった。皆、複雑な顔を浮かべ俺を見ていた。
あれは、俺に助けて欲しいというあらわれでは無かった......?むしろ俺から助かりたかった?
いや、違う!そんなハズない!!
......けれど、そんなハズがなければ......なぜ俺に彼女の一人も出来ない?
「あの、槙村さん......考え込んでるとこ申し訳ないんですが、はっきりと彼女達に話を聞いてみたらどうですか?」
葉月!!!ぬけぬけと......洗脳が完了していて彼女達が言いなりなのを良いことに!!許せないッ!!
「いや、お前、そんな事したところで金見とNo.じゃない、そこの女性は貴様に洗脳されてるんだから、望む通りの答えを出すに決まっているだろうが! バカがッ!」
この俺様がそんな手にのるわけねえだろーが!!
「いえ、でもあれですよ。 ここに警察の方いらっしゃいますし、彼女もちゃんと答えてくれるんじゃないですかね? 槙村さんが録音とればそれが証拠にもなりますので、俺が捕まれば彼女らは自由ですよ......?」
確かに......葉月の言うとおり。そして彼女らを助け出すには、この警官を使い法的に対処できるこのタイミングしかない!
二人の視線が交差する。
いいだろう、乗ってやる。何かしらの策を使うつもりだろーが、勝のは俺だ!
正義は必ず勝つ......ふ、なんせ俺には女神が二人ついているんだからな。
スマホを取り出し録音機能を使用する。逃がさねえからな、葉月。
真っ向から俺に立ち向かったその勇気だけはほめてやるよ。
思えばお前とは長い付き合いだったな......あのクソデブ陰キャにここまで追い詰められるとは思わなかったぜ。
あ、いや、まあ、追い詰められたふりね?油断させるためのな?
すべては計算通り......ここにコイツらがいることさえもな。
うん、知ってた。俺はあえてこの状況を作り出したといえる。
「......あの、槙村さん。 何か言ってください......無言で葉月さん睨まないで......」
「え、あ、ああ、すまん。 まあ、そんなに心配するなよ、金見。 俺が勝つことは最初から決まっているんだから」
「え、えぇぇ......」
「春音ちゃん、さっきから何なのこの人......ヤバくない」
「......うん、ヤバい」
「えーと、槙村さんちょっと巻いてもらっていいですか? もう時間も遅いので、早く終わらせたいんですが......」
かっちーん☆ミ
早く終わらせてえだ?お前......勝てると思って......お前、ウケるよマジで。滑稽滑稽、烏骨鶏~ってな♪
「......上等だよ、葉月ちゃん。 どちらの策が上を行くのか」
「いや、策っていうか......まあ、いいや。 どうぞ」
金見と目を合わす。彼女はすぐに目を伏せた。
照れ屋さんめ!ふふ
No.1の方へ顔を向けた。彼女はうつ向いている......葉月の呪縛を解放されるのを喜んでいるのか。
うん、行こう。俺たちの明るい未来へ......
「まず、金見......今なら言える事、あるんじゃないか? 大丈夫だぞ、お前の味方はここに二人もいるんだ......思っていることを、正直に言ったら良いんだ」
「えっと、槙村さんはストーカーです。 怖いです。 もう私に近づかないでください......顔も見たくありません」
......
......
......ん?
「ん? なんて?」
「えっと、あなたはストーカーです。 もう二度と顔を見せないでください......あ、それとイケメンだと自分で思っているようですけど、そんな事ないです」
「ストーカー......俺が!!? つーかイケメンじゃないってマジ!!?」
「はい、どうみても......」
ジロッと俺を睨む警官の目が怖すぎる。根が深すぎるのか......葉月による洗脳の!
し、しかし、このままでは俺は現状ストーカーと言うことに......いや、まだだ!!!
No.1がいるじゃないかッ!!!
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