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【完結】陰キャデブな社畜、知らぬ間に美少女VTuberを救う。   作者: カミトイチ《SSSランクダンジョン〜コミック⑥巻発売中!》


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92.追跡者 ② (槙村 視点)

 


 か弱き女性を脅迫し、その汚ならしい欲望の捌け口にする。


 それは絶対に、男として許される事ではない。例え葉月のようなイケメンだとしても......人として、越えてはいけないラインがある。


 奴は、葉月はそれを越えた。


 金見のおびえたような先ほどの表情、眼差し......今思えば微かに震えていたようにも見えた。


 それはそうだろう、答えは簡単だった。なぜ葉月と一緒にいるのか、あの日車庫で言った俺への言葉。


 それら全ては、葉月に弱味を握られ(おそらくは家族を人質とかそんな感じの)言いなりになるしかなかったのだ。


 可哀想に......俺への想いを秘めながら、心で泣きながら、大好きな俺を拒絶せねばならなかっただなんて。


 あ、やべえ、金見の気持ちを考えると、じわじわ怒りが沸き立ってきた。


 つーか、もしやあのNo.1もそうなんじゃ?


 脅されてるのか、彼女も。



 ――ギリッ



 許せない。絶対に。



 この町の、いやこの国の宝レベルの美貌をもつ彼女を脅して......あんなことやこんなことして、楽しんでいるというのか。

 うらやま......じゃない。許せない!!


 必ず俺が助けてみせるぞ、俺の姫様達!!



 さて、そんなこんなで家についたわけだけども。


 えーと、盗聴機に~ピッキングツールに~双眼鏡に~......あれとこれと......あ、あとスタンガンかな?



 ◇◆◇◆◇◆



 さーて、葉月宅へと戻ってきたぜ。バックへそれぞれ取り付けた発信器によれば、奴らは家の中......と、なれば。


 ここはじっくりといくか。慌てず、騒がず、あの家に誰も居なくなる隙を伺うのだ。


 たとえば、そう......俺が二人を助けたいがため焦り、小さなミスをして捕まったとする。

 そうなれば誰があの麗しの姫君を助けるというんだ。


 そう、これは......心を救う戦い。


 俺は英雄となり、ハッピーエンドのその向こうへとたどり着いてみせる。


「......しかし」


 このままじっと待っていては......建物の反対、そこから双眼鏡で中を覗けないか?


 回り込んでみよう......ミッションスタート。



「......なるほど、カーテン......もう19時だしな。 これは、今日は泊まり込みか」


 はあ、と、吐く息が煙る。


 かなりの冷え込みだが、長時間の張り込みにたえられるようにカイロや電池式の暖房器具を持ってきている。


 やれるさ、俺ならば。いざとなれば彼女らの想いを胸に灯し、熱く燃やそう。



「あの、何をやってますの?」


「!?」


 双眼鏡を下げ、バッと振り返る。


 一瞬の隙。


 背後にいたそれは、銀髪のJKのようにも見え、妖精、フェアリーのようにも見えた。


 彼女は、人の域を越えた生命体に違いない......心なしか周囲が輝いて見える。


「き、君は......神が俺につかわせた天使......?」

「え、キモッ」


 !!!!


 え、今キモッって......言ったの?キモって、キモチワルイってこと?初対面だよね?......気のせいか?

 若干困惑していると、彼女が喋りだした。


「......いや、あなたが人の部屋を双眼鏡で眺めていたから......何をしてらっしゃるのかと」

「え、あ、ああ......ちょっと情報収集をね。 そんなことより、君の名前はなんと言うのかな?」


「ええぇ......」


 な、なんだその反応は?名前くらい教えてくれても良いだろうに。

 しかし、この表情どこかで。この辛そうな悲しそうな顔は......はっ!?


 金見!!そうか、この表情は金見のそれだ!!!

 おそらく、葉月絡み!?


「......君はもしかして、葉月の......奴に?」


 君もまた脅されて......?


「? 葉月? 何て......?」(※noranukoの本名を知りません)


「いい、いいさ......うん。 大丈夫、君の心もこの俺がきっと救ってみせるさ」


「あー、はあ......」


「じゃあ、俺はこれで。 またね妖精ちゃん」


 ――奴の呪縛から解放された後の君と出会えることを願ってるよ。


(いや、マジで可愛かったな~)






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