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天敵の記憶
ハシビロコウ
いやなやつ
じっと動かない体
何を思っているかわからない目付き
いやなやつ
なんでいやなのか
それはね
あいつが嘴をがばっと開いて
測ったからさ
何をかって
それはね
私のつま先から頭のてっぺんまで
口に入るかどうかさ
覚えてる訳じゃないよ
どこの檻の中の
どの一羽だったか
きっとピンクのダウンを着ていたあの時の私が
身長何センチだったか
覚えていないけど
わかるのさ
やつは天敵
いやなやつ
聞かされた話だよ
口をがばっと、なんてね
いやなやつ
きょろりともしない目で
また私を測ってるんだ
でも今日は不戦勝
口を開けなくてもわかっているはず
いつの間にか
大人になったからね
あんたの嘴にはもう入らないよ
こっちを見てるいやな目付き
覚えていないけど
いやなやつ
バイバイ
ちょとぐらい動いたらいいのに
バイバイ
じゃあね
さよなら
つまんないな
いやなやつ